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筋肉博士が伝授。「筋肉」を鍛えたほうがいい理由

筋肉学

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田邉愛理

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30歳を過ぎたころから、毎年1%ずつ減っていくという筋肉。慌てて筋トレを始めたものの、運動経験が少ないと「このやり方で正解?」と不安になることもしばしばです。

そこで今回は、筋生理学者の石井直方教授(東京大学教授・理学博士)に、トレーニングで筋肉が鍛えられるメカニズムや、筋肉を鍛えるメリットなど筋肉に関する基礎知識をうかがいました。

筋肉は「補修」するほど強くなる

筋トレする女性

日本随一の筋肉博士として知られ、ボディビルダーとしても数々の輝かしい実績をもつ石井教授。筋肉の活動は、生命活動の原動力でもあると話します。

筋肉を構成する筋線維は、体の他の細胞とは大きく違います。筋線維は巨大な細胞で、ひとつの線維で長さ10cmを超えるものも。そんな筋線維が集まって筋肉を形作っているのです」(石井教授)

体の細胞のほとんどは非常に小さく、傷ついたらすぐに新しいものと入れ替わります。しかし巨大な筋線維は簡単にチェンジできないため、不具合があると補修しようとする機能が働きます。

「そうやって壊れた部分を補修することで、そこが以前よりも太く強くなっていくのです。つまり筋肉量を増やすというのは、筋線維を太くすること。体の補修機能が働くようなストレス、つまり筋トレによる負荷をかけることで、筋線維は強くなります。

ただし激しく負荷をかけすぎると細胞が壊死することもありますので、そこまで追い込まないようにしないといけない。筋線維が粘り強く回復するところでトレーニングをやめて、それを繰り返していく必要があります」(石井教授)

認知症も生活習慣病も筋肉の衰えから?

楽しく筋トレする女性

「これまで筋肉は、運動のための器官としては重要ですが、命や健康に直接関わるほど重要ではないと考えられてきました。

しかし最近の研究から、筋肉の量や機能が、健康維持に深く影響を及ぼしていることが明らかになってきています」(石井教授)

筋肉の働きによる健康面のメリット

石井教授によると、健康に関係する筋肉の働きには次の3つがあります。

  1. あらゆる運動のための動力源となる。
  2. エネルギーを消費して熱を作り出し、体温を生み出す熱源となる。
  3. ホルモンのような生理活性物質(マイオカイン)を分泌する内分泌器官となる。マイオカインには認知症や動脈硬化を予防したり、脂肪減少を促進するものがある。

筋肉の減少による、体への悪影響

加齢とともに筋肉量が減少すると、これらの働きも衰えてしまいます。その結果、以下のような深刻な悪影響が生じるのです。

  1. 内臓脂肪の蓄積による生活習慣病リスクの増大
  2. 自力で思うように動けなくなる(ロコモティブシンドローム)
  3. 認知症リスクの増大

筋肉が衰えるスピードは速いです。何もしないと太ももの筋肉は、30歳から80歳までの間に半分の太さになります。これは言い方を変えれば、30歳のときに足2本でやっていたことを、80歳になったら足1本でやらなくてはいけないということ。

筋肉が減ると基礎代謝が落ち、脂肪も落ちにくくなってしまいます」(石井教授)

遠周りをしているようで実は近道、筋トレによる脂肪燃焼の道

女性のウエスト

筋トレに関する知識として、「筋トレは無酸素運動であり、筋トレでは体脂肪は消費されない。体脂肪をエネルギーとして消費できるのは有酸素運動」と聞いたことがある人がいるかもしれません。

しかし石井教授によると、有酸素運動によるエネルギー消費量はそれほど多いわけではなく、ウォーキング1時間でご飯茶碗1杯分ほど。また、どんなにウォーキングしても筋肉は増えません。

いっぽう筋トレは、運動中はほとんど脂肪を消費しませんが、エネルギーの最大消費者である筋肉を増やすことができます。

「筋肉によって高まる基礎代謝は、運動によるエネルギー消費の2倍以上。つまり“脂肪を燃焼しない運動”と思われている筋トレこそが、実は脂肪を燃焼させる近道なのです。

さらに筋肉をよく動かすと、内分泌器官の働きが活性化され、成長ホルモン、性ホルモン、副腎皮質ホルモンなどの分泌量が増加します。成長ホルモンで新陳代謝が高まれば、全身の細胞が活性化されると考えられます」(石井教授)

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筋トレを定期的に行えば、姿勢もよくなり、肩こり・腰痛などが緩和される効果もあると石井教授。健康的で美しい体を保つために、筋トレはやはり必須課題といえそうです。

石井直方教授に聞く、筋肉についての基礎知識。後編は、筋トレ実践編として、筋トレをさらに効率アップする方法をうかがっていきます。

さあ、今すぐ筋トレ!

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石井直方(いしいなおかた)教授
東京大学教授(運動生理学、トレーニング科学)。理学博士。1955年、東京都出身。東京大学理学部卒業。同大学大学院博士課程修了。力学的環境に対する骨格筋の適応のメカニズム、及びその応用としてのレジスタンストレーニングの方法論、健康や老化防止などについて研究している。日本随一の筋肉博士としてテレビ番組や雑誌でも活躍。著書は『筋肉まるわかり大事典』『トレーニング・メソッド』(ともに小社刊)、『一生太らない体のつくり方』(エクスナレッジ)など多数。

参考書籍: 『筋肉まるわかり大事典』(小社刊)、『一生太らない体のつくり方』(エクスナレッジ)

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