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外反母趾になりやすいのはどんな人? 足の専門医が教えます

カラダ戦略術

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増田美加

外反母趾の女性

自分の体をきちんと知ろう! がテーマの連載「カラダ戦略術」。前回は「更年期のサインの冷え」について、お届けしました。今回は、「外反母趾(がいはんぼし)など趾(ゆび)の変形のケア」について、女性医療ジャーナリストの増田美加がお伝えします。

女性の5人に1人が悩む外反母趾。しかし病院に行っても……

外反母趾の足

外反母趾は、足の母趾(親ゆび)のつけ根が飛び出し、母趾が「くの字」に曲がってしまう病気です。私たち女性の5人に1人といわれるほど、身近な足のトラブル。悪化すると、極端に弯曲し、付け根の骨が外に突き出てきます。

「当クリニックを受診する患者さんのうち、女性の受診理由のトップが外反母趾です。初期の段階で病院を受診して、痛みを訴えても、“変形がまだ軽度だから様子を見ましょう”と言われてしまいます。

その後、進行して、かなり母趾(親ゆび)が変形してしまい、合う靴がなかったり、靴を履くときに不便で受診すると、今度は“痛みがないので様子を見ましょう”と言われました……。こんな話を患者さんからよく聞きます。

その結果、外反母趾はドラッグストアでケアグッズを買って、限界まで我慢している……という人が非常に多いのです」と足を専門に診る医師、桑原靖先生(足のクリニック表参道 院長)。

初期は、母趾(親ゆび)があらぬ方向へ曲がろうとすることから、痛みが強く出ます。しかし、変形はそれほどしていません。

徐々に進行していくと、今度は関節が完全に脱臼することで、母趾は大きく変形しますが、逆に痛みはなくなることが多いと言われています。

やってはいけない! 合わない靴を履き続けること

合わない靴

年齢とともに、「趾(ゆび)が変形して痛い……」と悩む声が増えてきます。しかし、その始まりは、もっと早くから起こっていると桑原靖先生は指摘します。

「女性の場合は妊娠、出産時にリラキシンという靭帯を緩め、骨盤を開くホルモンが分泌されています。この影響が骨盤だけでなく、全身の靭帯にも及び、足の歪みや形の崩れのきっかけになるのです。この時点で気づかず、年を経て症状が進み、更年期に出現することが多いのです」(桑原先生)

趾(ゆび)の変形は、合わないサイズの靴によっても起こり得ます。筋肉は伸ばすよりも、曲げるほうが強く作用します。形が崩れバランスが悪くなると、趾(ゆび)は、より地面を捉えようと曲げるための筋肉がどんどん強くなります。

下記のチェックリストのように、歩行時に趾(ゆび)で踏ん張る必要がある状態の靴を履き続けると、徐々に変形し、重症化すると変形したまま関節が固まり、動かなくなってしまいます。

趾(ゆび)の変形、こんな人は要注意!

  • ヒールの高い靴を履くことが多い
  • つま先の細い靴を履いている
  • スリッパのような、かかとが固定されないミュールやサンダルをよく履く
  • サイズの合わない靴を履いている
  • 扁平足である
  • 若いときより、足のアーチが崩れていると感じる

このような靴を履く習慣があったり、足の形が崩れてきている人は、趾(ゆび)が変形するリスクが高い人です。特に意識しなくても脱げない、もしくは走っても脱げないような靴が足のためにはよいでしょう。

外反母趾の原因は母趾ではなく、足のアーチ崩れによる結果

足の構造

「ハイヒールを履き続けたことが原因だと思い込んでいる人が多いのですが、靴だけが直接の原因というわけではありません。ハイヒールなど履いたこともないという人でも、“一定の条件”を満たせば、外反母趾になってしまうのです。

ですから、幅広の靴を履いていても変形する人はいます。足のアーチ構造の崩れも原因のひとつだからです。

特に、足裏のアーチを支える機能がない靴を常用していると、足の構造は崩れます。アーチ構造が崩れた状態で、体重がかかると扁平足になり、そのしわ寄せで、趾(ゆび)を曲げなくてはならなくなるのです。いずれにしても原因は、趾(ゆび)ではなく、足の構造そのものにあるのです。

