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女性の不調は10年遅れてくる!? 眠りの質を下げない方法とは?

カラダ戦略術

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増田美加

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自分の体をきちんと知ろう! がテーマの連載「カラダ戦略術」。前回は「慢性便秘の改善法」について、お届けしました。今回は、「眠りのメカニズム」について、女性医療ジャーナリストの増田美加がお伝えします。

新型コロナとたたかうためにも、良質の睡眠を

新型コロナウィルスの先行きがまだ見えないなか、自粛生活のストレスなどで、眠りの質が変化している人が多いのではないでしょうか。

私たちの全身の細胞の生まれ変わりは、睡眠中に行われています。皮膚、内臓の若さにも良質の睡眠がかかわっています。とくに、女性ホルモンが乱れる更年期は、もっとも睡眠の悩みが増える年代です。

その理由は、女性ホルモンと自律神経が深くかかわっているから。眠りの悩みをこじらせると、免疫力の低下につながったり、うつや将来の認知症リスクを上げたりすることにもなります。

新型コロナウィルスとたたかう力をつけておくためにも、今、良質の睡眠を妨げる要因を減らしておきましょう。

女性は男性に比べ、10年遅れて睡眠の不調が現れる

睡眠は、単なる休息ではありません。眠っている間に、さまざまなホルモンが分泌されていることがわかっています。

睡眠中分泌されるさまざまなホルモンによって、脳だけでなく、体全体を休ませ、さらに傷んだ全身の細胞を修復しているのです。

良質の睡眠は、新陳代謝を促して、皮膚や髪の毛、内臓の細胞を修復、体重コントロールにもかかわっています。しかも、睡眠には、性差があります。

女性ホルモンによって、女性は男性より10歳若いと言われています。寿命も男性より約10年長いのは、女性ホルモンのおかげという説もあるくらい。

そのため、女性は男性に比べて10年遅れて、眠りの不調が現れます。そのタイミングが更年期といわれています。

更年期には、エストロゲンが急激に減少するため、さまざまな不調が起こります。そのうちのひとつが、不眠です。更年期になると、不眠を訴える女性が増加します。不眠のほか、うつなどのメンタル症状が出るのも特徴です。

女性ホルモンは、眠気を誘うホルモン

眠れない女性

女性ホルモンは、“眠気を誘う”ホルモンです。生理のある女性の約4割は、生理前、あるいは生理時に眠気が起こり、過眠になるといわれています。

ところが、閉経して女性ホルモンを失うと、一転。「眠れない、寝付けない」状態に変わるのです。

そのわけは、女性ホルモンの指令を出す視床下部と自律神経の司令塔は同じだから。両者は、お互いに影響を受けやすいため、女性ホルモンが大きく揺れ動く更年期は、自律神経が乱れやすくなり、睡眠の悩みが増えるのです。

また、エストロゲンは、睡眠物質の“メラトニン”の材料である“セロトニン”などの増減や活性に関係していることも一因です。

脳と眠りの関係は次々明らかになっていて、研究が進んでいる分野です。眠りの悩みをこじらせると、脳に負荷がかかり、うつや認知症のリスクも増えます

眠くなるのは、セロトニンとメラトニンが働くから……

メラトニンによって眠る女性

体内時計によって夜、眠くなるのは、“メラトニン”が働くからです。“メラトニン”は、夜になると徐々に分泌が増え、夜中に最大になります

“メラトニン”が分泌されるためには、その材料である“セロトニン”が日中にしっかり分泌される必要があります。

しかし、更年期以降は女性ホルモンの低下により、“セロトニン”の分泌も減りやすくなるのです。そうなると、睡眠の質が落ちます。理想的な睡眠時間は、女性は70歳以降、男性は60歳以降は、7時間がもっとも長寿という研究があります。

7時間より長くても短くても、死亡率が上がっています。ちなみに、7時間睡眠の人は、BMIが最も低かった、つまり肥満リスクが低かった、という調査もあります。

寝つきが悪い、途中で目覚める……には理由が

眠れない女性

しかし残念ながら、女性も男性も年齢を重ねるほど、“睡眠の質”が低下していきます。加齢による体内時計の変化により、年齢を重ねるほど、早寝早起きになります。

若いころは、いくらでも眠れたのに、寝ていられない……と感じる人もでてきます。赤ちゃんの肌質をいつまでも維持できないのと同様、睡眠の質も、維持し続けるというのは難しいことです。

つまり、加齢で眠りの質が下がるのは自然なこと。だからこそ、それ以外の眠りを妨げる悩みは、できるだけ改善しておきたいものです。

体内時計が乱れると、コルチゾールと成長ホルモンにも影響

更年期からの睡眠では、体内時計が狂い、レム睡眠とノンレム睡眠のバランスが崩れてきます。

睡眠にはサイクルがあり、夢を見る「レム睡眠」と、ほとんど夢を見ない「ノンレム睡眠」が約90分周期で繰り返されます。レム睡眠とノンレム睡眠には、それぞれ大事な役割があります。

レム睡眠は、全身の筋肉を弛緩し、心のメンテナンスを行い体を休める睡眠です。エネルギー代謝にかかわる“コルチゾール”が分泌されます。

一方、ノンレム睡眠は、脳を休め、健康や美肌に欠かせない“成長ホルモン”を分泌します。身体機能の成長、回復を促す役割です。

つまり、レム睡眠とノンレム睡眠、両方のバランスが必要です。

ところが、自律神経系、内分泌系、免疫や代謝系などのリズムを支配している体内時計が狂うと、レム睡眠とノンレム睡眠のバランスが崩れ、コルチゾールと成長ホルモンのバランスが崩れます

