1. Home
  2. MIND
  3. 「女子力が高い」と言われても、うれしくない女性たち

「女子力が高い」と言われても、うれしくない女性たち

「おばさん」て誰のこと?

1,788

田中ひかる

20200921_1

「おばさん」をキーワードに、揺らぐ年齢観や女性の価値観の変化を、歴史社会学者の田中ひかるさんがつづる連載の第10回目は、今では嫌悪されがちな「女子力」というワードについて。

「おばさん」回避から生まれた「女子」

20200921_4

これまで「おばさん(オバサン)」という呼び方についてあれこれ書いてきましたが、はっきりしているのは、現代では「おばさん」と呼ばれてうれしい女性はあまりいないということです。

呼称ではないものの、「おばさん」呼ばわりを良しとしない空気の中から生まれた言葉が「女子」ではないでしょうか。「女子会」「女子力」「オトナ女子」などの「女子」です。

このうち「女子力」という言葉については、すでに賛否両論が出尽くしています。

「女子力」は、漫画家の安野モヨコさんが1998年から美容情報誌『VoCE』(講談社)で連載した「美人画報」で使ったのが最初だと言われています。

当初は“きれいになる技術を持つこと”つまり“美容力”といったニュアンスで使われることが多かったのですが、徐々に美容やファッションの域を超え、料理やマナー、コミュニケーションなどのスキル全般を指すようになりました。

都合よく解釈できる言葉であるため、女性の“在り方”や“生き方”を語る上で便利であり、何より「力」という言葉が女性をエンパワーメントするような印象を与えることから、メディアが積極的に使いました。

しかし、「積極性」「前向きな姿勢」と好意的に捉えられていた「女子力」も、次第に飽きられ、むしろ嫌悪されるようになっていきます。

「女子力」はジェンダーを体現した言葉

20200921_3

朝日新聞デジタルが2016年から2017年にかけて行った「『女子力』って?」というアンケート調査(回答数1621件、うち女性1250人)では、「女子力」という言葉に「いいイメージ」を持つ人よりも、「悪いイメージ」を持つ人のほうが多く、「女子力」を「料理や掃除など、家事が得意」「細やかな気配りができる」ととらえている人が多いことがわかります。

また、次のような意見も寄せられました。

「女子力」ということばは、伝統的な役割分業観、あるいはステレオタイプ化された「女らしさ」(その裏としての「男らしさ」)を前提にしていることが多いと思います。私は大嫌いです。人間として求めるべき「力」は性別に関係ないです。「女子力」ということばは場合によってはジェンダー差別を助長します。(50代男性)

たしかに「女子力」と見なされているものは、女性のみに求められるべきものではありません。「男子力」という言葉がないこと、かりに「男子力」という言葉があったとして、それは何を指すのだろうかと考えれば、「女子力」がジェンダーを体現している言葉であることは明らかです。拡大解釈され、便利に使われていた「女子力」ですが、最近はほとんど死語となりました。

「オトナ女子」もほとんど使われていません。それはとりもなおさず、「オトナ」をつけずとも、「女子」が年齢を問わず女性全般を指す用語として使われる場面が増えているからではないでしょうか。

次の最終回は“自称「女子」”について考えます。

おばさんて誰のこと?

「オバサン」に図々しいイメージが定着した理由

「オバサン」に図々しいイメージが定着した理由はなぜか?「団塊の世代」や「オバタリアン」との関係など、年齢観や女性の価値観の変化を歴史社会学者の田中ひ...

https://www.mylohas.net/2020/09/219492obasan09.html

イタい? ダサい?「美魔女」はなぜ嫌われるのか

歴史社会学者、田中ひかるさんによる「おばさん」をテーマにした連載。前回に引き続き、「美魔女」について。「美魔女」は悪役?日本社会の年齢観や女性観につ...

https://www.mylohas.net/2020/08/218087obasan05.html

profile

田中ひかる(たなか・ひかる)さん
歴史社会学者。1970年、東京都生まれ。女性に関するテーマを中心に、執筆・講演活動を行っている。近著『明治を生きた男装の女医―高橋瑞物語』(中央公論新社)ほか、『「オバサン」はなぜ嫌われるか』(集英社新書)、『生理用品の社会史』(角川ソフィア文庫)など著書多数。公式サイト

image via Shutterstock

    specialbanner

    Ranking

    1. 毎日がもっと楽しくなる。脱・顔のかゆみで、心と肌に上向きスパイラル

    2. 美容好きも注目! 福本敦子さんの「自分を慈しむ」暮らしのヒント3つ

    3. 2020年10月26日〜今週の運勢 【LUAの12星座占い】

    4. ポジティブじゃなくたっていい。ポジティブ思考が望まない結果をもたらす場合

    5. ストレスに負けない「レジリエンス(折れない心)」を身につけるヒント

    6. 生きづらさを感じる人へ。「生きる」「幸せ」はそれほど壮大なテーマではない/精神科医 Tomyさん【前編】

    7. 自分にとっての幸せを見つけるシンプルな4つの習慣/精神科医 Tomyさん【後編】

    8. こんなに「栗!」を感じるのは初めて。農家をサポートするベジターレの極みモンブラン

    9. 自己肯定感を高めようなんて思わなくていい。自分を邪魔する「メンタルノイズ」を見つけて

    10. 高タンパク・低脂肪な鶏むね肉を美味しく常備。プロの「しっとり冷凍」テクニック

    1. 毎日がもっと楽しくなる。脱・顔のかゆみで、心と肌に上向きスパイラル

    2. 美容好きも注目! 福本敦子さんの「自分を慈しむ」暮らしのヒント3つ

    3. ストレスに負けない「レジリエンス(折れない心)」を身につけるヒント

    4. 自分にとっての幸せを見つけるシンプルな4つの習慣/精神科医 Tomyさん【後編】

    5. 高タンパク・低脂肪な鶏むね肉を美味しく常備。プロの「しっとり冷凍」テクニック

    6. こんなに「栗!」を感じるのは初めて。農家をサポートするベジターレの極みモンブラン

    7. きゅっと上がった「桃尻」とくびれをつくる、スクワットのアレンジHIIT

    8. 2020年10月26日〜今週の運勢 【LUAの12星座占い】

    9. クリーミーなスクランブルエッグを短時間で作るコツ/朝食レシピ

    10. 生きづらさを感じる人へ。「生きる」「幸せ」はそれほど壮大なテーマではない/精神科医 Tomyさん【前編】

    1. 毎日がもっと楽しくなる。脱・顔のかゆみで、心と肌に上向きスパイラル

    2. 美容好きも注目! 福本敦子さんの「自分を慈しむ」暮らしのヒント3つ

    3. 相手の行動を変える、たったひとつのほめ言葉。信頼関係をつくる「100点のほめ方」

    4. 気持ちいい「骨盤ほぐし」で、体の歪み改善&スタイルアップ

    5. 1杯目のコーヒーのタイミングに気をつけるとその日がうまくいく/神経科学で証明

    6. あれこれやらずに、これだけ極めて。腹筋をトータルで鍛えるトレーニング

    7. 若年性乳がんになりやすいのはどんな人? きちんと知りたい「乳がん」のこと/ピンクリボン強化月間

    8. 1分間、集中。全身の筋肉フル稼働の「マウンテンクライマー」

    9. 自分にとっての幸せを見つけるシンプルな4つの習慣/精神科医 Tomyさん【後編】

    10. ストレスに負けない「レジリエンス(折れない心)」を身につけるヒント

    Horoscope

    LUAの12星座占い

    毎週月曜日更新中!

    プレゼント応募やおすすめ情報をGET!メルマガ会員登録はこちら