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アンジェリーナ・ジョリーさんも。遺伝性乳がんはどんな人がなるの?

カラダ戦略術

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増田美加

孫、娘、母の3世代

自分の体をきちんと知ろう! がテーマの連載「カラダ戦略術」。前回は「乳房の良性の病気」について、お届けしました。今回は、「乳がんの遺伝について」を女性医療ジャーナリストで乳がん経験者の増田美加がお伝えします。

乳がんと遺伝の関係は? 乳がんは遺伝するの?

遺伝の研究が進み、がんと遺伝の関係についてさまざまなことがわかってきています。

「うちはがん家系だから心配……」、あるいは逆に「がん家系ではないから、がんにはかからない……」と思っている人もいます。乳がんと遺伝についての現状をお伝えします。

乳がんは“遺伝すること”があります。けれども、乳がんにかかった人の全員が遺伝によって、乳がんになったわけではないと言われています。

乳がんと遺伝の関係については、まず、祖母、母、姉妹などの血縁者に乳がんの人が複数いる場合、家族歴があると考えます。

家族歴のある乳がんを、“家族性乳がん”と呼びます。“家族性乳がん”は、乳がん全体の10~15%と言われています(※1)。

また、近年の研究で、乳がんになりやすい遺伝子の変異があって、これを生まれつき親から子に受け継いでいるケースがあることがわかってきています。このことを“遺伝性乳がん”と言います。

アンジェリーナ・ジョリーさんもHBOCを告白

現状でわかっている遺伝性の乳がんの代表は、“遺伝性乳がん・卵巣がん症候群(HBOC)”です。

これは、BRCA1とBRCA2という遺伝子の病的変異がある乳がんのことです。

以前話題になりましたが、米国女優のアンジェリーナ・ジョリーさんは、HBOCということを自ら告白しています。日本では、乳がんにかかった患者さん全体の約3~5%がこのHBOCと言われています(※2)。

※1『実践! 遺伝性乳がん・卵巣がん診療ハンドブック』編集/山内英子(メディア出版)
※2 国立がんセンターがん情報サービス がん登録・統計2017

家族性、遺伝性の乳がんは、乳がん全体の20%以下です

さきほどの“家族性乳がん”と、この“遺伝性乳がん・卵巣がん症候群(HBOC)”を合わせても、乳がん全体の約20%以下という数字です。上記以外の多くの乳がんは、家族性や遺伝性とは関係なく発症している乳がんということになります。

家族性、遺伝性ではない乳がんの原因のひとつには、女性ホルモンのエストロゲンの影響があげられています。

具体的には、初経が早くなる、出産回数が減るなどで、生理の回数が昔の女性の約9倍以上のため、エストロゲンの影響を受ける期間が長くなっているからです。ほかに、飲酒や肥満なども、乳がん発症の可能性を高めます。

「私はがん家系ではないから、検診を受けなくても大丈夫」と思っている人がいますが、がん家系でなく乳がんにかかっている人のほうが多いわけですから、定期的に正しい検診を受けることが大切です。

乳がんにかかると子どもに遺伝する!?

お母さんと子ども

血縁者に乳がんの人が多いと、心配している人もいると思います。「自分(母親)が乳がんだと、子どもに遺伝するの?」また、「母が乳がんだったから、私も乳がんになるのでは……」と不安に思っている人もいます。

今、はっきりとわかっている乳がんに関係する遺伝子の代表は、前述した、BRCA1の遺伝子とBRCA2の遺伝子です。

これらの遺伝子に病的な変異があると、乳がん、卵巣がんの発症の可能性が高くなる“遺伝性乳がん・卵巣がん症候群(HBOC)”ということになります。

しかし、もし自分にBRCA1とBRCA2の遺伝子に病的変異があったとしても必ずしも100%、子どもに受け継がれるとは限りません。子どもに受け継がれる確率は、50%です。また、もし子どもに遺伝子の病的変異が受け継がれたとしても、必ず乳がんを発症するわけではありません

男性が乳がんにかかることもあります!

