「パーソナライズドビューティ」とは
シンプルなのになぜかいつもすてき。清潔感があって「印象がきれい」......。魅力的な女性は皆、本来の個性を魅力に変えて、自分だけの美しさを表現しているもの。その人だけの持ち味を美しさにつなげているから、自信に満ちて活き活きと輝いています。
顔立ちだけではなく、体も肌も体質も。一人ひとりが全て異なるわたしたち。今もこれからも、ずっときれいでいたいなら、意識したいのが「パーソナライズドビューティ」という発想。一人ひとり、自分のための美しさを自ら作ろう、という考えです。
「パーソナライズドビューティ」連載、第1回のゲストはランニングアドバイザーの番場由衣さん。「走ること」に打ちこみ、「走り続けること」で磨かれた美しさの秘密をうかがいました。
芯の強い女性でありたい
内面から明るい光が差してくるような、柔らかな笑顔が印象的な番場さん。自分らしく毎日を楽しんでいる人ならではの、心の余裕や充実感が伝わってきます。
番場さんに理想の女性像を聞いてみました。
「芯の強さを感じる人、なにか打ち込むものを持っている人。70歳、80歳になっても姿勢がきれいな人――でしょうか。
以前、温泉に行ったときに、若い女の子がみんなスッピンで帰っていくなかで、ひとり丁寧にお化粧をしていた70代くらいの方がいて。いくつになっても美しくいたいという気持ちがみえるその姿が、すてきだと感じました」
日常的なシーンでは、電車で座っても背もたれに寄りかからずに、あえて浅く座るシャンとした姿勢の女性。自分を客観的に見ることができるといった、大人の節度を持った女性に憧れると話してくれました。
走るとポジティブスイッチが入る
私たちから見れば、番場さんもまた、そんな「芯」を感じさせる女性のひとり。現在の彼女を形作ってきたコアが「走ること」です。
「走っていると、いろんな嫌なもの、嫌なことがなくなっていくんです。悩みがあっても、走り終わったころには『もうそんなこと、どうでもいいや!』と切り替えられる。ポジティブなスイッチが入る瞬間があるみたい」
番場さんにとって、走ることは日常。朝のランニングは顔を洗うのと同じでルーティンワーク、走らないと気持ちが悪くなってしまう――と笑います。
「走る時間は、1番私らしくいられる時間。ひとつのことに集中して、そのことに打ち込めている状態が好きなんです」
番場さんが走るとポジティブになれるのは、きっと「走っている自分が好き」と思えるから。大人の女性にとって、そんな自分なりのポジティブスイッチを持つことは、とても大切なことのような気がします。
いつでも始められる魅力
番場さんいわく、思い立ったらいつでも始められるのもランニングの魅力。
「70代の初心者の女性を指導したことがありますが、2年程でグングン伸びて、年齢別マラソン大会で優勝したんですよ。あらためてランニングに年齢は関係ない、と実感しました。
途中でやめてしまう人は、私は向いていないとか、やるなら10キロは走らなくちゃとか、固定観念が強い気がします。できない、と自分で決めてしまうのはもったいない。少しずつ走ればいいと思うんです」
ストイックになりすぎずに、気の向くままに走るのが番場流。ちょっと物足りない、ぐらいでやめておくのがポイントだそう。
好きなときに好きなだけ走る、喜び
番場さんがランニングを始めたのは中学時代。大学生まで長距離ランナーとして、厳しい練習を続けてきました。
「当時は決められた時間、決められた距離を走るのが私にとってのランニング。楽しいというのとはちょっと違っていましたね。
卒業後、いったんは辞めようと思ったのですが、1週間もしないうちにイライラしてきて。もう人に当たるくらい(笑)。それで走ってみたら、嘘みたいに気持ちがすっと『ひらけた』んです。
やっぱり私は走らなきゃダメ、でも仕事しながらだと、昔みたいなきついトレーニングは続けられない......。試行錯誤しているうちに、『好きなときに好きなだけ』走るスタイルに行き着きました」
競技者を卒業して8年。新しい喜びを味わいながら、番場さんは今も走り続けています。
楽しく、そして美しくなるランニングのコツ
最後に、美しくなるランニングのコツを番場さんに教えてもらいました。
・姿勢を意識して走る
女性は腹筋が弱くなると、前かがみになって姿勢が悪くなりがちです。ランニングでは、姿勢がとても重要。姿勢を意識しながら走るとインナーマッスルが鍛えられ、体幹がしっかりしてくるので、自然と姿勢が良くなります。
・「走る」を入口にキレイを拡大
私自身もそうでしたが、走ると自分の体に対する意識が高まるので、口に入れるものや、スキンケアにも自然と気を配るようになります。太陽の光を浴びて走ったあとはビタミンCをとろうとか、汗をかいたから鉄分の多い食事をしようとか、体との対話を増やすことがキレイの近道です。
「大切なのは、続けること。気分が乗らないときは、走るまでいかなくても、『走る前』につながることをするだけでもいいんです。ウェアに着替えてストレッチするだけでも気分が変わります。無理せず少しずつ、自分が心地よく続けられるペースを探してみてください」
後編は、いよいよ実践編。番場さんにご指導いただきランニングの基本を学びます。お楽しみに!
[LISSAGE]
ランニングアドバイザー 番場由衣さん
1985年生まれ。中学から大学まで陸上部に所属し、東日本女子駅伝や全国大学女子駅伝などに出場。大学卒業後は国立競技場でのランニングの指導を経て、現在はフリーのランニングアドバイザーとして活動中。ランニングだけではなく、歩き方やキレイに走るための筋力トレーニングなども教えている。
撮影/内山めぐみ 取材・文/田邉愛理 取材協力/株式会社ニューバランス ジャパン