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「プチ整形」が「整形」でなくなる日

「おばさん」て誰のこと?

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田中ひかる

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「おばさん」をキーワードに、揺らぐ年齢観や女性の価値観の変化を、歴史社会学者の田中ひかるさんがつづる連載 。第6回目となる今回は、「プチ整形」と美容の効用について考えます。

かつて「整形」感覚だった“あるもの”

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最近は、美容医療を上手に利用して、いつまでも若さを保っている中高年女性が増えています。

美容医療には高価なものもあるため、経済格差がそのまま美容格差につながるということも考えられますが、技術革新により、廉価で汎用性のある美容法も広がるはずです。

すでに二重まぶた術や、ボトックス(ボツリヌス菌を注射することでシワができないようにする) 、ヒアルロン酸注射などは、「プチ整形」と呼ぶのも大げさなくらい一般化しています。いずれこれらを「整形」とは言わなくなるでしょう。

というのも、かつては「整形」と同列に見なされていた“あるもの”が、現在では美容院の平凡な一メニューにすぎないからです。今から30年以上前、1988年に刊行された酒井順子さんの『お年頃 乙女の開花前線』(主婦の友社)にはこんな下りがあります。

ストレートパーマをかければいいという意見もあります。確かに、ストレートパーマは、現代の女の子にとっては、画期的な方法、魔法のようなものです。その誘惑は大きいのです。ただ、ストレートパーマは、普通のパーマと違って、気軽にかけられないんですよね。パーマというよりは、整形の部類に属するような気がして、それに、もしも誰かに、
「きれいな髪ね。真っすぐで」
なんてほめられてしまったら、答えようがないじゃないの。
「実は、ストレートパーマなの」
なんて言うのは、
「この二重、整形なの」
と言うのと同じくらい恥ずかしそう。本当に、美容師さんも、罪なものを開発してくれたものです。

(『お年頃 乙女の開花前線』(主婦の友社)より引用)

なんと「ストレートパーマ」が「整形の部類に属するような」感覚だったようです。今やストレートパーマや縮毛矯正を隠し立てする人などいません。したがって、現在「整形」と見なされているものも、つけまつげ程度の扱いになるのではないでしょうか。

“美の基準”を疑ってみる

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すでに高校では、夏休み明けにクラスでひとりやふたり、一重まぶたから二重まぶたになっている女子生徒が珍しくないようです。しかし彼女たちの多くは、プチ整形以前に「アイプチ」などで二重まぶたにしている場合が多いので、はた目にほとんど違和感がないとのこと。

毎日「アイプチ」を使うのは手間ですし、のりでかぶれることもあるため、整形外科で二重まぶた術を受けようと考えることは、「合理的」なのです。旧態依然の校則は、メイクや髪染め、マニキュアは禁じていても、「アイプチ」やプチ整形には言及していません。

また、高校生どころが、小学生で「アイプチ」を使っている子どももいれば、幼児に「アイプチ」を使って二重のクセをつけようとするお母さんも珍しくありません。

それにしても気になるのは、「一重まぶた」より「二重まぶた」のほうが優れているということが、当然のように信じられていることです。“美の基準”なるものを疑ってみたり、「美しくあれ」と煽る風潮を一歩引いて眺めたりする冷静さも必要です。

アンチエイジングについても同様です。“若さ”、とくに“見た目の若さ”を重視する社会を一度は斜に見てもよいと思います。それでもなお若返りたい人は、「年相応」という同調圧力など気にせず、アンチエイジングに励めばよいのです。その結果、前向きになれたり、明るくなれたりするのであれば、それが美容の効用でしょう。

おばさんて誰のこと?

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田中ひかる

田中ひかる(たなか・ひかる)さん
歴史社会学者。1970年、東京都生まれ。女性に関するテーマを中心に、執筆・講演活動を行っている。近著『明治を生きた男装の女医―高橋瑞物語』(中央公論新社)ほか、『「オバサン」はなぜ嫌われるか』(集英社新書)、『生理用品の社会史』(角川ソフィア文庫)など著書多数。公式サイト

image via Shutterstock 、Photo by Getty Images

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