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「生理用品をつくれなかった」彼女が一番作りたかったタンポンを作るまで

私と生理

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田邉愛理

ハヤカワ五味さん

生理をめぐる社会の価値観が、ドラマティックに変わろうとしている2019年。批判を恐れず活動し、このムーブメントに大きく貢献したのが起業家のハヤカワ五味さんです。

ハヤカワさんは、2019年5月に、生理用品のセレクトショップを中心としたプロジェクト「illuminate(イルミネート)」をスタート。6月にはユニ・チャームとの共同プロジェクト「#NoBagForMe(紙袋はいりません)」の中心メンバーとなり、生理用品を隠す必要性を感じさせない新パッケージのタンポンが年内に販売されることになりました。

生理は隠すものでも、恥ずかしいものでもない」という考えのもと、多くの壁と向き合いながらプロジェクトを推進してきたハヤカワさん。タンポン開発に至った経緯や、「illuminate」で始めた新たなサービスについて聞きました。

5万人を超える声から選ばれた“猫ちゃんタンポン”

ソフィから2019年年内に発売予定のタンポン

2019年の夏、SNSや街頭で、生理用品に関する型破りな調査が行われました。この調査は、ドラッグストアなどで“紙袋に隠さなくていい”デザイン性の高い生理用品を開発するために、ユニ・チャーム株式会社の生理用品ブランド「ソフィ」が行ったもの。

プロジェクトの原動力となったのは、ハヤカワ五味さんをはじめとする1980~1990年代生まれの女性5人です。

約3週間にわたり、100の候補から厳選された3案に対して人気投票を実施。総勢54,045票のうち僅差でトップとなったのは、タンポンの利用率が低く、タンポンに「怖い」というイメージを持つ若年層の女性でも親しみを持ちやすい、通称“猫ちゃんタンポン”のデザインでした。

ハヤカワ五味さん

ハヤカワさん

タンポンは個人的に一番作りたかったアイテムです。

そもそも国内でタンポンを作っているのはユニ・チャーム株式会社のみ。生理用品自体のクオリティは日本製品が一番高いと思いますが、カテゴリ単位での選択肢、デザインの選択肢の少なさは問題かなぁと思っています。


ユニ・チャーム株式会社によると、ナプキンとくらべてタンポンの認知度は低く、使用率は3割ほどだそう。

パッケージに添えられた「I’ll be by your side whenever you need me.(必要なときは、そばにいるよ)」というメッセージには、生理用品の選択肢のひとつとしてタンポンを知ってもらい、生理期間を少しでも快適に過ごしてほしいという願いが込められているといいます。

「生理用品をつくれなかった」現実

生理用品

image via shutterstock

「#NoBagForMe」プロジェクトが軌道に乗る前、ハヤカワさんは自身が経営するアパレルブランド「ウツワ」で生理用品を開発・製造すべく奔走していました。

18歳のとき、“小さな胸”に悩む女性のために「シンデレラバスト」という言葉を生み出し、下着ブランド「feast」を立ち上げたハヤカワさん。ひとりで工場をまわった当時の経験から、「まあ、生理用品もなんとか作れるっしょ」と楽観視していたとか。

ハヤカワ五味さん

ハヤカワさん

結果は工場やブランドに片っ端から連絡しても門前払い、ツテを頼って関係者に何度もプレゼンしても返事は「NO」

少子化の影響もあり、現在、日本では生理用品をつくれる機械の数が限られていて、その生産ラインがもう既存企業でいっぱいだったんです。数千万~1億円ほど借り入れて自社工場をつくることも考えましたが、ナプキンの機械を1型買うのに10億円はかかると知りました。

海外の生理用品の輸入も検討したのですが、そのためには薬機法に基づく医薬部外品製造販売業の許可、製造業の許可および品目ごとの承認が必要で、相当ロングスパンで見ないといけない。

