1. Home
  2. MIND
  3. 「オバサン」に図々しいイメージが定着した理由

「オバサン」に図々しいイメージが定着した理由

「おばさん」て誰のこと?

1,492

田中ひかる

20200914_4

「おばさん」をキーワードに、揺らぐ年齢観や女性の価値観の変化を、歴史社会学者の田中ひかるさんがつづる連載、第9回目は、「おばさん」という呼び方のニュアンスを変えた理由を、あるブームから紐解きます。

「オバタリアン」が流行語大賞を受賞

20200914_2

この連載では、「おばさん」と「オバサン」を適宜使い分けてきました。“他意”なく中高年女性を指す場合は「おばさん」、“他意”がある場合は「オバサン」です。

「おばさん」を「オバサン」と書き換えなければならないほどに、そのニュアンスを大きく変えたのが、1990年代の「オバタリアン」ブームです。

「オバタリアン」という言葉は、「おばさん」と1986年公開のホラー映画『バタリアン』(Battalion=大群)の合成語で、堀田かつひこさんの4コマ漫画『オバタリアン』で使われたのが最初です。

『オバタリアン』は『まんがライフ』(竹書房)などに連載されたあと、1988年から1998年にかけて単行本13巻が刊行され、テレビアニメも製作されました。作品では図々しいオバサンの生態がおもしろおかしく描かれ、「オバサンは図々しい」というイメージが定着してしまいました。

世の中がなんとなく「オバサンて図々しいよね」と感じていたところへ、『オバタリアン』がお墨付きを与えた形です。共感が共感を呼び、ブームとなったことは、「オバタリアン」という言葉が1989年の「新語・流行語大賞」で流行語部門の金賞を受賞したことからもわかります。

なぜ「オバサンは図々しい」とされたのか

20200914_3

「オバタリアン」ブームが始まった1990年前後といえば、“団塊の世代”の女性たちが40代半ばに差しかかった頃です。この世代の女性たちは、20代前半にウーマン・リブの洗礼を受けているため、上の世代に比べると男女同権意識が強いと言えます。「女は一歩下がって男に従うべき」という考えの人たちには、図々しく映ったのではないでしょうか。

また、「図々しい人」はどの年代にも一定数いるはずですが、“団塊の世代”の場合は母集団が大きいため、「図々しい人」の人数も多かったのかもしれません。さらに、この世代の女性たちは、積極的に社会へと出て行ったため、目立ったということもあるでしょう。

『女性の呼び方大研究――ギャルからオバさんまで』(三省堂、1992年)の著者遠藤織枝さんは、社会が豊かになり、時間に余裕のある主婦たちが、生協や産直共同購入を始めたり、市民運動に関わったりと「マス(集団)」として社会に関わるようになったことで、「オバサン」が目に付くようになったと述べています。

「オバタリアン」ブームの頃に比べれば、最近は「オバサンは図々しい」という偏見はあまり聞かなくなりました。それは、女性が社会に出て男性と対等に働くことが当たり前になり、女性が“男性のように”主張したり、行動したりすることを「生意気」「図々しい」と捉える人が少なくなったからでしょう。

おばさんて誰のこと?

なぜ「おばさん」と呼ばれてギョッとするのか

私っておばさん…?歴史社会学者、田中ひかるさんによる「おばさん」をテーマにした連載。最近はなぜ、おばさんと呼ばれることに慣れていない中高年女性が増え...

https://www.mylohas.net/2020/09/219491obasan08.html

「プチ整形」が「整形」でなくなる日

歴史社会学者、田中ひかるさんによる「おばさん」をテーマにした連載。今回のテーマは『「プチ整形」と美容の効用』。美容医療の力でアンチエイジングもすっか...

https://www.mylohas.net/2020/08/218694obasan06.html

profile

田中ひかる(たなか・ひかる)さん
歴史社会学者。1970年、東京都生まれ。女性に関するテーマを中心に、執筆・講演活動を行っている。近著『明治を生きた男装の女医―高橋瑞物語』(中央公論新社)ほか、『「オバサン」はなぜ嫌われるか』(集英社新書)、『生理用品の社会史』(角川ソフィア文庫)など著書多数。公式サイト

image via Shutterstock

    Ranking

    1. 料理で最初に食材を切るのは間違い。「伝説の家政婦」志麻さんが教える台所ルール

    2. 花粉症対策は食事から!? かゆみに良い食材と悪い食材3つ

    3. 猫背・巻き肩の改善、代謝アップに。メリットたくさん「肩甲骨のストレッチ」

    4. 美容好きも注目! 福本敦子さんの「自分を慈しむ」暮らしのヒント3つ

    5. デート中にも潜むデリケートゾーン問題。私がもじもじしていた本当のワケ

    6. 週1回、16時間でOK。プチ断食をより効果的にする方法

    7. 乳製品不使用でもこっくり濃厚。クリームを使わないクリームパスタ

    8. これって老眼のはじまり? 目に不調を感じたら気をつけたいこと

    9. どう摂ればいい? 美容と健康を底上げし、ストレスから私たちを守る「ビタミンC」

    10. 【クイズ】足がしびれた! 早く治すにはどうするのが正解?

    1. 料理で最初に食材を切るのは間違い。「伝説の家政婦」志麻さんが教える台所ルール

    2. 花粉症対策は食事から!? かゆみに良い食材と悪い食材3つ

    3. 美容好きも注目! 福本敦子さんの「自分を慈しむ」暮らしのヒント3つ

    4. デート中にも潜むデリケートゾーン問題。私がもじもじしていた本当のワケ

    5. 猫背・巻き肩の改善、代謝アップに。メリットたくさん「肩甲骨のストレッチ」

    6. 乳製品不使用でもこっくり濃厚。クリームを使わないクリームパスタ

    7. すぐに真似してみたい。こぐれひでこさんのアイデアいっぱいサラダ7選

    8. 週1回、16時間でOK。プチ断食をより効果的にする方法

    9. オンラインで広がったヨガの可能性。モデル・野沢和香さんが次に挑戦したいことは

    10. 上げたいのは「免疫力」。健康を底上げする新キーワード「デカン酸」に注目

    1. 料理で最初に食材を切るのは間違い。「伝説の家政婦」志麻さんが教える台所ルール

    2. 花粉症対策は食事から!? かゆみに良い食材と悪い食材3つ

    3. 美容好きも注目! 福本敦子さんの「自分を慈しむ」暮らしのヒント3つ

    4. デート中にも潜むデリケートゾーン問題。私がもじもじしていた本当のワケ

    5. 歯磨きが睡眠に与える影響は? 寝る前に絶対やっていはいけないこと

    6. 調査でわかった。「男性が本当にほしいギフト」と「女性が贈りたいギフト」は一致していた

    7. 週1回、16時間でOK。プチ断食をより効果的にする方法

    8. 頭痛持ちの人が「やらないほうがいいこと」4つ。えっ、クラシック音楽も!?

    9. 【クイズ】足がしびれた! 早く治すにはどうするのが正解?

    10. 脚も環境も喜ぶサスティナブル・スニーカー。いっぱい歩いても、なんなら走っても大丈夫

    Horoscope

    LUAの12星座占い

    毎週月曜日更新中!

    プレゼント応募やおすすめ情報をGET!メルマガ会員登録はこちら