3
ML_FOR-SUSTAINABLE-LIFE_stasher

わたしたちの心地よい暮らしに役立つもの、積極的に選びたい社会や環境に優しい商品、みんなにとって気持ちがいいアイテムやサービスを、編集部がピックアップする連載「Editor’s Pick」。

今回ご紹介したいのは、シリコーン製のキッチン用保存容器何度となく使用でき、保存のみならず、電子レンジ調理や蒸し物など料理に使うこともできますし、時短調理にも活躍します。米国発の注目ブランド「stasher(スタッシャー)」「Zip Top®(ジップトップ)」にフォーカスし、筆者が実際に使ってみた感想を交えて利便性をレポートします!

stasher:加熱調理に引っ張りだこ。オーブンにまで耐えられる!?

2016年、ブランド創設者キャット・ノーリによりカリフォルニアで誕生した「stasher」

「プラスチックの大量消費と、それが海洋汚染につながっていること、また低品質なプラスチックを熱すると健康に有害なBPA(ビスフェノールA)が発生することを知り、プラスチック素材の容器の代わりになるものを作りたいと、開発に着手しました」(キャット)

−18度から250度までOK。耐熱性がすごい

耐油性対酸化性に優れ、食品用品質として認められる100%ピュアプラチナシリコーンを用いた保存容器で、それまでシリコーンでは実現が難しかった密閉をかなえるピンチロックシステムを搭載。−18度から250度までと、耐冷、耐熱性にも長け、冷凍から加熱調理まで汎用性が高いのが魅力。

今回、筆者が使ったのはマチが付いていて自立できる「スタンドアップ」タイプ。

20210430_siliconbag_1
100%プラスチックフリーのシリコーン製保存容器「stasher」。「スタンドアップ ミディアム」はカレーやスープなどの調理・保存に便利(H18×W21.6×D9cm)2,530円(税込)。写真はクリアカラー。ほか、アクア・アメジスト・スモークなどの色展開あり。

まず実感したのは、250度まで加熱OKな耐熱性のすごさ。塩胡椒をまぶしたサーモンをstasherに入れ、開口部は閉じぬまま、予熱250度に設定したオーブンに投入し、待つこと約18分。庫内から取り出すと、オーブンシートは黒焦げ。ですがstasher自体は焦げることも溶けることもなし。中のサーモンは、というと、蒸し焼きできているではないですか(感動!)。

20210430_siliconbag_2

食べてみると、心なしかいつもよりふっくら。フライパンで直接加熱するよりも水分や脂の流出が少なかったことによるのかな、と推察。油をしかず蒸し焼きにしたので、さっぱり、ヘルシーにいただけました。

調理器具としてのポテンシャル大。stasherでいろいろできる

続いてブロッコリーの湯煎蒸しにも挑戦。小房に分けたブロッコリーをstasherに入れ、熱湯で湯煎すること約15分。

20210430_siliconbag_3

……ん? 引き上げるのが早かったかな? 時間が短すぎたか、鍋が小さかったため熱が全体に行き届かなかったかで、コリコリ感が残る仕上がりとはなったものの、蒸すこともできました(密閉具合により、蒸し時間の調整を)。水溶性の栄養素を逃さないので、普段より栄養価の高い野菜が摂れた気分。

最後に試したのは、stasherでのカレー調理。小さく切った野菜と、カレー粉をからめた牛コマをstasherに詰めて冷凍しておき、食べたい時に、冷凍庫から電子レンジへ直行&解凍。いったん庫内から取り出し、ルーを割り入れ、熱湯を注ぎ、再びレンジ加熱&混ぜる、を繰り返し。冷凍すると食感が落ちるジャガイモがややポソっとなりましたが、普段どおりのカレーが完成しました。

ほかにもstasherと電子レンジの組み合わせで、ワンパンパスタならぬワンstasherパスタが作れるなど、調理器具としての可能性が無限大

20210430_siliconbag_4
小さな「スナック」や、「サンドイッチ」、「ハーフガロン」とサイズが豊富にそろう。食材の保存だけでなく、小物の整理にも便利。

今回は使用しなかったのですが、「サンドイッチ」や「ハーフガロン」といったマチのない薄型タイプもあり、肉や魚を小分け保存したいときなどに重宝しそうです。

※写真1枚目の「レインボーコレクション」は2021年5月中旬に日本展開予定。

stasher

Zip Top®:マチがついていて安定性抜群。液体の保存ならおまかせ

「Zip Top®」は2019年にアメリカでスタートしたブランドで、BPA、鉛、フタル酸エステル、PVCを使用せず、アレルギーを引き起こしにくい100%プラチナシリコーンを採用。ブランド創設者であるレベッカ・フェネル自らデザインを手がけ、海外でデザイン賞を受賞しています。

開口部の設計が超優秀。汁物を入れるときも出すときも◎

特徴は、たっぷりとしたマチ。液体を入れても自立するので、スープなど汁物の保存に適しています。−30度から220度までの耐冷・耐熱性を備えており、スープを温め直す場合、電子レンジにかけても、湯煎にかけてもOK。