取り除きたい、眠りを妨げる5つの不調

眠る女性

加齢によって、徐々に睡眠の質が下がるのは、自然なことです。だからこそ、加齢以外の要因で、眠りの質が下がるのは避けたいところです。睡眠を妨げる原因となる症状や疾患を紹介します。

【睡眠時無呼吸症候群】

睡眠時無呼吸症候群は、睡眠中に、いびきや呼吸停止を起こして、血液中が酸素不足になる病気です。無呼吸になると、睡眠中に覚醒反応が生じ、睡眠が途切れるため、日中に過度の眠気が起こります。あごが小さくて首が短く、肥満の男性に多く、成人の有病率は1~4%ですが、女性は閉経後に増加します。

睡眠時無呼吸症候群は、保険も適用されるので、医療機関を受診して検査をすることができます。治療も健康保険で行なえます。

【むずむず脚症候群】

ストレスレッグス症候群とも呼ばれる病気です。夜間、脚がムズムズする、虫が這うような感じや不快感などをおぼえ、不眠症につながることがあります。脚を動かすと、症状が軽減します。成人の有病率は1~3%ですが、加齢とともに増加します。

原因となる病気が特定できないこともありますが、レビー小体型認知症、パーキンソン病・脊髄小脳変性症・多発性硬化症などの神経疾患、リウマチ性疾患、内分泌疾患、うつ病、慢性閉塞性肺疾患などと関連して発症することもあると言われています。

【噛み締め・歯ぎしり】

就寝中の噛み締め、食いしばり、歯ぎしりなどは、さまざまな睡眠トラブルにつながります。無意識に歯ぎしりを毎晩繰り返していると、熟睡できず、不眠の原因になります。睡眠時に歯を噛みしめたり、歯ぎしりをしてしまうことを「睡眠時ブラキシズム」と言われています。睡眠時プラキシズムは、レム睡眠のときに起こりやすいのが特徴です。睡眠時無呼吸症候群の人も、呼吸をしていないときに、歯ぎしりをしていることが多いと言われています。

【過活動膀胱(夜間頻尿)】

夜間頻尿とは、就寝後、排尿のために起きなければならない症状です。排尿に関わる症状のうち、最も頻度の多い症状です。40歳以上で約4,500万の人が夜間1回以上、排尿のために起きる夜間頻尿の症状があります。夜間頻尿の原因は、多尿(夜間の尿量が多い)過活動膀胱による膀胱容量(膀胱に溜められる容量)の減少睡眠障害が考えられます。過活動膀胱は、尿が少量しか溜まっていないのに、膀胱が勝手に収縮してしまう病気で、40歳以降の女性に多いと言われています。

【レム睡眠行動障害】

レム睡眠行動障害は、浅い眠りに入ったレム睡眠時に見る夢の内容が行動化するものです。夢に一致する形で、大声を出して叫んだり、体が動いたりします。最近では、パーキンソン病やレビー小体型認知症の発症に先駆けて起こる症状として、注目されています。

良質な眠りのための、メンテナンス法3

眠る女性

1.生理の前、我慢できないほど眠たくなったら

排卵後から生理直前の時期にあたる黄体期には、眠気を強くするプロゲステロンが多く分泌され、体温が高めの状態が続きます。

日中に眠くなったり、熱くぼーっとなったり。基礎体温が高いため、逆に夜には眠りづらく、目が冴えてしまうこともあります。

このような眠気を感じたら、PMSの症状でもあるので、PMSの対策をしましょう。婦人科でPMSのための漢方薬を処方してもらうのもいいでしょう。「加味逍遥散」などが処方されることが多いようです。

2.休日の朝寝や寝だめは、睡眠サイクルを崩します

寝だめは睡眠のサイクルを崩し、就寝中にエネルギー補給をするホルモンであるコルチゾールの分泌のサイクルを崩してしまいかねません。

平日の睡眠不足を取り戻すには、起きる時間は変えずに、寝る時間を前倒しにして早く寝るようにするほうがよいといわれています。

3.眠気がないのに寝床に入るのは、やめておく

年齢を重ねるほど、必要とされる睡眠量は減ってきます。眠気がないのに寝床に入るのはやめましょう

眠らなければ、と思うと、神経がたかぶるので、いったんベッドから出て、軽い家事など、あまり刺激にならないことをしてみます。スマホやテレビはNGです。ブルーライトは、睡眠に悪影響を与えます

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mika_masuda

増田美加・女性医療ジャーナリスト
予防医療の視点から女性のヘルスケア、エイジングケアの執筆、講演を行う。乳がんサバイバーでもあり、さまざまながん啓発活動を展開。著書に『医者に手抜きされて死なないための 患者力』(講談社)、『女性ホルモンパワー』(だいわ文庫)ほか多数。NPO法人みんなの漢方理事長。NPO法人乳がん画像診断ネットワーク副理事長。NPO法人女性医療ネットワーク理事。NPO法人日本医学ジャーナリスト協会会員。公式ホームページ :http://office-mikamasuda.com/

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