ナッツ

──ライフハッカー[日本版]より転載

ナッツ類は、これまで考えられていたよりもカロリーが低いそうです。

これについてはこの数年間の研究でじわじわと判明しつつあったのですが、ついにラベル表記を変更する食品会社も出てきました。

たとえば、ナッツを多く使ったバーのKINDブランド。以前は200カロリーと表示されていた、とある製品が今後180カロリーと表示されることになります。 KIND社のメールによると、ラベルを変更するのはスナック食品会社では同社が最初だろうとのこと。

大部分の食品ブランドはUSDA(アメリカ合衆国農務省)のデータベースのカロリー値を採用しています。このデータベースはまだ更新されていませんが、ナッツのカロリーが低いという研究結果は受け入れられています。

どうしてカロリー計算が間違っていたの

ナッツを食べる女性

カロリーとはエネルギーの単位です。 もし、高校の理科の先生がいい先生だったら、実際に食品を燃やしてその火の上に置いたビーカーの水の温度がどのぐらいになるかという実験をさせてくれたかもしれません。

水温が上がれば上がるほど、燃やしている食品にはエネルギーが多く含まれているのです。 人間の体というのは理科の実験とまったく同じではありませんが、100年以上前からわかっていたことがあります。

それは、人体が食品から摂取するカロリー、たとえば脂肪1gにつき利用可能なエネルギーは9カロリータンパク質1gでは4カロリーなどということです。

科学者らは食品によって消化のされ方が少しずつ違う点を考慮して、カロリー計算が調節されてきました。しかし、ナッツはつい最近まで誰にも細かく研究されてこなかったのです。

ナッツの『真相』を発見した方法

ナッツ

ナッツは植物の種実なので植物細胞でできています。細胞には細胞壁がありますが、ナッツの細胞壁は特に硬く、それゆえに食べるとカリカリするのです。

細胞壁が硬いということは、栄養素、特に脂肪は細胞の中に閉じ込められていて、人の消化器官がかならずしも細胞中の栄養素をすべて摂取できるわけではないのです。

刻んであったり、バター状になっているならたっぷり栄養素を吸収することができます。

しかし、ナッツの場合には栄養素が詰まった細胞がそのまま体から排出されることがしばしばあります

これからどういう話になるか予想がつくと思います。 UDSA(アメリカ合衆国農務省)の研究者らは、被験者にナッツを含まない食事とナッツを含んだ食事をさせる実験の数々を行ないました。

被験者たちが食べる食事を乾燥・燃焼させてカロリーを計算し、そして被験者の大便も乾燥・燃焼させて消化後にどれだけカロリーが残っているかを調べたのです。

これらの実験は実際にはもっと複雑だったのですが、基本はおわかりいただけたと思います。被験者は排泄物をすべてクーラーに入れては、自宅と研究所を何度も往復したのです。

科学のために尽くしてくれた勇気ある皆さま、ありがとうございました。

実験からわかったことは?

ナッツ

こうして判明したカロリーの結果は、これまで考えられていたよりカシューは16%、クルミは21%、アーモンドは32%低かったのです。

ナッツのカロリーが低いことはわかったのですが、KIND社のラベル表示では主要栄養素(たとえば脂肪など)のグラム数は変わりません。

同社担当者によると、脂肪、タンパク質、ビタミンなどの栄養素量は食品中の含有量が表示されているからだそうです。

食べる人の体内ではこれまで考えられていたよりも少ない脂肪を消化しているということになるのですが、ラベルに表示されている脂肪量は以前と同じです。

つまり、数字面では統一されていないのですが、それがラベルの表示方法ということなのです。 研究の興味深い点は、ナッツからのカロリーは食べる人によって違うということです。

カシューナッツ1人前の量は平均で137カロリーとされていますが、105カロリーを摂取する人もいれば、151カロリーの人もいます。

人の体は同じではないので、そういう意味ではカロリーの数値というのは厳密ではないということを心に留めておいたほうがいいでしょう(ほかの理由についてはこちらをどうぞ)。

というわけで、ナッツは今まで思われていたよりもカロリーが高くないのです。

カロリーを気にしながらナッツを食べていたなら、この事実は知っておいても損はないはずです。

高タンパクおやつ

ライフハッカー[日本版]

image via Shutterstock

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