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納豆
image via Shutterstock

納豆好きが高じて全国各地を巡り、3,500種類以上の納豆を食べてきたという納豆研究家の石井泰二さん。おいしい納豆を知り尽くした石井さんに、スーパーで買えるおすすめの納豆を教えていただきました。

おいしくて個性的。スーパーで買えるおすすめ納豆

2002年に「新宿納豆」に出会ったことがきっかけで、地納豆(各地域の納豆)のおいしさとおもしろさに目覚めたという石井さん。これまで食した納豆は3,500種類を超え、その情報を「納豆ウィキペディア」として公開する活動も行っています。

今回ピックアップしていただいたのは、東京圏のスーパーやコンビニで見つけやすく、味わいも出色という12点です。大粒、中粒、小粒、ひきわりと、種類別に石井さんのコメントをご紹介します。

味よし、食感よし。豆好きにおすすめの大粒納豆

豆の味がしっかりと際立ち、煮豆のおいしさと発酵の風味をストレートに楽しめるのが大粒納豆。納豆好きな人、豆好きな人におすすめ。

つるの子納豆」/菅谷食品

つるの子納豆

大粒大豆のブランド品種「ユキホマレ」を使用。粒ぞろいが良く、甘みのある豆がおいしい。丁寧な作りが光るまさに上質な納豆です。

大力納豆」/大力納豆

大力納豆

納豆の原料は大豆と納豆菌だが、忘れてはいけない、水も味わいを決める大事な要素です。こちらは新潟魚沼の清冽な水を使った美味なる納豆。

大地の想い 国産有機まぜまぜ納豆」/ナチュラルハウス

大地の想い 国産有機まぜまぜ納豆

有機栽培の大豆にこだわり、煮豆のクオリティにこだわるナチュラルハウスのPB商品。北海道産の黒大豆と石川県産の黄大豆のミックスが奏でる、芳醇な香りと旨みのハーモニーが出色の仕上がりです。

バランス抜群! 定番の中粒納豆

大粒と小粒の中間で、両方の良いとこどりの性格の中粒納豆。豆の味と発酵の風味のバランスが良く、納豆を食べ慣れていない人にも食べやすいのが特徴です。

「東京納豆」/太平納豆

東京納豆

北海道産の秋田大豆を使った、昔ながらの東京風の納豆。秋田大豆は、目の部分が黒く“黒目”と呼ばれる品種です。

この納豆をもともと作っていたのは新宿都庁のお膝元にあった高橋商店でしたが、廃業に伴いこの納豆がなくなることを惜しんだ太平納豆がそれを継承。スカイツリーが眼前にそびえる町で、この納豆を作っています。

「成城石井 北海道産大豆100%納豆 中粒」/成城石井

絵以上石井の納豆

納豆好きな成城石井のバイヤーが、オリジナル商品の納豆として最初に開発したのがこの中粒納豆です。

理想の納豆を実現するために選んだ豆は、北海道産とよこまち。作り手として選ばれたのは、都内某所の納豆屋さん。都内有数の造り手が醸す切れ味の良い納豆は、オリジナル商品としては突出したレベルの味わいです。

平家納豆中粒」/こいしや食品

heikemonogatari

食べやすく、豆味のしっかりした上質な納豆を作り続けている「こいしや食品」。納豆鑑評会では初期のころから受賞納豆の常連でもあります。間違いのないおいしさです。

ごはんと相性抜群の小粒納豆

豆の粒が小さくクセが少ないので、納豆を食べ慣れていない人でも食べやすいのが小粒納豆。ごはんと馴染みやく、一体感のあるおいしさが味わえます。

生板納豆(まないたなっとう)」/秋山食品

生板納豆
左の「有機納豆」は、たれ・からしともに有機で作っているそう。ここまでこだわりがあるのも珍しい

「生板」と書いて「まないた」と読む、茨城県の地名を冠した納豆です。国産有機大豆を使ったものは豆の質が非常によく、小粒なのに豆の旨さがガツンときます。

生板納豆

発酵で出てくる旨味も凝縮されていて、造りのしっかりした納豆です。製造工場も歴史が古く、昔ながらの菌が生きているのだと思います。

天狗納豆(カップ)」/笹沼五郎商店

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創業明治22年の「天狗納豆」は、水戸納豆の元祖的存在です。「天狗納豆」が駅でお土産として納豆を売り始めたところ評判になり、水戸に納豆屋が増えていったのです。

そうした古くからの納豆であるにも関わらず、その味わいは現代の嗜好に合うモダンなもの。いまもなお水戸納豆をリードする存在といえます。

黒千石小粒なっとう」/あづま食品

黒千石小粒納豆

黒千石は、わずか数十粒しか残っていなかった豆から、何年もかけて奇跡的に復活させた黒大豆の品種です。

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その活動を支援した「あづま食品」の作る良き納豆がこちら。豆味の良さが何と言っても特徴で、小粒の黒豆というジャンルを新たに開拓した商品でもあります。

納豆巻きだけじゃない! 食べ方いろいろひきわり納豆

豆を細かく砕いたひきわり納豆は、豆の表面積が増えることにより、発酵したときの旨味成分がたくさんできることが特徴。旨味たっぷりの味わいが楽しめます。

天神ひきわり納豆」/小堀栄養納豆店

天神ひきわり納豆

親の代から70年、珍しい固定窯で煮る納豆づくりを続けている八王子の地納豆です。通常は蒸して作られる納豆ですが、固定窯で煮ると煮汁が均等にかかり、甘くふっくらと仕上がるとのこと。地元のスーパーに行くと買うことができます。

ひきわり納豆」/菅谷食品

菅谷食品のひきわり納豆

青梅市の「菅谷食品」は大粒納豆でも紹介しましたが、どれも造りが丁寧で安心して食べることができます。納豆鑑評会の常連でもあり、何度も賞をとっています。連続して受賞できるというのは、作り手の実力の証。この「ひきわり納豆」もおすすめです。

ひきわり納豆」/はまなす食品

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北海道の「はまなす食品」は、障がい者の方も多く勤めてる企業で、2018年のダイバーシティー 経営企業100選に北海道で唯一選ばれた納豆製造メーカーです。

納豆作りを指導されている方も古くからの納豆屋さんですし、本当に丁寧に、手を抜かず、正直に作られていて、とてもおいしい納豆です。東京圏でも、百貨店、スーパー等で一部購入可能です。いつも心して味わいたいなと思っています。

最近は都内のスーパーでも、個性的な地納豆を見かけることが増えてきたと石井さん。

「それだけ納豆の需要が増えてきているのでしょうね。地納豆の作り手に聞くと、やはり大手メーカーが強いとおっしゃいますが、納豆そのものが右肩上がりで売り上げを伸ばしていますから。伝統的な食品で、これほど急激に売れるようになった食品は珍しいと思います。だからスーパーさんも、よそでは置いていないものを置きたくなるのではないでしょうか」(石井さん)

地納豆からPB食品まで、個性ゆたかな逸品ばかり。お買い物の途中で見かけたら、ぜひ手にとってみてください。

納豆研究家・石井泰二さん

2002年に「新宿納豆」に出会ったことがきっかけで納豆の面白さに開眼。日本の地納豆と近代納豆成立の歴史を研究し、これまで食した納豆は3500種類を超える。集めた納豆の情報は「納豆ウィキペディア」として公開。テレビ出演などメディアでも活躍中。

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