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ごはん日記の舞台裏。キッチンの「ガラクタ」は宝物/こぐれひでこさん[前編]

あの人の、キッチン

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大森りえ

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おいしい料理が生まれる「キッチン」という舞台裏。料理写真だけでは伝わらない、作り手のこだわりやストーリーがたくさんつまっています。

今回お邪魔したのは、21年も続く「こぐれひでこの『ごはん日記』」でおなじみのイラストレーター・こぐれひでこさんのご自宅。あの料理の数々は、どんなキッチンで生まれるのでしょうか。

広々としたオープンなキッチン。壁にはお鍋がズラリ

こぐれさんのご自宅は、横須賀市・秋谷にあります。35年ほど暮らした東京目黒・青葉台を離れ、相模湾が見渡せるこの地に移り住んだのは2014年12月のこと。

「とてもよく造られた家だったので、収納用の棚などを造り足しただけ。とても暮らしやすい家です」

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住空間のほぼ中央に位置するのがこぐれ家のキッチン。壁にラックを造作して皿やグラスなどを並べ、別の壁にはお鍋などをかけるフックを設置。オープンな収納にすることで、遊びにきたゲストが「お鍋はどこですか?」などと聞かずとも、調理やあと片付けに参加できるようにしています。

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「みんな勝手にやってねって感じ。うちはずっと“ぶらさげスタイル”なんです。パリの家でも、青葉台の家でも、お鍋は壁にぶらさげていました。このブルーのお鍋はパリから持ってきたもの。ひとつ抜けているのは、昨日使った油を入れて使用中。穴が空いて使えないものもあるけど、好きだから捨てないの

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グラスやカトラリーもゲストが自由に使えるようにオープンな場所に。

どんな道具を使っているの? こぐれさんの愛用品は

「ごはん日記」の読者にとっては、気になるのが愛用の調理道具。出番が多いのは、白いフライパン。

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「これはカインズのもの(上の写真)。すごく使いやすいんだけど、うしろがすぐ黒くなっちゃうの。青いお鍋はめずらしいでしょ(下の写真)。TORU君がパリから背負って持って帰ってきたル・クルーゼです。重いのに、若かったからね。オレンジ色のもル・クルーゼ。手前の薄いのはストウブのクレープパン。70歳手前だったかな、誕生日に自分で買いました」

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キッチンのあちこちに無造作に置かれた鍋や道具は、どれも使い込まれたものばかり。いつも見ている写真の料理は、これらの道具を使ってできているんですね。

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蚤の市で手に入れた、思い出の品々は「ガラクタでも宝物」

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パリで買ったマヨネーズのホイッパー。「ぐるぐるしたデザインが大好きなの」とこぐれさん。

ただし、なかには「使いにくくて、何十年も使っていない」というものも。たとえばマヨネーズ用のホイッパー。

もう使うことはないだろなってわかっていても、好きなものってあるじゃない? 目に入るところに置いておくだけで気分がいいもの。『好き』という感覚は、けっこう大切にしてますね。私が同居を許したものは、ガラクタでも宝物です」

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ゆで玉子の殻をむきやすくする道具。使っていないけど「歯」がかわいいのでお気に入り。

その多くが、パリに住んでいたときに蚤の市で買ったものだとか。1972年に間借りというかたちでパリに暮らし始めたことを皮切りに、何度も引っ越しを繰り返し、1989年には100平米もの広いアパルトマンを購入。そのときにいろんなものを蚤の市で揃えたそうです。はじめに紹介した壁にかかったお鍋もそのひとつ。

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思い出がつまったクリストフルのカトラリーたち。2人分だけ、取りやすいところに置いている(写真・右)。

「私、目利きでね。蚤の市で安くておもしろいものを探すのがすごく上手だったの。ある日、素敵なカトラリーがひと揃いで売られていたから『まけて』といったら、『あなた、クリストフルって知ってるの?』と言われちゃった(笑)。2セット買ってきたんですが、帰りは重くて大変でしたねぇ(笑)。今は使う分だけ出して、あとはしまっています」

「ごはん日記」にいつも登場するあのカトラリーに、そんなエピソードがあったとは。

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魚をモチーフにしたナイフ&フォークのセット。ダイニングルームの棚に大切にしまわれている。

自分の「好き」を大切に。その日の気分でお皿選びを楽しむ

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蚤の市で購入した皿がほとんど。「少し買って、買い足して」を繰り返してわが家に迎えてきた。

キッチンアイランドの引き出しには、たくさんの大皿が。蚤の市やパリの骨董屋で買ったもの、こぐれさんがデザインしたお皿も。見覚えのあるお皿も、ここに収納されていました。

お皿を買うときも、とにかく『好きなもの』を選ぶかな。盛りつけるのに便利そうだなんて考えないですね。毎日のお皿選びは、気分で『今日はこれにしよう』って選ぶのも楽しいの。あ、もちろんマイロハスの読者さんに『いつも同じ』って思われないように意識もしています(笑)」

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こぐれさんがデザインしたディナープレート。「ごはん日記」にも登場回数が多い。

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「買ってから、すぐ後悔した」という、一式揃った金彩の食器。こぐれさんは「ブルジョワの皿」と呼んでいる。

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左はアーティチョークのためのお皿。右はホワイトアスパラ用。「かわいいでしょ?」とこぐれさん。

そうそう、こぐれさんといえば、毎日変わるランチョンマットやテーブルクロス。使い方を参考にしている人も多いのでは?

好きな布を見かけたら買っておくといいですよ。わが家では、TORU君とふたりで糸を引いて、端の処理をするぐらい。アイロンなんてかけなくていいし、シミがついたら洗うぐらいの気楽さで。楽しいことが大切

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テーブルクロスは、きれいにたたんでゲストルームのクローゼットに重ねている。

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キッチンクロスはアイランドの脇にまとめて、パリから持ち帰ったクロスハンガーに。

なんでも「楽しむ」というこぐれさんの姿勢。こぐれさんの料理に見え隠れする遊び心の理由がちょっとわかった気がします。

後編は、こぐれ家の「食材事情」について。買い出しやTORUさんの家庭菜園、気になる冷蔵庫の中身を紹介します。

後編はこちら

ごはん日記の素材たち。まず好きな食材を買って、メニューはあとから考える/こぐれひでこさん[後編]

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こぐれひでこ
1947年埼玉県生まれ。イラストレーター。大学卒業後パリに住む。帰国後デザイナーとして活動した後、イラストレーターに転身。食や暮らしに関するイラストやエッセイを中心に執筆。「こぐれひでこのごはん日記」は2000年2月スタート。朝昼晩の食事をバランスよく、かつバリエーション豊かに食べること。それが人生の楽しみ。

撮影/小禄慎一郎

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