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健康に地球環境にも良いとされ、日本でも話題となっているのが菜食の食事であるプラントベースのライフスタイル。

この菜食を豊かにしてくれるもののひとつとして、近年世界的にもブームとなっているのが「ベジミート(代替ミート)」です。動物の肉を使わず、大豆などの植物で作ったお肉の代わりとなる食材で、特にヨーロッパでは需要が高まっているそう

このベジミートの最新事情を知るべく、現在ベルギーで暮らすモデルでイラストレーターのAVI(アヴィ)さんがレポート。今ヨーロッパで人気の商品や実際に食べた感想とともに、ベジミート最新事情をチェックしましょう!

多種多様なベジミートをベルギーのスーパーで発見!

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ベルギーのスーパーでショッピングするAVIさん。

2016年よりヨーロッパを拠点に活動をしているAVIさん。今はベルギーの首都ブリュッセルから車で30分ほどの都市で暮らしています。

「ベルギーのスーパーにはもちろんお肉もありますが、ベジミートの取扱いが日本より多い印象です。さすがヨーロッパ。一般的なスーパーでもショーケース1つがまるごと売り場になっていて、環境課題への取り組みが先進的だなと実感します」(AVIさん)

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ベジミート売り場が広いベルギーのスーパー

「ラインナップも豊富で、大豆やエンドウ豆、小麦といった原材料が異なる商品や、ハンバーグやナゲットなどの加工品も多く、多種多様な商品に出会えます。これだけあると毎日飽きずに楽しめそうで、プラントベースを取り入れている方にとっても満足いくのではないでしょうか。お値段は動物性のお肉よりもちょっと高めな印象です」(AVIさん、以下同)

気になっていた商品を購入し、味を比較してくれました。

「今回買ってみたのは、原材料が異なる3つの商品です。大豆ベースとエンドウ豆ベース、セイタンという小麦ベースのものを購入し、調理をして食べてみました。匂いやテクスチャー、味もそれぞれ異なり、いろんな発見がありました!」

ソーセージのような香ばしさ。大豆ベースのTHE BLUE BUTCHER

AVIさんがまず試してくれたのが大豆ベースのベジミート。

「ひとつ目は、売り場でも目をひいた青いパッケージの『THE BLUE BUTCHER』です。ミンチ状で売られています」

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『THE BLUE BUTCHER』は、チキンやチキンナゲット、シュニッツェル、ミートボールなども展開している。

「原材料をみてみると、大豆のほか、小麦や水も含みます。300gのパックで4.79€(※1)でした」
※1 約614円(2021年8月21日現在)

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パッケージには原材料が細かく記載されている。

「ミンチ状ですが、通常のお肉と比べると少し硬め。フォークなどで突っついてみてもなかなかほぐれません。ソーセージのような香ばしい香りが印象的でした」

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ミンチ状に。茶色に近い色味です。

この『THE BLUE BUTCHER』のミンチタイプを使ってAVIさんが作ってくれたのは「ひき肉風カレー」。

「調理法として中火で5分炒めることが記載されていたので、フライパンに移し入れて早速炒めてみました。最初は形が変わらないくらい硬かったのですが、水分を足して調理すると少しずつ柔らかく変化。カレーペーストを加えて、全体に味をしっかりなじませたら出来上がりです」

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牛や豚のひき肉を使ったような仕上がりに。カレーペーストがにおいを消してくれる。

「食べてみるとまさにお肉! 牛や豚の本物のお肉を使ったような満足感のある味を実感しました」

ダントツで美味しかったのが、エンドウ豆ベース

次にご紹介するのは「GREEN WAY」というエンドウ豆を使ったベジミートです。

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20年以上前にスタートしたベルギーのブランド。野菜を使った商品の開発を続けている。

「『GREEN WAY』は、野菜を使ったブランドとしてベルギーで広く知られています。ベルギーのスーパーでは大豆ベースの商品の取り扱いが多く、まだエンドウ豆ベースのベジミートは少ないですね。このGREEN WAYのパッケージには、『2020-21年ベストプロダクト』とあり、どんな味なのか期待ができます。ちなみに価格は、200gで3.79€(※2)でした」
※2 約486円(2021年8月21日現在)

