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男が女より短命なのはなぜ? 性染色体のせいだった!

The New York Times

Y染色体

Alex Eben Meyer/The New York Times

女性と男性の性別を決定づける染色体には、X染色体とY染色体の2種類があり、XXのペアで女性に、XYのペアで男性になるという話は皆さんご存知かと思います。

しかし、ここでY染色体について新しい研究が発表されました。男性が女性より短命なのは、このY染色体のせいかもしれないのです。(以下、2018年6月11日付けニューヨーク・タイムズの記事)

Y染色体は「男性らしさ」を司るだけじゃない

男性にしかないY染色体は、別名Dad genes(父さん遺伝子)。使えない細胞核のかたまりだと言われ、からかいの対象になっていました。でも、最近ではそれが年齢に関係なく男性の身体と脳の健康に不可欠な、男性にとって最も忠実な友人だとも考えられるようになりました。

近年の研究では、Y染色体の役割は、生育中の胚に男性器を作るとか、成人男性には精子を供給するといった性別に関するわずかな役割だけではないことがわかってきました。

新しい科学的根拠では、Y染色体は男性にとって重要で幅広い役割に関与していることが示されています。たとえば、がん細胞の成長を止める、動脈を詰まらせないようにする、脳のアミロイドプラークの蓄積を防ぐといったものです。

Y遺伝子を失うと死亡率が高まる

染色体

image via shutterstock

また、多くの男性に言えることですが年齢を重ねてくると、血球やその他の細胞が自発的にY染色体の複製を止めはじめます。それは速いこともあれば遅いこともあります。このように染色体が片づけられてしまうと、男性にとってはアルツハイマー病や白血病などの病気のリスクを高めるようです。

スウェーデンにあるウプサラ大学のラース・フォシュベリ遺伝医学准教授は、「男性が加齢によってY遺伝子を失うことで、女性と比べて男性の死亡率が高くなることの大部分が説明できると、わたしは確信しています」と述べています。

Xの次に来るからY、なだけ

マサチューセッツ州ケンブリッジにあるホワイトヘッド研究所のデヴィッド・ペイジさんは、男性の性染色体についての世界的な権威で、Y染色体の人と呼べるほどです。

ペイジさんは、YとXの染色体は「それぞれきちんとした研究がなされ、分厚い本1冊にまとめられるにふさわしい」と信じています。

胚がXXで女性になり、XYで男性になろうが、性染色体は、ほかの22対の常染色体とは異なっています。常染色体は、完全なヒトゲノム(ヒトの遺伝子情報の1セット)を構成していて、体のほぼ全ての細胞核に含まれています。

性染色体が常染色体とは違っているために、女性の性染色体は見慣れないものや謎めいたものという意味のイニシャルであるXで表すことになりました。Yのほうはというと、アルファベットでXの次に来るからというだけでYと名付けられたのでした。

Y染色体はこうしてできた

亀

image via shutterstock

Y染色体は、染色体の中でも真の変わり者だと言えます。X染色体を含む他の染色体すべてに見られる遺伝子数のほんのわずかしか持っていないのです。Y染色体が遺伝子面で欠けているのは、性別を決めるという役割の遺産なのです。

哺乳類以前の先祖には、いまでもワニやカメがそうであるように、遺伝ではなく温度で子どもの性別が決まるものがいました。

カメは暖かいところで卵が育てばメスになり、外気が涼しければオスになります。

しかし、体内で育つ期間が長くなり、まわりの温度が一定になったことで、胚には性別を決める別の手がかりが必要になりました。そのためにsryという男性性を決める遺伝子が進化したのです。そして、男性の遺伝子プログラムと女性の遺伝子プログラムを分離しておく必要も生じてきました。

その結果、sryがあるY染色体は、対応するX染色体と自由に再結合したり一部を交換したりすることができなくなりました。常染色体の対は、新しい卵子細胞や精子細胞が生まれると新しくなることができます。

Y染色体は孤独な変わり者

Y染色体の遺伝子は、染色体が再結合によって修復するという標準的なシステムに欠けているため、衰え始め、最終的には破棄されるか、常染色体へ再配置されます。

ペイジさんいわく、「この“貿易障壁”ができたことで、X染色体とY染色体は明らかに異なる道をたどることになったんです。X染色体は卵子を作るうえで他のX染色体と再結合し続けることができるのですが、Y染色体は孤立主義的な戦略をたどるので、急速に衰えていくのです」

とはいえ、完全な孤立主義ではないようです。Y染色体の大部分では染色体間の交換や修正は不可能ですが、X染色体とY染色体の先端ではまだ一部分の交換ができます。

「Y染色体はものすごく孤独なんです」とは、ケンブリッジ大学およびウェルカム・トラスト・サンガー・インスティテュートに所属するジョージ・ヴァシリューさんの言葉です。

喫煙すると、Y染色体の減りが早まる?

喫煙

image via shutterstock

共同研究者とともにヴァシリューさんは、2018年5月にY染色体に特有の遺伝子UT-Yの存在を突き止めました。これはネズミでは白血病になるのを防ぎますが、おそらく人間の男性にも同じような役目があると思われます。Y染色体は、(性別決定だけではなく)もっと幅広く男性の健康と生存に役立っているのです。

ウプサラ大学のフォシュベリさんと共同研究者のジャン・ドゥマンスキーさんは、LOYという現象についての論文をいくつも発表しています。これはloss-of-Yの略で、加齢とともに、血球やほかの細胞がなぜかY染色体を破棄し始める現象のことです。

喫煙すると男性の血球内のY染色体の減少が早まることが研究で判明しています。Y染色体のない細胞の率が10%以上の男性は、同じくらいの年齢でY染色体のある細胞が多い男性と比較して、近い将来、死亡するリスクが高まります

また、アルツハイマー病の男性は、そうではない男性と比べてLOYを持つ傾向にあります。

白血球の働きが鈍くなる

研究者らは、免疫系の衰えとLOY現象は関連性があると説明します。ドゥマンスキーさんいわく、免疫系の見張り番である白血球がY染色体を失うと、白血球の監視能力が衰えるとのこと。

白血球は動脈壁のプラークなどの掃除をしなくなり、駆除すべきがん細胞を見逃したり、脳にプラークなどが付着するのも許してしまいます。

ドゥマンスキーさんは、Y染色体の喪失と病気との関連性はまだはっきりとは証明されていないと述べています。また、血球内のY染色体の喪失を促進しているのは何なのか、どうやってそれを阻止するのかなどについては、まだ研究が必要なのだそうです。

「まだまだ初期段階ですし、懐疑的な意見も多々あります。この考えが広く受け入れられるまでにはまだ数年かかるでしょう。わたしたちは自分たちの説が正しいと確信していますが」

ドゥマンスキーさんは、そのたっぷりの自信は、自分が男性に生まれたY染色体のなせるわざかもしれないと言って、自分の発言を笑ったのでした。

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©2018 New York Times News Service[原文:Men Are Different: Here’s Y/執筆:NATALIE ANGIER](翻訳:ぬえよしこ)

ぬえよしこ(翻訳)

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