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家で食事をすることが増えた今、悩ましいのが食材のやり繰りです。食べきれずに傷んでしまった材料を捨てるときは、なんともいえない罪悪感が残るもの。実際、日本の家庭では年間612万トン、国民1人につき48kgもの食品を廃棄しているといわれます。

一体どうすれば、私たちにとってもっとも身近なSDGsの課題である「食品ロス」をなくすことができるのでしょうか。管理栄養士・東京糖尿病療養指導士の酒井葉子さんが、具体的なアイデアを4つ教えてくれました。

1.テイクアウトやデリバリーを活用する

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食品ロスをなくす方法として、すぐにテイクアウトを思い浮かべる人は少数派かもしれません。

しかし酒井さんによると、感染症の影響で外食の機会が減った今、テイクアウトやデリバリーの需要が飲食店や食材の生産者の助けになり、食品ロスの削減にもつながるとのこと。忙しくて食事を作る余裕がないときは、無理して食材を買うよりも、おいしいテイクアウトで気分を変えてみてはいかがでしょう。

とはいえ、テイクアウトやデリバリーは調理してから食べるまでの時間が長いため、食品による事故を防ぐ知識が必要だと酒井さん。食中毒の原因菌を増やさないためのポイントとして、次の3つを挙げてくれました。

つけない:食べる前の手洗いは忘れずに
増やさない:はやめに食べる、すぐに食べない時には冷蔵庫で保存(常温で長時間放置しない)
やっつける:再加熱する時には中心までしっかりと

(「Diet Plus」より引用)

2.賞味期限が近い食品をリーズナブルに入手する

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インターネットの情報を活用すれば、賞味期限が迫った食品をリーズナブルに購入することができると酒井さん。

行き場を失った新鮮な農産物・加工食品を安価で買えるサイトや、閉店間際の店舗が売り切りたい商品を通知するサービスなど、新たな試みが色々と出てきているようです。食品ロスを減らすだけではなく、家計にも優しい取り組みですね。

3.冷蔵庫を「見える化」し、「賞味期限」の意味を知る

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気づいたら冷蔵庫の中で食品がだめになっていた──酒井さんによると、こうした失敗を防ぐコツが3つあるそう。冷蔵庫内をカテゴリー分けすること、定期的に冷蔵庫内の食品をチェックすること、そして「消費期限」と「賞味期限」の違いを知ることです。

消費期限:劣化が早く、期限がすぎると食べずに廃棄したほうがよい目安
賞味期限:劣化が比較的遅いもので日持ちする食品、必ず食べられないわけではないため、それぞれの食品で判断する目安

(「Diet Plus」より引用)

「賞味期限」は「おいしく食べられる期限」なので、期限がすぎてもすぐに食べられなくなるわけではありません。冷凍食品やお茶、お菓子などは、未開封であれば多少味が落ちても食べられる場合が多いようです。

4.買い物前の「冷蔵庫チェック」で脱・ムダ買い

買い出しのとき、家にストックがある食品をうっかり買い足してしまうこともよくあります。これを防ぐためには、「冷蔵庫にあるものをチェックしてから買い物にいく」という習慣をつけること。料理をしたあとは残った食材を把握して、計画的に使い回す工夫も大切だといいます。

家庭から生じる「食品ロス」が年間で284万トンということは、1人あたりで換算すると毎日132g、軽くお茶碗1膳分の食品を捨てていることになる……と酒井さん。まずは身近な毎日の食事から、少しでも「食品ロス」をなくしてサスティナブルな暮らしを実現していきたいですね。

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酒井葉子(さかい・ようこ)さん
管理栄養士、東京糖尿病療養指導士。幼少期にアトピー性皮膚炎で悩み、体の内側から見直す必要性を感じて管理栄養士に。大学卒業後は、給食管理業務や医療機関での栄養指導に携わり、現在は保健指導やコラムの執筆に従事している。

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