Twitterや著書『精神科医 Tomyが教える 1秒で悩みが吹き飛ぶ言葉』(ダイヤモンド社)に綴られた言葉が、読む人の心を軽くすると話題を集める精神科医 Tomyさん。

幸せや生きることの意味について聞いた前編に続き、この後編では、今日からできる「自分にとっての幸せを見つけるヒント」を伺いました。

悩みの種を解消するより、うんと簡単。幸せの見つけ方

前編で「幸せや生きる意味を問いすぎると苦しくなる」と教えてくれたTomyさん。それでも、生きていくなら少しでも幸せでありたいと願うのはふつうの感情。生きづらさを緩和して、理想や他人と比べずに“自分の幸せ”を見つけるには、以下の4つが近道となるそうです。

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1:心にささくれをつくる対象から「離れる」

より良い自分になりたくて、情報を得るためにSNSを開いたはずなのに、なんだか心がもやもや。自分がネガティブになっているときは、余計に心がささくれ立つのを感じてしまいます。

手っ取り早いのは、その対象から離れること。ただ離れるだけではなく、“徹底して”離れることです。つらいのはSNSだとわかっているのに、ついスマホを見ちゃうって人が意外と多いのですが、それではどつぼにはまるだけ。どうしたら離れられるかをまず考えてみてください」

新型コロナウイルスを例に挙げ、「不安で仕方ないからといってニュースに釘付けになっても、何もいいことはなかったはず」とTomyさん。

「感染者数の増減に一喜一憂したり、ウイルスのせいで好きだったことができないなどと悲観したりせず、いったん情報から離れて、制限下でもできることを楽しめばいい。人も同じです。会うといつもゆううつな気持ちになるという人がいるなら、距離を置くことに注力すればいい。離れてみると解決することは意外と多いんです」

2:物事を客観視し「視点を変える」

前編でも少しふれましたが、視点を変える、捉え方を変えることも、生きづらさをラクにする方法のひとつ。

「物事をネガティブに考えてしまう原因をどうにかしようと思うのではなく、自分は今、そういう状況にあるんだなと客観的に捉えることです。考えることをやめるのは難しいので、別のことを考えるとか、部屋の模様替えなど他のことに集中するのもいいと思います。やることがないと、ネガティブになったり、ふだん何とも思わないことが気になったりしますから」

TomyさんがTwitterで紹介している「ストレスがちょっと減るおまじない」も、試す価値がありそうです。

「腹式呼吸で鼻からゆっくり息吸って、口からゆっくり吐き出して、『ま、いっか』とつぶやくの」

3:「体調を整える」と、思考も整う

若いときは、体力が落ちていても「気力で乗り切る」なんてことができたのに、年齢を重ねると、体力にあわせて気力も引きずられるように落ちてしまうなんてことも。もちろん、その逆も然り。気力が落ちるとどこかへ出かけるのもおっくうで、重い腰を上げるのもひと苦労。

体調が悪いと、物事をネガティブに考えてしまう傾向にあります。だいたいの場合、人は気持ちから立て直そうとするのですが、体調を先に整えることが大切。難しそうに思えて、実は一番簡単な方法かもしれません」

食事と睡眠をしっかり取って、自分の機嫌をよくすることを心がけてみてください。慣れてくると「ネガティブな考えしか浮かばないから、今は体調がよくないのかも」と気づけるようになるのだとか。

4:自分の気持ちや気になる言葉を「書いてみる」

自分の気持ちを何かに書き出すということは、人に話を聞いてもらうのと同じ効果がある」とTomyさん。何がつらいのか、何に悩んでいるのかを書き出すことで、気持ちは整理され、あとで見直して自分を振り返ることもできます。

「スクラップブックや手帳、スマホアプリなど、何に書いても構いません。実際に患者さんにもすすめていますし、僕自身も思いついたことはすぐ書き出しています」

Tomyさんが前編で「これまでに経験した絶望の淵で、支えとなったのは自分がストックしていた言葉だった」と語っていた通り、書き溜めていた言葉が自分の味方になることもあります。

自分で考えた言葉ではなくても、自分で選び、自分なりに咀嚼した言葉なら、本や映画などで出会った言葉でももちろんOK。

* * *

悩みの種を解消せずとも、ネガティブになりがちな感情を自分でコントロールし、幸せを見つけるアイデアは意外とたくさんあるのですね。

まずはTomyさんのTwitterや著書にあふれる珠玉の言葉から、自分ごととして腑に落ちるものを選び、書き出してみてはいかがでしょうか。

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精神科医 Tomy(トミー)さん
1978年生まれ。某名門中高一貫校を経て、某国立大学医学部卒業後、医師免許取得。研修医修了後、精神科医局に入局。精神保健指定医、日本精神神経学会専門医。精神科病院勤務を経て、現在はクリニックに常勤医として勤務。覆面で雑誌、テレビ・ラジオ番組などにも出演。2019年6月から本格的に投稿を開始したTwitter「ゲイの精神科医Tomyのつ・ぶ・や・き」も人気。近著『精神科医 Tomyが教える 1秒で悩みが吹き飛ぶ言葉』(ダイヤモンド社)ほか著書多数。

前編はこちら

生きづらさを感じる人へ。「生きる」「幸せ」はそれほど壮大なテーマではない/精神科医 Tomyさん【前編】

生きづらさを感じる人へ。「生きる」「幸せ」はそれほど壮大なテーマではない/精神科医 Tomyさん【前編】

撮影/中山実華、イラスト/カツヤマケイコ

1978年生まれ。某名門中高一貫校を経て、某国立大学医学部卒業後、医師免許取得。研修医修了後、精神科医局に入局。精神保健指定医、日本精神神経学会専門医、産業医。精神科病院勤務を経て、現在はクリニックに常勤医として勤務。覆面で雑誌、テレビ・ラジオ番組などにも出演。2019年6月から本格的に投稿を開始したTwitter「ゲイの精神科医Tomyのつ・ぶ・や・き」も人気。近著『精神科医 Tomyが教える 1秒で悩みが吹き飛ぶ言葉』(ダイヤモンド社)ほか著書多数。

1978年生まれ。某名門中高一貫校を経て、某国立大学医学部卒業後、医師免許取得。研修医修了後、精神科医局に入局。精神保健指定医、日本精神神経学会専門医、産業医。精神科病院勤務を経て、現在はクリニックに常勤医として勤務。覆面で雑誌、テレビ・ラジオ番組などにも出演。2019年6月から本格的に投稿を開始したTwitter「ゲイの精神科医Tomyのつ・ぶ・や・き」も人気。近著『精神科医 Tomyが教える 1秒で悩みが吹き飛ぶ言葉』(ダイヤモンド社)ほか著書多数。