そして、外反母趾になりやすい“一定の条件”とは、もって生まれた足の構造(骨の形や関節構造、靭帯の硬さなど)の問題。遺伝的な要素が大きいのです。生活習慣は、副次的な影響はあっても、主たる原因ではありません」と桑原先生。

インソールは趾を変形させない予防にも

足の診察

「まだ、趾(ゆび)の関節が固まっていない状態であれば、正しい靴や足に合ったインソール(靴の中敷き)を使うことで、曲がった趾(ゆび)は伸びて改善します。

曲がった部分にタコが繰り返しできる場合には、症状が進行している可能性があります。強い痛みが出る場合は、早めに医療機関を受診しましょう。痛みが強く炎症がある場合は、注射も行います。

しかし、湿布や痛み止めなどで痛みが楽になっても、根本的な治療にはなりません。原因が足の骨格構造のゆがみなのですから、それを改善しなければ、痛みが再発するか、痛みはなくなっても足の変形が進んでいきます」と桑原先生。

インソールは、崩れたアーチを支えてくれます。初期の外反母趾なら、インソールを使うだけで痛みが出なくなり、足の変形の進行も防げます。アーチを支えるインソールはさまざまなものが売られていますが、しっかり試着して購入しましょう。

「自分の足に合ったものでなければ意味がないので、できれば治療用のインソールをオーダーメードでつくったほうがいいでしょう。足の専門外来では、ひとりひとりの患者さんの足に合ったインソールを、医師の処方のもとで、専門の義肢装具士がつくります」(桑原先生)

インソールは予防にも大切です。靴は、なるべく足を甲、かかと、土踏まず(インソール)の3点で支えられる靴を選ぶことが大切です。このうち、どれかが欠けていると靴の中で足が前後に移動し、趾(ゆび)先に負担がかかります。

インソールのない靴を履くときは、体重が足にかかって、ベタッと足裏が広がったときに、趾(ゆび)が靴に当たらない空間的余裕のあるものを選びます。ヒールは、4cm以内で安定感のあるものならOKです。

「適切な靴やインソールを使用していても、変形してしまった趾(ゆび)が元に戻るわけではありません。特に進行して関節が完全に脱臼してしまうと、足の構造全体が一気に崩れてしまいます。悪くなりきってから手術を検討するよりも、早い段階から視野にいれておいたほうがよいでしょう」(桑原先生)

アキレス腱ストレッチで足の負担を軽減!

ストレッチする女性

「ヒール靴を履く女性は足首が硬い人が多く、足首に柔軟性がないと、歩行時に趾(ゆび)に負担がかかるのです。ですから、足首のストレッチを日常的に行うことをおすすめします」と桑原先生。

足首ストレッチは、まず体を支えるように、両手を伸ばして壁に軽く触れておきます。 そして、片方の脚を後ろに引き、前に出ている脚の膝をゆっくり曲げます。両かかとは、必ず床につけておきます

アキレス腱とふくらはぎが、ゆっくり伸びるのを感じます。反動をつけずに行うのがポイントです。両脚とも行いましょう。

年齢を重ねるほど、全身の筋肉や関節を使う運動は、ますます重要性が増してきます。日々、運動を心がけることが大切です。

お話を伺ったのは……
桑原靖(くわはらやすし)先生
足のクリニック 表参道 院長。
埼玉医科大学卒業。形成外科医。足の悩みを持つ人が多いにもかかわらず、足を専門に診る医療機関がほとんどない状況に疑問を持ち、2013年、日本初の足の症状、疾病に特化したクリニックを開設。著書に『外反母趾もラクになる!足アーチの作り方』(セブン&アイ出版)ほか多数。

足のクリニック表参道
東京都港区南青山5-6-24 南青山ステラハウス3階 TEL:03-6434-1082
公式ホームページ:http://ashi-clinic.jp/

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増田美加

増田美加・女性医療ジャーナリスト
予防医療の視点から女性のヘルスケア、エイジングケアの執筆、講演を行う。乳がんサバイバーでもあり、さまざまながん啓発活動を展開。著書に『医者に手抜きされて死なないための 患者力』(講談社)、『女性ホルモンパワー』(だいわ文庫)ほか多数。NPO法人みんなの漢方理事長。NPO法人乳がん画像診断ネットワーク副理事長。NPO法人女性医療ネットワーク理事。NPO法人日本医学ジャーナリスト協会会員。公式ホームページ http://office-mikamasuda.com/

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