「キューン、キューン」、オオシマゼミのまるで電子音のような鳴き声が響いています。はじめて聞いたときは、それがまさか「セミ」だなんて、思ってもみませんでした。それくらい、人工的というか精巧な高音なので、ある人は、「あの、ずっと沖縄に入ってから発信音みたいな音がしているんですけど、もしかして盗聴器?」と、さながらスパイ映画ばりの想像力で、わたしに聞いてきたことも。「あはは、セミですよ、オオシマゼミっていうんです」と答えると、心底ほっとしたような様子で、「よかった……」と胸をなでおろしていました。それくらい、このセミの声は不思議な音なんです。

不思議な鳴き声といえば、カラスバトもなかなかのアメージングボイスです。カラスバトは森の中にしか生息していないので、従って森の中でこの主の声を聞くことになります。この鳴き声が、まさに尺八。はじめて聞いたとき、本気で誰かが森のなかで尺八を吹いていると思いました。でも誰?と考えると、「流しのお坊さん」しか浮かばず、それも何のため?と考えると、「しゅ、修行かなぁ」としか言えず、想像するとかなり怖いものがありました。が、ある日、近所の人が「ああ、あれはカラスバトっていう鳩」と教えてくれて一件落着。

世の中、知らないことって、たーくさんありますね。さて、秋のお弁当。息子は大のうなぎ好き。川のすぐそばに住んでいたときは、自ら捕まえてきたことも何度かありました。うなぎは氷でしめて仮死状態にしてから捌きますが、そう簡単なものではありません。職人さんは、慣れた手つきでいとも「簡単そうに」すーっと捌きますが、初心者はまず無理。なので、だいたいぶつ切りにして素揚げにする食べ方。これはこれでおいしいんですけど。

うなぎの養殖所は、沖縄にもいくつかあります。今回のお弁当のうなぎは金武産でした。長引いた夏のせいか、疲れがじわりじわりと出ていた最近。牧場の他の子どもたちも、風邪ひいたり咳したり。急に涼しくなったりすると、そういった体調への影響、ありますよね。本格的な寒さへからだを整えながら、(といっても、まだまだ半袖なんです・・)、たまにはうなぎでも食べて、「おいしい!」と、舌鼓打つのもいいかと。でも、こんな豪華なお弁当、年に1回くらいです笑。

他のおかずは、青梗菜の赤紫蘇和え、玉子焼き、トマトでした。

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