1
ML_FOR-SUSTAINABLE-LIFE_re

わたしたちの心地よい暮らしに役立つもの、積極的に選びたい社会や環境に優しい商品、みんなにとって気持ちがいいアイテムやサービスを、編集部がピックアップする連載「Editor’s Pick」。

今回は、カカオの廃棄部位を使用して生まれたサスティナブルなチョコレート「ECOLATE(エコレート)」

20210510_ecolate_1

約30年後、チョコレートは食べられなくなる!?

なぜ!? そんなの困る!!! と、なりますよね。

これは「チョコレート危機」と呼ばれる問題で、2点に起因し、この危惧は生まれています。

1つは、環境にまつわること。地球温暖化に伴う気候変動の影響により、カカオ栽培自体が不可能になる可能性があるほか、カカオ樹の老齢化や病気の脅威などにも直面しており、カカオ不足となることが懸念されているのです。また、需要を満たすためにカカオの生産地を拡大することが、環境破壊につながっているとも指摘されています。

またもう1つは、カカオ農家を取り巻く社会問題。カカオを原料とする商品の大量生産・消費、価格低迷を背景に、カカオ農家の多くは貧困状態にあります。これに伴って児童労働・危険労働も起こり、問題が深刻化しているのです。

20210510_ecolate_2

日本のチョコレート市場は、2019年までの10年間に35%の成長を遂げました(※)。皆が愛するチョコレートを、未来永劫、愛し続けることができるように……、と願い込めて生まれた商品が、この「ECOLATE」です。

カカオの廃棄部位に、食材としての価値を与える

ECOLATEは、地球上でまだ光を浴びていない素材にフォーカスし、その素材を食べることで地球のためになるような、地球の新たな食材を見つけるプロジェクト・LIFULL Table Presents「地球料理-Earth Cuisine-」の第3弾として誕生したスイーツ。

20210510_ecolate_3

同プロジェクトが着目した素材がカカオの廃材。チョコレートのモトであるカカオの実は、その3割程度しか使用されず、約7割は廃棄されています。このカカオの廃材に食材としての価値を与えることで、農家の貧困問題を解決する第一歩としよう、と考えたのだそう。

廃材を用いたからこそ生まれた魅力的な風味や食感

カカオの廃材を使用した新たなチョコレートの開発を託されたのは、「Social Kitchen(ソーシャル キッチン)」のプロデューサー・江藤英樹さんと、同ディレクター・上妻正治さん。両名とも、カカオの廃材を口にしたのは、今回が初めて。

「本来、食べるところではないので、食材として使用することに、正直、戸惑いました。ですが、とても意義のあるプロジェクトだと思ったので、ていねいに開発しました」(江藤さん&上妻さん)

2人の手により、生まれたのは、2種のチョコレート。

まずは「ECOLATE CARRE(エコレート カレ)」。カカオ豆のだけでなく、まで使ったひと口チョコレートです。

「殻や枝、葉が、そのものの状態で届いたんです。これらをいかにスイーツにするかが、難題でした。殻を細かくしすぎず、あえて粗めに残すことで、『廃材っぽさ』を感じることができるように仕上げています」(江藤さん)

20210510_ecolate_4
江藤英樹シェフ開発のひと口チョコレート「ECOLATE CARRE」2,200円(税込)。左から、殻の食感を残し、ビターに仕上げた、カカオ豆の殻50%含有タイプ、枝を20%含有させ、木々を思わせるタイプ、殻や枝のほか葉も使った、森にいるかのような香りのタイプと、フレーバーは3種。

カカオ豆の殻を使用した板チョコタイプの「ECOLATE TABLETTE(エコレート タブレット)」も。

「最大限の量の殻を入れ、どこに着地させるのか、という点に苦心しました。殻を33%使用してみたところ、形状やテクスチャーには問題がなかったものの、渋さという課題に直面。そこで一般的な砂糖に比べ、甘味の強い果糖やキビ糖などをブレンドして加え、渋さとのバランスをとることにしたんです」(上妻さん)

20210510_ecolate_5
上妻正治シェフ開発のタブレット「ECOLATE TABLETTE」は、カカオとココナッツが織りなす豊かな風味と、ほろ苦い甘さのなかに酸味を感じさせる大人な味わいが特徴。1,760円(税込)。殻を使っていることがわかる歯ざわりと、そのあとに続くなめらかな口どけとのギャップがユニーク。

どちらも、間違いなくチョコレート。ですが、ほんのり漂う自然の香りや、工夫が凝らされた食感に、一般的なチョコレートとは違う目新しさを感じるはず。

20210510_ecolate_6

今回の試みは、1つのカカオの実から生まれるチョコレートの量を増やしたのと同時に、廃棄部分にも価値が見出されたことで、農家の収入源を増やすことも意味します。まさに、環境も、農家も幸せにするチョコレート

「持続可能な社会をつくるため、今後、カカオ廃材を使うシェフを増やしていきたいと考えています。そのためにも、スイーツや料理などのカテゴリーを決めずに、継続してさまざまな取り組みを進めていく予定です」(LIFULL 執行役員・CCO 川嵜鋼平さん)

※全日本菓子協会(ANKA)「菓子統計資料」より

LIFULL Table〜ECOLATE〜

おやつにはサスティナブルなスイーツを

Ranking

RELATED ARTICLES