わたしたちの心地よい暮らしに役立つもの、わたしたちが暮らすうえで積極的に選びたい社会や環境に優しい商品、みんなにとって気持ちがいいアイテムやサービスを、編集部がピックアップする連載「Editor’s Pick」。
今回は、オーダーすることで誰かのサポートに貢献できる、サスティナブルなデリバリー&お取り寄せ。フード編、ドリンク編(次週公開予定)と、2回に分けてご紹介します。
コロナで加速? フード系のオンラインショッピングが盛り上がり中
いまだ終息の気配漂わぬ、どころか、猛威をふるう新型コロナウイルス。コロナ禍により生活にさまざまな変化がもたらされるなかで、巣ごもり消費のEC利用率が高まっています。
総務省統計局の発表によれば、ネットショッピングの支出額推移は2020年6月にピークを迎え、その後も前年同期比を上回る水準をキープ。このネットショッピングの支出アップに貢献しているのが、食料。デリバリーやお取り寄せです。
そこで今回は、人気のデリバリーとお取り寄せをリサーチ。なかでも、エコやサステナビリティに貢献できること、を観点にセレクト。年末年始の巣ごもりが、いっそう楽しいものになり、さらに、オーダーすることで作り手支援や環境保全につながるお店や商品にフォーカスしました。
美しいデリやスイーツで食卓を彩る新店「Deli & Cafe Blue Globe Tokyo」
ずらりと並んだスイーツは、2020年9月に東京・表参道ロハス通り沿いにオープンした「Blue Globe Tokyo」のもの。
「サステナブルデリ&カフェ」をコンセプトに据え、食材には半径120km圏内から仕入れた有機野菜も採用。なかでも炭素や貝殻などミネラルを多く含む自然素材を土壌に混ぜ、生きた土づくりをおこなう千葉県の「加瀬農園」とタッグを組んでいます。
これらのオーガニック食材を、厳選スパイスで風味づけ。12月は伝統的な有機農法によりすばらしい味と香りを引き出す、カンポートペッパーをセレクト。フェアトレード製品でもあるそう。
見目麗しいグラススイーツのデザインは、SDGs17ゴールがテーマ。デザートを楽しみながらSDGsを知るきっかけとなるはず。しかも1商品につき、国際協力NGO・ジョイセフに10円が寄付されます。
持続可能性への意識はテイクアウト包材まで行き届いており、脱プラスチックやエコラップを使用する徹底ぶり。
デリバリーサービスは近日開始予定。気持ちが華やぐ家ごはんをしたいときに、頼りにしたいお店です。
[Deli & Cafe Blue Globe Tokyo]
フードロス解決策として開発された「ぶどうの木」のチーズケーキ
洋菓子工房「ぶどうの木」が食品ロス削減を目標にはじめた「Hazico(ハジコ)」シリーズに、新作が登場。カステラやバウムなどにおいて生じた端っこを活用してきた同シリーズが、今回、着目した端っこ素材は、ホエイ。
バターを生産する過程で大量に生まれるホエイは、用途が見つからず廃棄されることがほとんど。このホエイを原料にフロマージュブランを作り、これをもとにしたチーズケーキを開発しました。
乳脂肪分を搾乳したあとのホエイを使っているため、一般的なフロマージュブランよりもさっぱりとしているのが特徴。ここに、同じくこれまで不要とみなされ、廃棄されてきた金沢ユズの果皮のコンポートをプラス。さわやかな仕上がりに。
作り手支援、資源活用、地域活性化。三方よしの銘菓「バターのいとこ」
土地のよさや生産者の愛情がダイレクトに伝わるクラフトバターづくりに着目し、生まれたのが栃木県・那須発の「バターのいとこ」。無脂肪乳からつくったミルク感たっぷりのジャムをはさんだゴーフルです。
バターは生乳から約4%しか採れない貴重なもの。残り90%以上を占める無脂肪乳(同じ生乳を親とする、まさにバターの従兄弟的存在)は、通常はスキムミルクに加工され、安価に販売されてしまいます。そこで酪農家がより安定的・持続的にバターづくりをおこなえるようにと、スキムミルクを使ったお菓子を考案。スキムミルクに新たな価値を実らせ、バターに負けない商品を生み出しました。
地産素材を用いたお菓子として広まることで、那須の地域活性化にもつながります。つまり、酪農家にも、食べる消費者にも、地域にもうれしい、三方よしのスイーツ。
ふわっ、シャリッ、とろっ、の独特の食感、かわいいルックスもあいまって、予約殺到中。届くのは注文から約3か月後なので、2021年のお楽しみをいまから仕込んでおきましょう。
[バターのいとこ]
生産者の技術習得を促し、カカオ豆の品質向上を図る「Dari K」
京都発のチョコレートショップ「Dari K(ダリケー)」が取り組むのは、質の高いインドネシア産カカオ豆農家の育成と、同カカオ豆の世界における認知度アップ。
世界第3位のカカオ豆生産国でありながら、インドネシア産カカオ豆の日本での輸入量は非常に少ないものでした。その理由は、同国産カカオ豆は発酵をさせずに出荷されるため、他国のものに比べて品質が劣っていたから。
そこでカカオ豆農家に発酵技術を習得させ、高品質に仕上がったものだけを市場買取価格より2〜3割高い価格で取引する、「生産者が自ら勝ち取るフェアトレード」を実施。
こうして入手したカカオ豆を、それぞれの風味に合わせて自社工場で製品化するため、一般的なチョコレートより酸味や香ばしさが際立っています。
[Dari K]
サスティナビリティは難しくない。「imperfect表参道」で気軽にエコ活
世界の食と農を取り巻く社会課題に対し、ゲストとともに解決に向けた活動に取り組むことをコンセプトとする「imperfect表参道」。ナッツやコーヒーなど、商品に使用される素材は、農家の自立支援や環境配慮をおこないながら生産されたもの。
同店の店頭で商品を購入すると投票チップが渡され、店内に提示された社会課題に関わるプロジェクトテーマに投票することが可能。
「学校でサスティナビリティについて学ぶなかでimperfectに興味を持った、とご来店くださる学生の方も」とマーケティング部長・佐伯美紗子さんが話すように、同店に訪れるだけで、一見ハードルが高そうに思えるサスティナビリティに、いい意味でカジュアルにふれられます。
オンラインショップには、オープン1周年記念のサブレや冬の新製品などがスタンバイ。ギフトや自分へのご褒美にぴったりです。
おいしく、口福をもたらす料理やスイーツが、同じ地球上の誰かの幸せにつながっているのかもしれない。サスティナブルなお取り寄せをすることで、明るい未来まで呼び寄せられますように。