1. Home
  2. STYLE
  3. きっと「未来の遺跡」に。天空と光の中で呼吸を整えられる自然遺産

きっと「未来の遺跡」に。天空と光の中で呼吸を整えられる自然遺産

旅するデザイナーの冒険の書

1,186

rumi

enoura_01

写真を通してコンセプチュアルアートの可能性を広げた、現代美術界を牽引する写真家であり、現代美術作家の杉本博司氏。

小田原にとても美しい「江之浦測候所」を構想10年、建設10年かけ作り上げたと聞き、ずっと気になっていました。気象を観測する場所がなぜそこまで話題になっているのだろうと不思議に思っていたので実際に行ってみることに。

古墳時代から近世までの考古遺物がアートの起源を語る

enoura_02

場所は神奈川県小田原市の東海道線根府川駅からシャトルバスで約10分の山の上にあります。根府川駅は、東海道線の駅とは思えないほど小さく無人駅。改札から見下ろす海がとても美しく、関東の駅百選にも選ばれています。

enoura_03

根府川駅改札から見たホーム。海が一望できる抜け感がすごい。

測候所に着くとすぐにただの測候所ではない空気を感じ、ピリッと気が引き締まる思いでした。

ギャラリー棟、石舞台、光学硝子舞台、茶室、庭園、門、待合棟などで構成されており、各建築は平安、室町、大正など各時代における日本の伝統的な建築様式・工法によってつくられ、日本建築史を通覧するものとして機能するというのです。

enoura_04

待合棟。4面がガラスに覆われている。ここで最初に受付をすることになる。

enoura_05

待合棟の中央に置かれた大テーブルには樹齢1000年を超える屋久杉が使われている。テーブルの片側を支えているのは高野山の末寺、大観寺にあった石製の水鉢とのこと。

enoura_06

夏至光遥拝100メートルギャラリーの壁には大谷石の自然剥離肌が敷き詰められている。

enoura_07

夏至の朝、海から昇る太陽光がこの空間を数分間に渡って駆け抜けるように設計されている。

ひとつひとつに時代背景があり、杉本氏のこだわりが伝わってくるのですが、この空間を大きく占めていて特に目につくのが「」の存在。昔から石には神々が宿ると言われていますが、今まであまり気にしたことがない素材なだけに、ここまでさまざまな色や形に変化、加工することができるという新たな表情に気付き驚きました。

enoura_08

ギャラリーの先端部12メートルは海に向かって持ち出しとなり、展望スペースとなっている。天気のいい日はいつまでも眺めていられるほど海と空が美しい。

enoura_09

冬至光遥拝隧道。途中には採光のための井戸が設置されている。雨天時には雨粒の一滴一滴が井戸に降り注ぐのを観察できるそう。

enoura_10

冬至は1年の終点であり起点。この特別な1日は巡り来る死と再生の節目として世界各地の古代文明で祀られてきたという。冬至の朝に昇る陽の光は70mの隧道を貫き、対面して置かれている巨石を照らし出す。

enoura_11

光学硝子舞台と古代ローマ円形劇場写し観客席。冬至の朝、硝子の小口には陽光が差し込み輝くのだそう。

耐用年数1万年という途方もない時間軸を想定したこの測候所は、現代文明が滅びた後も、古代遺跡として残ることを想定してつくられているといいます。振り返ってみても、あの場所を一言で説明するのは難しい。美術館のようで新建築のようで、ギャラリーのようでもあるし、ランドスケープアーキテクチャーとも言えそう。もしくは「未来の遺跡」かもしれない。

測候所と言いながらも気象を測候するのではなく、古代からのエネルギーをもらいつつ「自然と天空と自分との距離を測る場所」なのではないかと思いました。気付けば石に座り、呼吸に集中する自分がいました。

こちらは完全予約制なので公式ホームページよりお申し込みください。


【ご挨拶】
約2年間、45回にわたり連載を続けて来ましたが、今回で「冒険の書」は終わり。でもまだまだお伝えしたい場所はたくさんあります。まだ見たことのない、たくさんの「日常」が日本中にあります。目の前のことで精一杯の時もあるかと思いますが、たまにふらりと旅に出て新たな「日常」を見つけるのも人生の歩き方。また次のステージで日本の魅力をお伝えできることを楽しみにしています。

この夏行きたいスポット

SUP、サイクリング…日本一の琵琶湖で贅沢なアクティブステイ!

