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今回の「Editor’s Pick」は、SDGsゴール達成に向けて何かしたい、でも具体的に何をしたらいいのやら……、という人にこそお薦めしたい、楽しく気軽に参加できるサスティナブルな取り組みについて。

サスティナビリティへの意識が高まった2020年

SDGs達成目標の2030年に向け、「行動の10年」と呼ばれるフェーズが幕を開けた2020年。新型コロナウイルスの世界的な拡散という未曾有の事態により、人びとの生活様式や消費行動は大きく変化しました。

2020年5月に楽天インサイトが実施した「サステナブルな買い物に関する調査」によれば、感染症拡大の影響を受けたことで「節約意識の高まり」や「家で過ごすことが増え、暮らし方を見直すようになった」、「健康や安全への関心の高まり」といった変化がもたらされ、サスティナブルな買い物に対する意識が強まった人は3割超とのリサーチ結果が出ています。かねてよりSDGs先進国と比較すると消費者の意識が乏しいと指摘されてきた日本にとって、奇しくもコロナが人びとのマインドを前に向かせた形に。

この昂ぶりを、行動に変えなくては!

とはいえ、難しく考え、身構える必要はありません。スマホでポチッと簡単に参加できるサービスや、身近なドラッグストアへ立ち寄るだけで貢献できる取り組みなど、楽しくて気軽なサステナ活動を3つをピックアップしました。

ワードローブの整理が、世界を笑顔に導く「古着deワクチン」

手持ちの衣類や服飾雑貨によって社会貢献活動に参加できるのが「古着deワクチン」。わたしたちがするのは、ウェブサイトで専用回収キットを購入し、届いた袋に古着を詰めて返送することだけ。

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「古着deワクチン」の専用回収キット3,300円(税込)。160サイズのダンボール箱とほぼ同サイズで、シャツ類なら約100枚入る。専用回収キットは障がい者を雇用する国内の福祉作業所にて製造・封入・発送がおこなわれている。

専用回収キットひとつ分の購入金額から、5人分のポリオワクチンが開発途上国の子どもたちに寄付されるほか、回収衣料はインドなどへ送られて約170種の仕分け作業がなされ、その後、東南アジアやモンゴル、パキスタンなどへ送られ、現地で安価で再販売されます。

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認定NPO法人「世界の子どもにワクチンを日本委員会」を通し、ミャンマーやラオス、ブータン、バヌアツへワクチンが寄付される。

古着の再利用になるのはもちろん、寄付ではなく再販売とすることで、仕分け作業や販売店舗が必要となり、現地にビジネスを生み、雇用を促進できるのです。

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回収した古着が選別される様子。古着deワクチンでは、今後、カンボジアやモンゴルに直営店舗をオープン予定。ポリオの後遺症を抱える人や、障がい者、貧困層を直接雇用し、自立していける仕組みを作るのだそう。さらに直営店舗の販売1点につき、1人分のワクチンを寄付するなど、支援される側だった人が支援する側に回れるようにもしていくとのこと。

回収した古着がどのように扱われているのか、ワクチンはどのように届けられているのかなどがウェブサイトで活動報告レポートとして公開されていて、その活動の透明性が、衣類を手放す立場にとってありがたく感じられます。

また、スポーツのユニフォームや会社の制服、名前やロゴが入っているものが回収対象であるのもうれしい点。衣替えの時期などに、ぜひ利用の検討を。

古着deワクチン

名産品のお取り寄せ感覚で。食べて応援できる「WakeAi」

新型コロナウイルスの影響により事業が立ちいかなくなってしまった事業者が自社の商品を出品・販売でき、消費者は通常よりも購入しやすい価格で「買って応援、食べて応援」できる通販モール「Wakeari」が、2020年10月に「Facebookコロナ支援・訳あり商品情報グループ」と統合し、「WakeAi」としてパワーアップ。在庫の滞留や売り上げの減少などが顕著な食材の販売促進を行うことで、フードロスを防いでいます

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WakeAiへの出品例。肉や水産物から、米・野菜、果物など約700品が、割引率30〜70%程度で出品されている。

「ホテルや飲食店からの受注がストップし、在庫が溢れてしまったため、賞味期限間近な商品の原価回収だけでもしたいとWakeAiに出品したところ、あっという間に完売しただけでなく再販依頼を受け、半分近くの在庫を破棄せずに済んだといった生産者の声や、今年はコロナで旅行にも行けず食べることをあきらめていた食材がWakeAiに出品されていて、自宅でも旅行気分を味わえたといった利用者の声をいただいています」と担当者。

現在、出品者数は約250店舗。農林水産省が実施する「#元気いただきますプロジェクト」と連動した送料無料の商品などもあり、全体で月に1万数千から2万件にものぼる注文数とのこと。

愛媛県産の特大真鯛しゃぶしゃぶセットや、四万十うなぎ蒲焼セットなど、銘品のお取り寄せ気分を楽しんでください。

WakeAi

ドラッグストアの箱に、ポンッ。肌を潤したスキンケア容器が地球をも潤す

使用済みのスキンケア容器を、どのように処理していますか? 資源ごみの回収日を気にせずとも、ドラッグストアで回収してもらえて、緑化にも貢献できる取り組みがあります。それが「matsukiyo LAB(マツキヨ ラボ)」で2020年9月からはじまった「地球も肌も潤うリサイクルプログラム」

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ロート製薬とマツモトキヨシホールディングスが共同でスタートさせたこの試みでは、使い終わったスキンケア製品の容器を、全国のmatsukiyo LABに設置された専用ボックスにて回収。

空き容器はテラサイクル合同会社によって新たなリサイクル素材として活用され、最終的に植木鉢となるのだそう。ロート製薬以外の製品も回収してもらえ、プラスチック製ボトルでなくとも、フェイスマスクの容器や詰め替えパウチなども対象内。

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「地球も肌も潤うリサイクルプログラム」は、全国26店舗展開する「matsukiyo LAB」にて展開。化粧水や乳液、保湿クリーム、洗顔フォームなどのプラスチック製ボトルなど、ロート製薬製品の如何を問わず回収してもらえる。

「メーカー単独の取り組みではなく、作る側と売る側が共通の課題を認識し、さらにお客さまともサスティナブルをキーワードにしたつながりを持つことで、『環境への取り組み』をより身近に感じていただけていると実感しています」と担当者。

SDGs達成に向けたアクションを起こす場として、生活の一部であるドラッグストアは最初の一歩を踏み出しやすい環境と言えます。肌を潤すスキンケアの容器が植木鉢となって緑を増やし、地球の潤いにもつながっていく。ますます肌ケアに勤しみたくなってしまいそう。

ロート製薬, matsukiyo LAB

今回ご紹介したのは、自宅や生活圏内からでも参加できる取り組み。1回で終わらせず、かといって「やらなきゃ!」と気負いすぎることなく、サスティナビリティに貢献できる取り組みが日常ごととなってゆきますように。

ステイホーム中にサステナ活動

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