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不安な気持ちから抜けるには。「妄想しない」が第一歩!

心のコリをほぐす「マインド筋トレ」

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若山ゆりこ

波

image via shutterstock

世の中がとても不安定な今、先行きを考えて心配したり、ニュースを見ては不安になりがちに。そんな揺れ動く心の状態をリセットするには、どのようにすればよいのでしょう?

今回は、医学博士で早稲田大学人間科学学術院教授であり、実際の心療内科の現場でもマインドフルネスを活用されている熊野宏昭(くまの・ひろあき)先生から、心の抵抗力をつけて、不安やストレスから抜け出すトレーニングを教えてもらいます。

妄想しない、それがマインドフルネス

若山ゆりこ

若山さん

マインドフルネスは、今自分の目の前で起こっている、等身大の現実に気づくようにするのが大事、とよく言われますよね。


熊野先生

熊野先生

ニュースを見て先行きを心配するように、起こるかどうか分からない未来を憂うのは、頭の中で勝手に作り出された妄想とも言えます。マインドフルネスとは、その妄想をやめることです。

私たちは現実を見て感じているつもりで、実はそこからすぐに気持ちが頭の中へ逸れてしまいます。頭の中は現実ではなく、いくらでも大げさに考えられますから、不安や落ち込みも増していくんですよ。


心が感情や思考に巻き込まれている時は、現実がお留守になった「心ここにあらず」の状態になるのだと熊野先生。そうなると、ちょっとした噂や他人の意見にも流されやすく、自分が本当にやりたいことをやり、必要なことをするための十分な力も発揮できなくなります。

人には考えごとに流されやすい習性がある

レモンという言葉から連想すること

若山ゆりこ

若山さん

それに心が不安で一杯のときは、無意識的にSNSの投稿を読んでしまい、心が煽られてしまいます。


熊野先生

熊野先生

思考と現実をごっちゃにして取り違えてしまうからです。でもそれは、人間だけが持つ特別な能力でもあるんですよ。

近年の研究で「言葉がそういう力を持っている」ことが分かってきたのです。私たちが言葉で考える時には、バーチャルな現実が頭の中に作り出されるのです。


たとえば目を軽く閉じて「レモン」と頭の中で言ってみると、つやつやしたレモンが浮かんできて、つばまで湧いてくるのもそのひとつ。

レモン

image via shutterstock

熊野先生

熊野先生

考えてみれば不思議ですよね。私たちは常に、考えたことを心の目で見ながら生きている。つまり、リアルな現実と、言葉(思考)が作り出すバーチャルな世界という二重の世界で生きているということです。


この特殊な能力のおかげで、人間はさまざまな発展を遂げてきました。しかし、頭の中で考えたことがリアルに感じられるという面がネガティブに働くと、不安や妄想が増大してしまう。

だからこそ、妄想で膨らんだ心に気づいて、しっかり現実に引き戻すというマインドフルネスなあり方が必要になっていくのです。

熊野先生

熊野先生

考えから抜け出した時に、思考と現実の区別ができるようになります。この、考え事からハッと我に返ること。気がつくことこそが、マインドフルネスなんです。

現実をきちんと感じ取る心の持ち方は、練習によって習慣化できます。やがては、その人の生き方自体がマインドフルネスになっていきますよ。


マインドフルネスの基本~集中瞑想を練習しよう

瞑想

image via shutterstock

マインドフルネスな状態でいるには、心を閉じない、飲み込まれないことが大切に。しかし、もしそうなってしまったら、体の感覚を使って現実に戻ってくる方法「集中瞑想」を試してみましょう。

集中瞑想のレッスン

座り方:
足を組める人は床の上で足を組んで、椅子に座っても大丈夫です。大切なのは背筋がすっと伸びて安定していること。背筋以外の力は軽く抜いて、体が傾かないようにまっすぐにしながら、少し前かがみになって下腹にちょっと力が入るような姿勢にしてください。

手の置き方:
手は下向きに置いても、お腹の前で重ねても構いません。安定できる場所に置いて下さい。

目:
開いても閉じても構いません。落ち着くと感じられる方を。

全体:
体に力が入っているようなところがあれば少し緩めて、傾きを感じられたらまっすぐに整えます。

呼吸:
息が入ってくるときはお腹や胸がふくらみ、息が出ていくときはお腹や胸が縮まります。自然な呼吸をして、体の動きがもっとも明確に感じられる場所を探して注意を向けます。

息が入ってくると、体がふくらんできますので、心の中で「ふくらみ、ふくらみ…… 」と唱えます。出ていくときはその感じを捉えつつ、「縮み、縮み…… 」と心の中で唱えます。
そのまま3~4分、呼吸とともに体の感覚を感じ取ります。
瞑想から戻るときは、目の上に乗っているまぶたの裏を感じて、目を閉じている場合はそっと開けて、瞑想を終わりにしましょう。

熊野先生

熊野先生

マインドフルネスはありのままを感じるのが目標ですので、呼吸をコントロールしないのがポイント。浅ければ浅いままに、ゆっくり吸いたいときはゆっくりと、体がラクだと感じるままにしましょう。また、言葉で音頭を取りながら呼吸するのも間違いです。体の動きを気づきが追うようにしてください。


雑念だらけでも問題なし!

瞑想と雑念

しかし、いざ集中しようとしても、雑念が浮かんできやすいもの。

熊野先生

熊野先生

これは単調な練習ですから、必ず雑念が浮かんできます。体が痛いとか、かゆい、などいろいろ気になってしまうかもしれません。何かに囚われていると気がついたらそこで「雑念、雑念」と声をかけ、「戻ります」と呼吸に戻って下さい。体の感覚も同様に「かゆみ、かゆみ、戻ります」と呼吸の動きに意識を向けます。


ハッと気がつくことがマインドフルネスの練習なので、雑念に気がついて呼吸に戻ることで、一回マインドフルネスの練習ができたと思えばいいそうです。

感情が浮かんできた時も同様に。怒りが湧き上がってきたら、「怒り、怒り、戻ります」。今日のお昼は何を食べようかなとか思ったら、「欲、欲、戻ります」とそのつど体の感覚に戻ります。

雑念に囚われているときは、大抵姿勢も歪んでいる、と熊野先生。雑念に気が付いたら同時に姿勢もチェックして、歪んでいたらまっすぐにしてみましょう。

最初は5分、10分から始めるのでもOK。大事なことは続けていくこと。大体4週間ほどで、ちょっとしたことに気づくようになるそうです。

「効果よりも、どんな体験が起こってくるか、どんな発見があるのか、心を開いて気づく力を高めるようにして下さい」という熊野先生のアドバイスをもとに、しばし続けてみたいと思います。

熊野宏昭(くまの・ひろあき)先生
1960年、石川県生まれ。東京大学医学部卒。医学博士。臨床心理士。現在早稲田大学人間科学学術院教授・応用脳科学研究所所長。マインドフルネスやアクセプタンスなどの技法を含む「新世代の認知行動療法」について、とくに医療場面で短期間で大きな効果を挙げることを目指した研究を行っている。臨床面ではパニック障害、軽症うつ病、摂食障害、心身症などを対象に、薬物療法や面接治療に加え、認知・行動療法、アクセプタンス& コミットメント・セラピー(ACT)、マインドフルネスなどの行動医学的技法を用いている。『実践! マインドフルネス』(サンガ)ほか著書多数。

動揺しない心をつくろう

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