1. Home
  2. MIND
  3. なぜ「劣化」という言葉が使われるのか。嫉妬心の裏返し?

なぜ「劣化」という言葉が使われるのか。嫉妬心の裏返し?

「おばさん」て誰のこと?

2,509

田中ひかる

20200803_top

「おばさん」をキーワードに、揺らぐ年齢観や女性の価値観の変化を、歴史社会学者の田中ひかるさんがつづる連載第3回目、キーワードは「劣化」です。

「機械とか家、壁とかに使え!」

20200803_1

芸能界には「きれいな40代」「きれいな50代」がたくさんいます。彼女たちも人間なので、当然ながら少しずつ老化していきます。その容貌の変化に対し、おもにネット上で「劣化」という言葉が使われるようになったのは、10年ほど前のことです。

映像技術の進歩により、シワやシミ、場合によっては毛穴までもがテレビ画面に鮮明に映し出されるようになり、さらにインターネットの普及によって、その一瞬の映像が切り取られ、「劣化」画像として拡散されるようになりました。

こうした状況に対し、爆笑問題の田中裕二さんがラジオ番組で、「(劣化という言葉が)アイドルとか女優さんに使われるじゃないですか。どんだけ人を傷つけているか、自覚して使え」「機械とか家、壁とかに使え! 人間の顔が劣化したというのは全然わかってない!(※1) と真っ当な意見を表明したのは2015年のことです。

同時期、GACKTさんはブログ(※2) に、こう書いています。

世の中では歳を取った役者やアーティストに対して【劣化】なんて言葉を使って表現する輩もいる。メディアも劣化劣化と騒ぎ立てる。自分たち自身の顔のことは置いといて、よく他人のことをそこまでボロカスに言えるよな・・・って思うことだって多い。(中略)そりゃ、歳は取ってるわけだから、昔に比べりゃシワだって増えたさ。でもな。歳を取ること=劣化じゃない。(中略)今のボクは【劣化】と書くよりも凄まじく【烈華】のさなかだよ。

最近では、「劣化」呼ばわりされた芸能人自身が、ツイッターやインスタグラムで不快感を表明するようになりましたが、「劣化」関連の記事や投稿は減りません。それだけ需要があるのでしょう。

「劣化」が使われるようになった理由

20200803_2

こうした風潮について、ライターのブログウォッチャー京子さんは、「もともと『劣化』は生き物に対して使うのが妥当な単語ではなく、工業製品など無機物の性能が衰えていくことを示すが、整形手術などの『お直し』と呼ばれる行為により手を加えられた顔=工業製品のようなもの、と見なされて、『劣化』なるワードが定着したのかもしれない」 (※3)と書いています。

また、エッセイストの能町みね子さんは、「女性の美に対してたゆまぬ努力している“女性”こそ、笑った瞬間のしわを指摘され、劣化といわれてしまう。美しさを磨こうとする人が、嫉妬心を持つ人にアラ探しされてしまうんでしょうね」 (※4) と、「嫉妬心」の存在も指摘しています。

仮に整形などの美容医療の手を借りていたとしても、それはその人の自由です。「若作りはイタい」「自然に年を重ねるべき」と考えることもまた自由ですが、他人に強いることではありません。それが束となり、同調圧力として働く社会は、「生きづらい社会」と言えるでしょう。


※1 TBSラジオ「JUNK爆笑問題カーボーイ」での発言
※2 GACKTブログより(現在はブログリニューアルにより記事なし)
※3「篠原涼子の『加齢』か『劣化』か論争~女性の老いは罪なのか?」『wezzy』
※4「能町みね子氏と辛酸なめ子氏『劣化』と『奇跡』の意味語る」『NEWポストセブン』2015年10月20日配信

おばさんて誰のこと?