Zip Top®からスープを器に移し替える際に感動したのが、開口部の設計。サイドが少し尖ったデザインになっており、液体が広がらず、狙った場所に注ぎやすくなっていました。

洗いもの激減。ボウルがわりに使って、そのまま保存

底面の安定性が高いことから、ボウルがわりに使用することも可能。たとえばZip Top®にイチゴと砂糖を入れ、600Wの電子レンジで15分ほど加熱。庫内から取りだし、Zip Top®を手で揉んでイチゴを潰せば、イチゴジャムの完成。ボウルや混ぜるためのスプーンなど器具不要、口を塞げばそのまま保存できてしまうことから、余分な洗いものを出すことなく調理を終えられます(嬉)

野菜の下ごしらえにも便利と聞き、ポテサラ用のジャガイモのレンチン蒸しに挑戦。1cm角に切ったジャガイモをZip Top®に入れ、600Wの電子レンジで5分。竹串を刺すと……スッと入るではないですか。ラップを使う際はなるべく一度で捨てないようにしたいと常々心がけているものの、芋にラップを巻いてレンチンすると、熱でラップが縮むため、そのラップは再利用不可になり、たった一度でお別れになっているのを心苦しく感じていた筆者にとって、これはいい。Zip Top®に入れたまま手で揉んでジャガイモを崩し、ハムとマヨネーズを入れ、手で再びモミモミ。これでポテサラの完成です。またもや、ボウル要らず

20210430_siliconbag_5
100%プラチナシリコーン製保存容器「Zip Top®」。マチが広く倒れにくいため、液体の保存や、電子レンジでの下ごしらえや調理、ランチやフルーツの持ち運びなどに適している。写真は「カップ」タイプの「ショートカップ」サイズ、ラベンダーカラー(H15×W8×D10cm)1,540円(税込)。ほか同タイプのMサイズやLサイズ、幅広の「ディッシュ」、高さのある「バッグ」などがある。

今回、筆者が購入したのは「カップ」タイプのなかの、ショートカップ・サイズ。ボウルとして使うことが多いので、次は幅広タイプの「ディッシュ」を仲間入りさせようかと考えています。

開口部をパカっと開いたままにできるので、洗浄後の水切りがしやすく、衛生面もバッチリです。

Zip Top®

なぜ、シリコーン製保存容器を取り入れるべきなのか

そして最後に、なぜシリコーン製保存容器に着目したのかに触れておきましょう。それは、プラスチック製品の使用頻度を生活のなかで楽しく減らすことはできないかな、と考えたから。プラスチックが、海洋汚染と切っても切れない間柄にあるからです。

街中に、ポッと投げ捨てられているペットボトルやタバコ(フィルター部分がプラスチック)があるとします。これらが風などに飛ばされ、側溝に落ちると、下水を通じ、やがて川や海へ到達。

ならば水面上に浮いているものを拾い集めればいい、という簡単な話ではありません。プラスチックは紫外線等の刺激によって結合が切れやすく、粉砕されやすい素材です。粉砕され、5mm以下までとなるとマイクロプラスチックと呼ばれるように。このマイクロプラスチックが水中に散ったならば……もはや収拾することは不可能だと、想像に難くありません。

生物にとって有害となりうる?

マイクロプラスチックは、すでに海洋生物や海鳥への影響が指摘されています。また、2018年には、いよいよ人体からもマイクロプラスチックが検出されました(※)。マイクロプラスチックが人体にどのような影響を及ぼすのかについては、研究途中。ですが、近年の研究により、やはり少なからず悪影響を及ぼすことがわかってきているのだそう。

※Schwabl, P. et al (2018), Assessment of microplastic concentrations in human stool – Preliminary results of a prospective study, Presented at UEG Week 2018 Vienna, October 24, 2018. 

使わないわけにはいかないからこそ、代替案を取り入れる

ただ、環境も、健康も脅かすプラスチックは、この世からなくなればいいのかといえば、そういうわけにもいきません。たとえば医療現場でいえば、注射器の包装材や点滴の輸液袋など、衛生面と利便性の面からプラスチックが必要不可欠なシーンもあるからです。

大切なのは「代替可能な場合は、使わない努力」をすること。その1つのアイディアとして、シリコーン製のキッチン用保存容器を提案したいのです。

いまのペースでプラスチックの消費が進むと、2050年には、海には魚よりプラスチックごみの量が勝るようになると試算されています。

自分ひとりがプラスチック製品の使用量を減らしたところで、結果に大きな差はないかもしれません。ですが、これまでプラスチック製品を使っていたものを代替品に替え、多くの人による「今日は1ついいことしたな」の積み重ねがあるのとないのとで、結果は変わってくるはずです。

プラスチック製品をシリコーン製保存容器に替えてみる。生活に、少しの変化をもたらしてみてください。案外、より快適になる可能性もありますから。

※記事内の電子レンジの加熱時間は目安。電子レンジの機種や食材の量などによって変わる可能性があります。

暮らしを変えるすぐれもの

Ranking

RELATED ARTICLES