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ミンチ状。大豆ベースと比較すると、色は薄くよりひき肉に近い見た目だ。

「エンドウ豆粉と水が主な原材料。パッケージを開けると、匂いはあまりなくリアルなひき肉に近い見た目です。テクスチャーはとてもやわらかく、大豆ベースの『THE BLUE BUTCHER』との違いに驚きました」

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やわらかくほぐれやすい形状。火が通りやすく調理がスムーズに進む。

エンドウ豆ベースの『GREEN WAY』を使ってAVIさんが作ってくれたのは、パスタ料理。

「パッケージには中火で3~5分炒めるとあり、フライパンで炒め始めます。牛肉のようにやわらかく、パスタや他の材料にもよく絡み、とても扱いやすかったです」

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かぼちゃとアボカドを加えて「かぼちゃソースのひき肉風パスタ」ができあがり。

「ベルギーにはこの商品を使ったカフェ『GREEN WAY』もあり、人気商品はハンバーガー。パスタ料理のように炒めてもいいいですし、ハンバーグにしてもきっと絶品です。個人的には3つの商品の中で一番美味しかったですね。『2020-21年ベストプロダクト』とあるのも納得です」

小麦ベースのベジミートはクスクスのような食感が新鮮!

最後にご紹介いただいたのは、『De Hobbit SEITAN』という小麦ベースのベジミート

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『De Hobbit』は1983年以来、ベジミートを作ってきたブランド。今や40以上のビーガンフードを作っているという。

「『De Hobbit SEITAN』は小麦たんぱく質をベースにしたベジミートです。小麦グルテンや小麦粉、醤油、水を原材量に作られています。保存料や乳化剤などを含まれていませんが、賞味期限は1カ月ほどと長めで安心です」

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セイタンはホロホロとした形状をしている。

「パッケージを開けてテクスチャーをみると、『THE BLUE BUTCHER』や『GREEN WAY』と違ってそぼろのようなホロホロとした形状をしています。匂いは特にありません。200gで4.19€(※3)、3商品の中では少し割高です」
※3 約537円(2021年8月21日現在)

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細かくほぐれ、お肉というよりもクスクスのような印象。

他の商品と同様に、まずフライパンで炒めてみました。

「フライパンで広げると、小さく細かくほぐれ、お肉というよりもクスクスのような形状になりました。今回作ったのは、セイタンを使ったパスタで、コーンや和風だしをパスタにしっかり絡ませて作りました」

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「味はまだまだ追求する必要がある」とAVIさんは言う。

食感は少し硬さがあり、お肉というよりクスクスのような感覚です。あまり存在感がなく、ちょっともったいなかったかも。もっと調理法を工夫して、いろんなレシピで試してみたいと思いました」

環境にやさしいベジミート。今後もより進化していきそう

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ベルギーのベジミートの進化にも注目したい。

体にも環境にもやさしいベジミートは、ベルギーではかなり浸透している印象を受けます。

どこのスーパーでも取り扱っており、種類も豊富です。各ブランドから新商品が発売されたり、まだ店頭にあまり並んでいないエンドウ豆ベースの商品が増えたり、今後の展開も目が離せません。商品ラインナップが豊富なので、毎日飽きずに食事を楽しめますし、ハンバーグやナゲットなどもじょうずに活用すれば続けやすくなりそうです」

日本のスーパーにもベジミートが並ぶようになってきました。AVIさんのレポートを参考に取り入れてみてはいかがでしょう。

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AVI(アヴィ)さん
モデル・イラストレーター 。2016年よりヨーロッパに拠点を移し、現在も日本と海外を行き来しながら雑誌や広告、ショー、ヨガインストラクターなどマルチに活躍中。ロンドン留学を経てファッションイラストレーターとしてもデビュー。イギリス人の父と日本人の母を持つ、旅好きの関西人。昨春、第1子を出産。公式インスタグラム: @avi__official

撮影・取材協力/AVI、構成/鈴木ゆうこ

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