びっくりする男性

遺伝子が受け継がれる確率が50%である理由は、子どもは父親と母親の両方から半分ずつ染色体をもらって生まれるからです。また、BRCA1とBRCA2は性染色体ではなく、常染色体なので、受け継ぐ確率は、女の子だけでなく、男の子でも同じ確率です。

ですから、男性が乳がんにかかる可能性があります。乳がんといえば女性というイメージがあるかもしれませんが、BRCA1とBRCA2の遺伝子変異は、男性が引き継ぐ場合もあります。男性乳がんは、女性乳がんの1%にすぎませんが、男性にも乳がんがあるのです。

けれども、たとえ子どもがBRCA1とBRCA2の遺伝子の病的変異を受け継いだとしても、それが必ず乳がんや卵巣がんを発症するわけではありません。あくまでも発症のリスクが高くなるということです。

HBOCの人が乳がんになる確率は、一般の人の6~12倍

もしも、“遺伝性乳がん・卵巣がん症候群(HBOC)”であったとしても、乳がんや卵巣がんを必ず発症するとは限らないということです。

では、BRCA1とBRCA2の遺伝子に病的変異があるHBOCとわかった人のうち、実際に乳がんを発症する人は、どのくらいなのでしょうか?

一般の日本人が乳がんにかかる可能性が9%とすると、BRCA1とBRCA2の遺伝子に病的変異があるHBOCの人の場合、乳がんにかかる確率は、41~90%で一般の人の6~12倍です(※3、4)。

※3 NPO法人日本HBOCコンソーシアム広報委員会編『遺伝性乳がん・卵巣がん症候群(HBOC)をご理解いただくために
※4 『実践! 遺伝性乳がん・卵巣がん診療ハンドブック』編集/山内英子(メディア出版)

遺伝性乳がんが気になる人は、チェックしてみましょう

検査

では、どのような人に、“遺伝性乳がん・卵巣がん症候群(HBOC)”の可能性が疑われるのでしょうか? “遺伝性乳がん・卵巣がん症候群(HBOC)”なのかどうかは、遺伝子検査をしてみなければ、正確にはわかりません

けれども、HBOCには、特徴がいくつかあります。いま日本女性の乳がんの発症年齢は、40代後半から50代前半にかけてピークになります。HBOCの人の場合は、それよりもさらに早く、多くの場合、40歳未満で発症します。

そのほかにも、HBOCにはいくつかの特徴があります。気になる人は、次のチェックリストを行ってみましょう。

【遺伝性乳がん・卵巣がん症候群の特徴チェックリスト】

あなたの母方、父方、それぞれの家系で、あなた自身を含めた血縁者の中に、該当する方がいらっしゃる場合に、下記のリストをチェックしてみてください。

・40歳未満で乳がんを発症した人がいる
・年齢を問わず、卵巣がん(卵管がん・腹膜がん含む)の人がいる
・血縁で、おひとりが時期を問わず、両側の乳房、または片側の乳房に乳がんを2個以上発症したことがある
・ 血縁に男性で乳がんを発症された人がいる
・ 血縁で、本人を含め、乳がんを発症された人が3名以上いる
・血縁でトリプルネガティブ(ホルモン受容体もHER2も陰性)の乳がんと言われた人がいる
・血縁にBRCA1とBRCA2の遺伝子変異が確認された人がいる

上の質問で、ひとつでも当てはまる項目があれば、あなたが“遺伝性乳がん・卵巣がん症候群(HBOC)”である可能性は、一般の人よりも高いと考えられます。
日本HBOCコンソーシアム「かんたんチェック」 より

もし、遺伝性を疑うべきサインがあった場合、どこで相談すれば?

上記のチェックリストで当てはまる項目があって、「HBOCかもしれない…」と不安に感じたら、「遺伝カウンセリング」で相談することができます。漠然とした不安を長い間、抱えているより、相談して不安を取り除くことをおすすめします。

遺伝カウンセリングの費用は、自費診療のため、病院によって異なりますが、30分5,000円前後が目安です。遺伝カウンセリングが受けられる全国の病院のリストは、こちらのサイトにあります。日本HBOCコンソーシアム

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mika_masuda

増田美加・女性医療ジャーナリスト 予防医療の視点から女性のヘルスケア、エイジングケアの執筆、講演を行う。乳がんサバイバーでもあり、さまざまながん啓発活動を展開。著書に『医者に手抜きされて死なないための 患者力』(講談社)、『女性ホルモンパワー』(だいわ文庫)ほか多数。NPO法人みんなの漢方理事長。NPO法人乳がん画像診断ネットワーク副理事長。NPO法人女性医療ネットワーク理事。NPO法人日本医学ジャーナリスト協会会員。公式ホームページ http://office-mikamasuda.com/

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