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96歳のばぁばが教える「料理きほんのき」。食べることは生きること

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田邉愛理

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新年を迎え、気持ちも新たに手にとるお料理の本として、これ以上素晴らしいものがあるでしょうか。

『誰も教えなくなった、料理きほんのき』(小学館)の著者は、御年96歳、ばぁばこと鈴木登紀子先生。食事の基本となるごはんの炊き方からおだしの取り方、旬の元気な食材をおいしくいただく方法、美しい盛り付けやテーブルマナーのポイントまで、鈴木先生の50年に及ぶ家庭料理のすべてが語り尽くされた一冊です。

食べることは生きること

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料理界の最長老ともいわれる鈴木先生。自宅で始めたお料理教室をきっかけに「きょうの料理」(NHK Eテレ)に出演したのは、子育てが一段落した46歳のときでした。

鈴木先生の料理の原点は、料理上手だった明治生まれの母“お千代さん”。何事にも心を添えて丁寧に対処する暮らし方、生き方のお手本だったと綴られています。

食べることは生きることです。命は栄養のあるものをバランスよく、おいしく食べることで元気になります。時代は変われど、この原則は決して変わりません。そしてその「命のもと」はお台所から生まれます。誤解しないでくださいね。“おいしく”というのは何も、つねに手間ひまかけて何品も作って食べる……ということではありません。時間がなければ炊きたてご飯におみそ汁、卵焼きとお漬けものだけでもよろしいの。今は親も子供も大忙しですから、せめて朝食、あるいは夕食だけでも、お腹がほっとする温かいお膳で、ご家族で食卓を囲んでほしいのです。

(『誰も教えなくなった、料理きほんのき』4ページより引用)

忙しいときでもごはんは炊きたて、汁椀は煮えばなを並べれば、一汁一菜でも心温まる食卓になると鈴木先生は言います。

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「ほうれん草のおひたし」って、だしに浸けるから、おひたしですよ。お醤油がけではないのよ。

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「かきフライ」のおいしい秘訣は、ヒダまでたっぷり衣をつけること。

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鮮やかな黄菊の乾物を常備してご覧なさいな。おもてなしにもなる「いくら南天」ができますよ。

一品一品を確実においしく仕上げられるように、レシピがちょっと長めなのも本書の特徴。「基本を知らずに料理の手を抜くことはできない」というばぁばの“お小言”に、思わずドキッとしてしまいました。

「しぼらない大根おろし」が最高のパスタソースに

とはいえ、本書には手間ひまをかけた料理ばかりが紹介されているわけではありません。

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鯛のあらはお安くて便利。かまぼこで「白魚もどきのお椀」に。

家族のお世話に加えて月の半分が料理教室、半分が撮影という大忙しの日々を60代まで続けてきた鈴木先生。「忙しい日の料理」の章では、料理教室や撮影の合間の「ちゃちゃっとまかない」料理が紹介されています。これがまた、びっくりするほど簡単なのに、感動的においしいという、頼もしいレシピばかりなのです。

助手さんたちに大人気だったのは、「ツナと大根おろしのまかないパスタ」。ゆでたてのスパゲティーに大根おろし、ツナ、細切りにした大葉をのせてお醤油をかけるだけの一品です。大根おろしをしぼらないことで、お醤油と相まって最高のソースになるのだとか。

台湾の屋台グルメをばぁば流にアレンジ

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台湾の屋台グルメ「葱餅(ツォピン)」をアレンジした時短レシピもありました。

ツォピンは台湾の台北育ちだったという“パパさん”(ご主人の鈴木清佐さん。2009年に逝去)の大好物。「おねぎのねっとりした甘み、バターの風味と甘辛じょうゆがおもちに絡んで、なんとも幸せを感じるお味なの」という下りを読んでどうしても食べたくなり、夜の10時に作ってしまいました。

パパさんが大好きだった「葱餅(ねぎもち)」

1.もち5個は2等分に切る。ねぎ2本は1cm幅の斜め切りにする。
2.フライパンにサラダ油大さじ2、バター大さじ1を入れ、火にかけ溶かす。火を止めてねぎの半量を広げ、もちをのせ、その上に残りのねぎをのせる。
3.酒・砂糖各大さじ3、みりん大さじ2、しょうゆ大さじ3強を順に加えて蓋をし、中火にかける。煮立ったら弱火にし、もちが4~5分でとろっとしたら完成。
※材料は2~3人分

(『誰も教えなくなった、料理きほんのき』181ページより引用)

この料理、あまり料理に注文をつけるタイプではなかったパパさんが、「おいしいね、懐かしいね」とそれは喜んでくれたのだそう。こうしたばぁばと家族のエピソードがさりげなく語られているところも、本書のなんともいえないあたたかみの源になっている気がします。

とろっとしたお餅とネギに甘めのバター醤油が絡んだ「葱餅(ツォピン)」、今も思い出すと食べたくなります。お正月のお餅が余っていたら、甘みを増した冬のネギをたっぷり使って、ぜひ作ってみてください。

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誰も教えなくなった、料理きほんのき

写真提供/株式会社小学館

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