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「炭水化物抜きダイエット」は効果が出やすい反面、「かえって太る」という声もよく聞きます。なぜこうした失敗が起こるのか、管理栄養士の水谷俊江さんがわかりやすく解説してくれました。

「炭水化物」ってどんな栄養素?

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「炭水化物抜きダイエット」とは、炭水化物を多く含む食材を食べないようにするダイエットのこと。炭水化物とは糖質と食物繊維をあわせたものをいい、米、パン、麺類などの主食に多く含まれています。

砂糖と、米や麺、パンに含まれているでんぷんが糖質。食物繊維は玄米や小麦などの穀類にも含まれているヒトの消化酵素では消化されない成分です。

(「Diet Plus」より引用)

「炭水化物抜きダイエット」では、主食となる食材、砂糖、炭水化物が多い芋類などを避けることが基本となります。「炭水化物=糖質+食物繊維」であることから、じつは糖質だけでなく食物繊維もカットしていることになるというのは、見落としがちなポイントかもしれません。

「炭水化物抜きダイエット」は結果が出やすい?

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糖質は、脳や神経を働かせるエネルギー源であり、人間には不可欠なもの。しかし、現代人の多くは摂りすぎであるといわれます。

炭水化物(糖質)は1g当たり4kcalのエネルギーを生みだしますが、消費エネルギーよりも多くとってしまうと、余った糖は脂肪に変わり、内臓脂肪や皮下脂肪に蓄えられます。

炭水化物を抜いて、炭水化物からのエネルギーが足りなくなると脂質がエネルギーを生み出すことになります。つまり炭水化物を抜くことで、脂質が燃えやすくなる。だから、結果が出やすいのです。

(「Diet Plus」より引用)

甘いおやつパン、ラーメン、パスタなど、炭水化物を多く含む食べ物には「おいしい」ものがたくさん。ふだんから摂りすぎている分、摂取量の削減がダイレクトに脂質の燃焼につながり、短期間でよい結果が出るという側面があるようです。

脂質・塩分の摂りすぎにご用心

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しかし、炭水化物抜きダイエットには2つの大きなデメリットがあると管理栄養士の水谷さんは指摘します。

ひとつは、主食を控えた分、タンパク質系のおかずを多めに食べてしまいがちなこと。例えばご飯1膳(251kcal)をがまんして、そのかわりに魚肉ソーセージ1本(161kcal)とさつま揚げ1枚(90kcal)を食べたとします。

カロリーはどちらも同じですが、脂質はご飯1膳が0.5gであるのに対し、魚肉ソーセージとさつま揚げの脂質は合計9.1g。塩分にいたっては、ご飯1膳なら0gなのに対し、魚肉ソーセージとさつま揚げの塩分は合計3.3gになると水谷さん。

たとえ主食を控えても、脂質が増えれば太りやすくなり、塩分が増えればむくみにつながってしまうのです。

食物繊維不足で便秘や肌荒れも

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もうひとつのデメリットは、主食となる穀類や豆に含まれる食物繊維の摂取量まで減らしてしまうということです。

食物繊維は腸内の善玉菌のえさになるため、食物繊維不足は腸内環境を悪くしてしまう心配があります。また便秘にもつながり、ダイエットだけでなく美容にも悪影響が出てしまう心配があります。

(「Diet Plus」より引用)

水谷さんによると、炭水化物(糖質)をどのぐらいまで制限してよいのかは、まだ明らかになっていないそう。

炭水化物をとくに控えなければいけないのは、麺類、丼物、お菓子やジュースが大好きで、ふだんから食生活が炭水化物に偏りがちな人。

食事のバランスに気を配るとともに、炭水化物を減らした分、油断して脂質や塩分の多いものを摂りすぎないようにすることが、「炭水化物抜きダイエット」で失敗しないコツといえそうです。

食は大切です

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水谷俊江(みずたに・としえ)さん
管理栄養士。美容クリニックでのダイエット指導、特定保健指導での相談業務に携わり、現在では「食」をテーマにしたコラムも執筆。南米、北米で10年間生活したなかで、改めて日本の食文化の偉大さを実感。ひとりひとりにあった形で、太る習慣を無理なく改善できる方法を提供中。

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