「おばさん」って誰のこと? 連載第1回「女が年をとるということ」

女性にとって、いつからか重くのしかかるようになる「おばさん」という言葉。女性のほうが圧倒的に年齢を意識させられる日本社会において、自分なりの価値観で...

https://www.mylohas.net/2020/07/215302obasan01.html

昔も今も根強い人気!「オバサンパーマ」が好まれる理由とは?

歴史社会学者による田中ひかるさんによる、「おばさん」をテーマにした連載。第2弾は「おばさんパーマ」について。なぜおばさんパーマは人気なのか、その理由...

https://stg.mylohas.net/2020/07/216884obasan02.html

田中ひかる

田中ひかる(たなか・ひかる)さん
歴史社会学者。1970年、東京都生まれ。女性に関するテーマを中心に、執筆・講演活動を行っている。近著『明治を生きた男装の女医―高橋瑞物語』(中央公論新社)ほか、『「オバサン」はなぜ嫌われるか』(集英社新書)、『生理用品の社会史』(角川ソフィア文庫)など著書多数。公式サイト

images via shutterstock

    Ranking

    1. 寝る前に食べていい。夜食でぐっすり、快眠をサポートする食べもの

    2. 朝食の献立は「毎日同じ」でいい。台所仕事をラクにするひと工夫

    3. コリや疲労感には「筋膜リリース」が効果的。ストレッチとどう違う?

    4. 【クイズ】刺身と焼き魚、胃にやさしいのはどっち?

    5. 2021年9月20日〜今週の運勢 【LUAの12星座占い】

    6. 「マリネ」ってこんなに簡単で美味しかった? マスターしたいレシピ3つ

    7. マウンティングをしてしまうのは自己肯定感が低いから。弱い自分と向き合って

    8. 【心理テスト】あなたの「気配り上手度」はどのくらい?

    9. モデル・長谷川ミラさんインタビュー/食べることをいつまでも楽しむために、正しく知って考える

    10. 肩こり、腰痛、全身ケアに。フォームローラーを使った筋膜リリース3選

    1. コリや疲労感には「筋膜リリース」が効果的。ストレッチとどう違う?

    2. 寝る前に食べていい。夜食でぐっすり、快眠をサポートする食べもの

    3. 朝食の献立は「毎日同じ」でいい。台所仕事をラクにするひと工夫

    4. マウンティングをしてしまう人の心の奥底にあるものは?

    5. HIIT初心者やトレーニングのマンネリ防止に。「マウンテンクライマー」アレンジ版

    6. 手首、足首、足の指の角度に気をつけるだけ。「動作解析」で疲れない体に

    7. 【心理テスト】あなたの「気配り上手度」はどのくらい?

    8. ごはん日記の舞台裏。キッチンの「ガラクタ」は宝物/こぐれひでこさん[前編]

    9. もしも「EV」を持ったら、こんなにワクワクの毎日が待っている

    10. 肩こり、腰痛、全身ケアに。フォームローラーを使った筋膜リリース3選

    1. 【心理テスト】あなたの「気配り上手度」はどのくらい?

    2. 感染症対策にも効果?「しそ」はなるべく刻んで食べて

    3. コリや疲労感には「筋膜リリース」が効果的。ストレッチとどう違う?

    4. 20秒だけがんばって。下腹、脇腹に効かせる&脂肪燃焼が続く「HIIT」

    5. 「極端語」を使わないだけで大きく変わる。相手も自分も無駄に傷つけない会話法

    6. 寝る前に食べていい。夜食でぐっすり、快眠をサポートする食べもの

    7. 体脂肪率や骨格筋量まで推定。服を着たまま写真を撮るだけでのアプリがすごい

    8. 【心理テスト】秒速? 音速? あなたの立ち直りの速さはすばらしい

    9. おしり、おなか、ハムストリングにも効く一石三鳥の「片足ヒップリフト」

    10. 実は変身願望が? 心理テストでわかる、あなたの「変わりたい度」

    Horoscope

    LUAの12星座占い

    毎週月曜日更新中!

    プレゼント応募やおすすめ情報をGET!メルマガ会員登録はこちら