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乳がん検診を受けても発見できないおっぱいのタイプがある

カラダ戦略術

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増田美加

自分の体をきちんと知ろう! をテーマの連載「カラダケア戦略術」。前回は「子宮頸がんを予防できるワクチン」について、お届けしました。今回は、「乳がん検診のマンモグラフィではがんが見つからないおっぱい」について女性医療ジャーナリストの増田美加がお伝えします。

乳がん検診を受けていたのに進行した乳がんが見つかったのはなぜですか?

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私は12年前に乳がんを経験しています。それ以前から乳がんの記事は取材し書いていましたが、乳がんの経験者(サバイバー)になってからは、乳がん検診の啓発活動をNPO法人などで行うようになりました。

そんな私のところに、

「増田さんの記事を読んで、講演を聴いて、2年に1回、マンモグラフィ検診を受けていたんです。それなのに、なぜ早期発見できなかったのですか?」

このような質問や相談が数多く私のところに寄せられるようになりました。定期的にマンモグラフィ検診を受けていたにもかかわらず、進行した乳がんが見つかる女性たちです。

医療ジャーナリストとして長年、乳がん検診を定期的に受診することの重要性を書いてきましたが、「2年に1回、乳がん検診を受けましょう。と啓発するだけではいけない…」という思いが日に日に強くなっていきました。

高濃度乳房(デンスブレスト)を知っていますか?

今、乳がん検診の分野で論議を巻き起こしている「高濃度乳房(デンスブレスト)」という言葉をご存じでしょうか?

乳腺濃度が高く、マンモグラフィ(マンモ)の画像でがんが見えにくいタイプの乳房のことです。乳腺濃度とは、乳腺が乳房内にどれだけ存在するか、その割合のことです。

この高濃度乳房は、実は、私たち日本人を含むアジア人に多いタイプの乳房で、女性の4割から7割が高濃度乳房だと言われています

高濃度乳房の問題点は大きく2つあります。

問題点のひとつは、マンモでは乳腺もがんも“白く”写るため、乳がんが見つけにくいことです。乳がんの専門医の間でさえ、まるで雪原の中の白うさぎを探すかのようだと言われています。

もうひとつは、欧米人に多い脂肪性の乳房に比べて、乳がんの発症リスクがやや高いことです。

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写真提供/NPO法人乳がん画像診断ネットワーク

医師は、乳がん検診のマンモグラフィの画像を上記の写真のように4分類に分けて判定します。右2つが高濃度乳房。日本女性の4割~7割が高濃度と言われています。

マンモではがんも乳腺も白く映るため、がんかどうか判別しにくい

マンモでは、乳腺もがんも白く写るため、高濃度乳房ではがんかどうかの判別が難しい…。にもかかわらず、国の検診指針では、乳がん検診の結果として本人に知らせるのは「要精密検査」か「異常なし」です

高濃度乳房のため「判別困難(がんがあるかないかの判別ができない)」であっても、伝える仕組みがないという問題に取材の中で気づきました。

定期的に乳がん検診を受けていても「異常なし」と通知され、ある日突然、進行した乳がんが見つかってしまう。もしかしたら、相談や問い合わせをしてくれた女性たちは高濃度乳房だったのかもしれない…。

マンモはしこりになる前の小さながんを見つけるのが得意で、世界で唯一効果が認められている乳がんの検診法です。だからこそ、国は40歳以上の女性に対し、2年に1回の受診を推奨しています。

検診結果を「異常なし」ではなく「判別困難」と伝えてほしい

それならばせめて、結果を「異常なし」ではなく、見えない場合は「判別困難」と通知してほしいと思います

マンモでは、見えにくい乳房のタイプであることを自分で知っていれば、検診で判別困難なら、「自己触診(セルフチェック)などで気をつけよう」「何かしこりや異常を感じたらすぐに乳腺外科を受診しよう」と対策をとることができます

乳腺濃度の影響を受けにくい超音波検査を自由診療になっても追加で受けてみようなど、自分で選択することも可能です。

高濃度乳房の人がそのことを知らずに、マンモだけの乳がん検診を受け続けていたのでは、早期発見ができず、がんが進行してしまう可能性があります。

多くの人たちは、自分の身を守るために、がん検診を定期的に受けています。結果が「異常なし」で返ってくると、誰もが「がんはなかった」と安心してしまいます。

2016年、私たち全国の乳がん経験者の有志は、厚生労働大臣に宛てて、乳がん検診制度の見直しを求める要望書を提出し、厚生労働省で記者会見を行い、多くのメディアにニュースとして情報発信してもらいました。

要望書の後、現在、国は専門家の検討会などで議論していますが、検討会の医師たちは「超音波のエビデンスが確立していない」「超音波を行う体制整備が整っていない」などを理由に高濃度乳房の通知には時期尚早と慎重な意見です

けれども、体制が整うまでには10年20年という時間がかかります。その間、検診を受けている人はどうしたらいいのでしょうか…。私たちには自分の体を「知る権利」があります。

高濃度乳房について詳しい情報は、NPO法人乳がん画像診断ネットワーク

自分の体を守るには自分で検診を選ばなければならない!?

国の見直しが遅々として進まない中、実際に今、私たちは自分が高濃度乳房かどうかを知るにはどうすればいいでしょうか?

現状では、いくつかの地方自治体が高濃度乳房を通知している、または通知を検討している地域があります。しかしまだごく一部です。現状では、乳がん検診後、「私は高濃度乳房ですか?」と自分から聞いてください

マンモの画像から、医師は高濃度乳房かどうかをチェックすることになっています。結果通知が郵送された後、この結果を問い合わせることもできますし、医療機関で検診を受け、結果を聞く機会があれば、その場で質問できます。

そして、もし高濃度乳房だったら、毎月、生理の後のセルフチェックを丁寧にすることが大事です。そしてもし、いつもと違うしこりや乳首からの分泌物などがあったら、検診で異常なしでも、すぐに乳腺科を受診しましょう

また、自己負担になりますが、マンモに超音波検査を加えるという選択肢もあります。マンモと超音波を併用することで、マンモ単独の約1.5倍乳がんが見つかるというデータもあります。

ただ、超音波にもデメリットがあります。超音波はマンモに比べて、治療の必要のない良性の変化を拾いすぎるため、乳がん検診後の不要な精密検査が増えてしまう可能性があります。超音波を組み合わせる場合は、これらのことを理解して行いましょう。

また、どんな検診も100%ではありません。見落としは起こります。ですから日ごろからのセルフチェックは大事。繰り返しますが、検診で異常なしでも、セルフチェックで普段と異なることがあったら、乳腺外科を受診してください。

今、日本女性の11人に1人が乳がんにかかり、女性のがん罹患率のトップです。特に45歳~50代の女性の乳がんが最も多い中、私たちは正しい情報を得て、自分の身体は自分で守りましょう。

増田美加・女性医療ジャーナリスト

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予防医療の視点から女性のヘルスケア、エイジングケアの執筆、講演を行う。乳がんサバイバーでもあり、さまざまながん啓発活動を展開。著書に『医者に手抜きされて死なないための 患者力』(講談社)、『女性ホルモンパワー』(だいわ文庫)ほか多数。NPO法人みんなの漢方理事長。NPO法人乳がん画像診断ネットワーク副理事長。NPO法人女性医療ネットワーク理事。NPO法人日本医学ジャーナリスト協会会員。公式ホームページ

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