この時点で相当な労力と時間をかけ、リサーチや出張などの経費もあり心が折れそうでした。


ツイートがきっかけで大逆転

しかし、そこは「あきらめが悪い」と自称するハヤカワさん。2019年3月、思い切ってSNS上で既存企業とのコラボを呼びかけます。

すると、なんと数日後に業界最大手のユニ・チャーム株式会社からコンタクトが! まさかの展開に、日頃クールなハヤカワさんも「さすがにガッツポーズ」だったそう。

「#NoBagForMe」のメンバーたち

「#NoBagForMe」のメンバーたち

現在、ハヤカワさんは「illuminate」代表として「#NoBagForMe」プロジェクトに参加し、同世代の5人のコアメンバーとともにプロジェクトを進めています。

パッケージ検討のアンケート調査では、よりシンプルなデザイン案が第2位になりました。こちらはナプキンのデザインとして採用されたとのこと。タンポンに続き店頭に並ぶ日が楽しみです。

「illuminate」の公式LINEアカウントをリリース

「illuminate」の公式LINEアカウント

ユニ・チャームとの取り組みだけでなく、「illuminate」の活動も動いています。「illuminate」で取り扱う商品は、オープンから短期間で80種類もの数に。


ハヤカワ五味さん

ハヤカワさん

とにかく日本に存在する生理用品すべてを把握できるようなリサーチをしました。それを端から当たっていると言う感じですね。


さらに9月にはLINE連動型のEコマースアプリをリリース。「illuminate」がセレクトした生理用品の販売や、生理日のメッセージ通知などのサービスを提供しています。あえて「妊娠しやすい日(排卵日)」を表示せず、生理のあるすべての人にフレンドリーな仕様も特徴です。

ハヤカワ五味さん

ハヤカワさん

「illuminate」を始めたのは、今の「illuminate」のデザイナーである同級生の卒業制作がきっかけでした。彼女のデザインは、FtM(女性から男性へ性別移行を望む人)の人も使えるようなシンプルでジェンダーレスなもの。

私も以前から、既存の生理用品のデザインや、買うとレジで紙袋に入れられることに違和感を覚えていたので、ここには「消費者のペイン(悩みの種)」があるなと感じていました。


「#NoBagForMe」と「illuminate」でハヤカワさんが目指しているのは、「生理用品の選択肢を増やす」こと。ユーザーに対しては「生理をあきらめなくてもいい」と伝えたいと話します。

ハヤカワ五味さん

ハヤカワさん

生理が生活に支障があるほどつらくても、「そういうものだ、しょうがない、あきらめよう」と思っている人がたくさんいます。

婦人科の先生いわく「生理で生活に支障が出る場合であれば普通ではないし、病院に来て欲しい」というくらい。まずはもっと、生理期間を快適に過ごしていいのだという認識が広がって欲しいです。


生理用品を見直すムーブメントが起きている

スーパーウーマン

image via shutterstock

「生理は隠すべきもの」という感覚の強さは、これまで生理がタブー視されてきたことの証でもあります。ハヤカワさんに刺激され、SNS上で生理について多様な意見が交わされるようになったことは大きな変化です。

ハヤカワ五味さん

ハヤカワさん

業界全体で生理用品を見直すムーブメントが起きたらいいなと思っているし、実際起き始めていると思うのでうれしいです。


「女性の人数は減ったとしても、女性の可処分所得は増えているので、今後もっと市場の伸びる余地はある」とハヤカワさんは言います。それが結果的に、女性の「しょうがないと思い込んでいた苦痛」を減らしていくことになり、新しい選択肢の提示になると展望を語ってくれました。

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ハヤカワ五味さん

ハヤカワ五味(はやかわ・ごみ)さん
1995年東京生まれ、多摩美大卒業。課題解決型アパレルブランドを運営する株式会社ウツワ代表取締役。 大学入学後にランジェリーブランド《feast》2017年にはワンピースの《ダブルチャカ》を立ち上げ、Eコマースを主として販売を続ける。2018年にはラフォーレ原宿に直営店舗《LAVISHOP》を出店。2019年より生理用品のセレクトショップ《illuminate》を始動。公式サイト

取材・文/田邉愛理、企画・構成/寺田佳織(マイロハス編集部)

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