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運動前のストレッチは本当に必要? 研究結果は、意外にも……

The New York Times

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ストレッチ

Andrew Mangum for The New York Times

運動をする前にストレッチはした方がいいのか、しない方がいいのか……長らく議論されているトピックです。

アスリートの協力を得た実験結果が発表されましたが、その中にはいろいろなヒントが含まれていました。どんな運動のためにどんなストレッチをするか、選び方はいろいろありますが、実はストレッチをすることによって、自分がどう感じるかがカギとなりそうです。

静的ストレッチが逆効果といわれる理由は?

チームスポーツで、トレーニングの初めにストレッチをする光景はよく目にします。特に多いのはいわゆる「静的ストレッチ」(スタティックス・ストレッチ)。筋肉を伸ばしたまま、そのポーズを数秒~数十秒キープするストレッチです。

しかし、静的ストレッチは近年、逆効果だともいわれています。これは、静的ストレッチを長時間すると、神経系が反応し、筋力が一時的に低下してしまうという研究結果がいくつか示されたからです。つまり静的ストレッチをやりすぎると、たとえば跳躍力が落ちたり、スプリントしたいときに全速力を出せなくなったりする、という見解です。

これによって、アメリカスポーツ医学会(ACSM)をはじめとする多くの組織やコーチは、あまり静的ストレッチを勧めなくなり、代わりに手足や関節を動かし続ける動的ストレッチ(ダイナミック・ストレッチ)を推奨するようになりました。

実は、動的ストレッチの効果も未知数

動的ストレッチ

image via shutterstock

たとえば大腿四頭筋の静的ストレッチは、立ち上がって片方の足を曲げて後ろ手でつかみ、ヒップにかかとが付くようにして、その姿勢をキープします。

一方、同じ大腿四頭筋の動的ストレッチは、足をやや引いてから前方へ向かって大きく振り上げ、着地させる動きを繰り返します。こうした動的ストレッチは、運動パフォーマンスを下げずに筋肉と関節をウォーミングアップでき、激しい動きの準備運動になると考えられていました。

しかし、動的ストレッチが運動パフォーマンスに実際に及ぼす効果を調べた研究は、ほとんどありませんでした。

現役選手は、動的ストレッチ派

2017年6月に学術専門誌『スポーツとエクササイズにおける医学と科学』に発表された研究では、各国代表級の選手やプロアスリートと組んでいる科学者を多数含む国際研究チームが、異なるストレッチメニューを比較する実験を行いました。

まずサッカーやラグビーなど、プレー内でランニングや全力疾走、急な方向転換などを含むチームスポーツをプレーしている男性20人が集められました。徹底的なウォーミングアップが必要と考えられているスポーツの選手たちです。

心理的な影響をコントロールするために、パフォーマンスへのどんな効果を期待して、どんなストレッチを行っているかを質問すると、ほとんど全員が動的ストレッチをやっていると答えました。

その後、人間の身体パフォーマンスに関する研究所で、4日間にわたって各自ウォーミングアップをしてもらいました。

ウォーミングアップはストレッチだけじゃない!

ウォーミングアップ

image via shutterstock

チームスポーツの選手たちは普段、時間をかけ、念入りにウォーミングアップしていました。過去のストレッチ研究は、ストレッチだけに焦点を当てていましたが、実際のスポーツの現場では、ウォーミングアップは念入りに行われる傾向があります。

普段のウォーミングアップに近い状態を再現するために、実験では最初に数分間、軽くジョギングし、次にストレッチ、さらに15分間にわたって段々強度が上がるように、全力疾走やジャンプ、ジグザグ走りなどの運動をしてもらいました。

4日間の実験中、日によって、ストレッチの部分だけメニューを変えました。1日目は、さまざまな筋肉を伸ばす9種類の静的ストレッチを、非常に短く5秒間ずつ。2日目は、同じ9種類のストレッチを30秒間ずつ。3日目は同じ部位のストレッチをすべて動的ストレッチで行ってもらい、4日目はウォーミングアップに一切ストレッチを入れませんでした。

また、各日のウォーミングアップの終了後には、柔軟性(体の動かしやすさ)、ジャンプ力、全力疾走、俊敏さなどに関する一連のテストを行ってもらいました。

結果は意外にも……!?

テスト結果を比較すると、驚くことに、どんなウォーミングアップをしたかにかかわらず、選手たちのパフォーマンスに変化はみられませんでした。ストレッチをしてもしなくても、ストレッチが静的でも動的でも、選手たちの俊敏さやパワフルさ、しなやかさに変わりはなかったのです。

研究を主導した豪エディスコーワン大学、運動・スポーツ科学研究センターのトニー・ブラゼビッチ教授は「それぞれの日のパフォーマンスに差はなかった」とはっきり述べています。

一方、思い込みによる心理的影響もみられませんでした。つまり選手たちはほとんど全員、動的ストレッチがウォーミングアップとして最適だと考えていたにもかかわらず、違いはなかったということです。

静的ストレッチ派もご安心を!

これらの結果には多くの意味がある、とブラゼビッチ教授は言います。

ひとつには、徹底的なウォーミングアップの中にストレッチを組み込んでも、アスリートのパフォーマンスは強化されないということ。しかし同時にわかったのは、ストレッチをしても、特にそれが静的ストレッチでも、パフォーマンスが低下することもないということです。

ブラゼビッチ教授いわく、試合や運動の前にストレッチをすると気分が上がる、あるいはストレッチをした方がいいと思っているならば、ストレッチを続けても差し支えないということです。

「準備万端感」も大事

ストレッチ

image via shutterstock

さらに同教授は、「被験者はウォーミングアップにストレッチが含まれていた方が、準備万端と感じていた」と言います。これは、心理的期待が自信や実際の試合中のプレーに影響する可能性があるからで、これについても今後実験を行いたいとしています。

他方、運動の前にストレッチをするのが嫌いな人は、他の準備運動をすれば、ストレッチはおそらくしなくても構わないだろうと教授は言います。

もちろん、これは非常に短期間で行われた、若い男性のチームスポーツ選手だけを対象とした研究です。もっと上の年齢層や女性、長距離ランニングやサイクリングといったスポーツをしている人などにも同じことが言えるかどうかは検証されていません。ブラゼビッチ教授は「それらすべてについても将来、テストする必要がある。研究はまだ道半ばです」と述べています。

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©2018 The New York Times News Service[原文:To Stretch or Not to Stretch? Athletes Put It to the Test/執筆:Gretchen Reynolds](翻訳:Tomoko.A)

甘糟智子(翻訳)

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