夏旅の楽しみ方のひとつに、旅先でできるアクティビティを体験してみるのも思い出になります。特に普段あまり触れたことがないアクティビティだと、よりエンタ...

https://www.mylohas.net/2018/08/172858biwa_lake.html

海と山を同時に満喫。熱海の絶景リゾートで大人の夏休みを

老舗旅館からハイクラスの高級リゾートまで宿がひしめく熱海で、リラックスだけを目的とした気軽な一泊旅行におすすめしたいのが「星野リゾート リゾナーレ熱...

https://www.mylohas.net/2018/07/169607risonare_atami.html

    specialbunner

    Ranking

    1. あっという間に、最高の柔軟性が手に入る! 「最新ストレッチ」とは?

    2. ダイエットのために覚えたい。間食に食べるべきナッツの種類と量の目安は?

    3. 風邪をひきたくない! 管理栄養士が実践しているおすすめの食べ方

    4. 専門家が伝授。すぐわかる! 股関節ゆがみチェック

    5. 知っておくべき新ジェンダー。「ノンバイナリー」は何を意味する?

    6. 美容好きも注目! 福本敦子さんの「自分を慈しむ」暮らしのヒント3つ

    7. 机や棚の下にくっつけられる「後づけ引き出し」でスッキリ収納

    8. 傷ついた心を癒やす処方箋。深い闇から立ち直るには?

    9. 女医さんに聞く、デリケートゾーンのモヤモヤを吹き飛ばすヒント

    10. 肩こりで押すべきは上より下! SNSで話題の「10秒ストレッチ」って?

    1. 風邪の引きはじめ、医師・栄養士がすすんで食べているものは?

    2. 肩こりで押すべきは上より下! SNSで話題の「10秒ストレッチ」って?

    3. 熱や風邪で動けない! 寝こんだときに食べるとよいもの、悪いもの

    4. ストレッチで脚はどこまで開く? 180度できる人が続けていること

    5. 栄養士・医師が選ぶ「やせる食材10選」。優秀なフルーツはどれ?

    6. あっという間に、最高の柔軟性が手に入る! 「最新ストレッチ」とは?

    7. ダイエットのために覚えたい。間食に食べるべきナッツの種類と量の目安は?

    8. 効き目が違う! 下半身が断然引き締まるトレーニングチューブ運動5つ

    9. 専門家が伝授。すぐわかる! 股関節ゆがみチェック

    10. 1日1万歩は歩き過ぎ? ウォーキングの新常識とは?

    1. 風邪の引きはじめ、医師・栄養士がすすんで食べているものは?

    2. 「更年期」を迎えると体や気持ちはどう変わる? 膣がにおうのは正常?

    3. 閉経後女性の乳がん予防に有効な食事とは?

    4. やせやすい体をつくる食事の3大ルール。午前中は何を食べるとベター?

    5. 風邪じゃないのに「のど」がつらい...甲状腺がんを疑うべき6大サイン

    6. 疲労回復の権威が教える「疲れ」のとり方。ほぐすべきは肩より脳!

    7. 1日1万歩は歩き過ぎ? ウォーキングの新常識とは?

    8. 体重を確実に減らすための最適解。おすすめの運動は?

    9. 熱や風邪で動けない! 寝こんだときに食べるとよいもの、悪いもの

    10. 健康によいコーヒーの量は、1日何杯か? 研究結果から解析