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途中でやめるってムダじゃない。むしろ成功への近道なんです

The New York Times

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「勝者は決してあきらめない。あきらめる人には勝利はない」という表現を聞いたことがありますよね。

でも、断念についてずっと勘違いをしていたとしたら? もし、後退するよりも、意図して放棄することが自分のゴールに近づく道だとしたらどうなのでしょうか。

戦略的断念とは、意図してやめること

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Lan Truong/The New York Times

そこで「戦略的断念」を紹介します。これは、自分にとって重要なことをするための時間もお金もエネルギーも増やす方法としては、一見直感に反しています(視点をかえれば、「ノー」のパワーを学ぶことなのですが)。

たとえば、本を書きたいと思っているとします。『その「決断」がすべてを解決する』の著者マーク・マンソン氏によると、本の執筆は莫大なエネルギーを要する一大プロジェクトなので、他のクリエイティブな活動や趣味を「やめる」必要がおそらく出てきます。

マンソン氏いわく「本を執筆している間は、他の分野でのクリエイティブ活動をあきらめることになります。日々持てるクリエイティブなエネルギーは限られていますから」。本執筆にエネルギーの大部分が注がれることになります。

セス・ゴーディン氏は、著書『ダメなら、さっさとやめなさい! 〜No. 1になるための成功法則〜』で、成功する人は頻繁に放棄する賢い断念者だと言っています。現在の軌道や決心が目標に近づくことにならないと気づいたらそれをやめています。損失をカットすることによって、成功者は方向転換して時間とエネルギーを目標へ近づくために注入できるのだそうです。

ゴーディン氏いわく、「終わらせるためのリソースがあるとわかっていることを始めるほうがいいんです。(予期しなかった)困難に驚かされたくないですよね。困難を予測していたほうがいい。そうなると、チャレンジなのは打開するための努力とリソースをどうやって見つけるかということになります」

多くのオプションにこだわると犠牲が生じる

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image via shutterstock

何かに集中するのことは大事ですが、外部から刺激がどんどん入ってくる現代では高いレベルのコミットメントを持つことは珍しくもあります(情熱あることに集中するために、1週間どころか、1日でも電話を「断った」ことはいつだったのでしょうか?)。実際に、アデレード大学では、とくに結果がどうなるか不明なとき、目の前にある数多のオプションを諦めるのに人は苦労するのかどうかを研究してみました。

この実験では32人の被験者がコンピューターゲームをしますが、ゲームの中で9つあるドアのうちひとつを選ぶように何度も聞かれます。被験者がドアを決めて入り探るといろいろな宝物がもらえるようになっています。それによってもらえる報酬が決められます。しかし、このゲームには、開けられなかったドアは最終的には消えてしまうという別のバージョンもあります。この条件下で、被験者はさまざまなオプションを持ち続けるために、大きな報酬をあきらめるかどうかが観察されました。

つまり、いろいろなことをやろうとしたり多くのことにこだわりすぎると、別のものに向けた方が良いかもしれない限られた貴重なリソースを使い果たしてしまうのです。でも、方向転換すればいいのかどうかはわからないのです。

機会費用と埋没費用を理解する

そこで「戦略的断念」と、機会費用を理解することが重要になってきます。簡単に言えば、これはあるオプションを追求するには、他のオプションをあきらめなければならないということだとゴーディン氏は言います。4時間あるときに、ネットフリックスで『ザ・オフィス』をまとめ見するのか、自分の次の傑作に取り組むのか、新しいスキルを学ぶのか、取捨選択するということなのです。

ゴーディン氏はこう言います。「これはすごく高くつくんですよ。なぜなら、本を読んだり地元のハンドボールチームのコーチをしたりコミュニティに貢献できたかもしれない時間を、テレビ視聴に使うんですから」。この時点で、他のことができただろうという機会費用のほうが、ネットフリックスの料金よりもずっと高いのだと彼は言います。

機会費用のひとつに時間があります。「Journal of Public Policy & Marketing」誌に掲載された2006年の調査によれば、わたしたちは漠然とした将来にはもっと時間があるように誤って考える傾向があるそうです。しかし、忘れてはいけません、ビヨンセと同じように誰にでも1日24時間あることは変わらないのですから。もしあちこちで時間を使えば、本を執筆する時間やジムで筋トレをする時間は少なくなるのです。

行列に並んだのに途中で諦めるのは、無駄じゃない

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投入した時間とエネルギーとリソースの埋没費用ゆえに、何かをやめるのを自分に納得させるのはずっと難しくなります。たとえば列に30分並んでいたとします。そのあとで、まだ1時間も待たなくてはいけないと知ったら、すでに30分投資したのだからこの時点で諦めるのは気がすまないと思います。しかし、それは合理的ではありません。「アメリカ心理学会」の論文は、「無駄にするな」というルールは過度に一般化されていると言っています。すでに費やした30分が「無駄じゃない」ようにしたいのが人情なのです。

でも、そのような投資を続けると犠牲が大きくなることもあります。うまくいっていないことに投資し続けるのは、可能性のあるほかの貴重な機会を無視していることになるからです。

ゴーディン氏はこう言っています。「埋没費用については、『過去の自分からのプレゼントがある』と考えるのがいいでしょう。いまやめようかと思っていることは、過去の自分が続けてきたことです。それを差し出されても、受け取らなくてもいい(いまやめてもいい)んですよ」

断念することはかならずしも挫折ではない

価値のない長期目的に向かって耐え続けることは、自分や他人を惨めにするなら義務と考えていいのです。ノースウェスタン大学の調査によると、非現実的な目標を捨てて別のゴールに方向転換したとき、もっと幸せになり身体的にも健康で、ストレスは少なくなることがわかっています。

「成功したいと思っているから、これはエゴや自尊心の問題であり、自分のなかでは挫折のように思えてしまいます」というのは、テキサス大学の准教授で、教育心理学の専門家のクリスティン・ネフ氏。挫折と結びつけると、何かを断念することを受け入れるのは感情的に苦しいのだと彼女は言います。

でも、正しいタイミングでやめるというのは難しいものです。ゴールに向かって努力し続けるべきか、やめて方向転換するべきか、それをどう判断すればいいのでしょうか。

ネフ氏は、同じ状況にいる親友や家族にアドバイスをすると仮定して、考えてみることを薦めています。

「自分に対してよりも、他人に対してならもっと分別があり協力的になれるものです。そう思えば、これまで見えてこなかった視点が見えてくるでしょう」と述べています。

また、自分と同じような目標を達成した人たちがいることも認めましょう。その人たちはどうやって目標を成し遂げたのでしょうか? 成功するために犠牲にしたことは? 結局どんなことにも機会費用はあるのです。どんな目標にしても、金銭や苦労、人間関係、努力や時間を費やさなければなりません。そのような犠牲はいつもはっきりわかっているわけではありません。

エゴを捨てて自分のためを考える

やめるのに最悪のタイミングは、最も苦しいときです。たとえば仕事なら、大部分の人は状況が手に負えなくなるまでは自ら進んで辞めようという勇気はないものです。もし、キャリアの初期で仕事を探す必要が一番少ないときに、キャリアアップの機会として他の仕事を探すことに利益はあるとゴーディン氏は語っています。

結局、どんなにちいさいことでもやめることは苦悩になります。ネフ氏によると、その解決法は自分のエゴを取り除くことなのだそうです。自分のエゴを守ることに焦点を合わせれば、「わたしは落伍者なのだろうか?」「わたしは充分なのだろうか?」のような間違った質問にフォーカスすることになります。

そうではなくて、「幸せになるには何が必要なのだろうか?」「わたしにとっていいことは何だろう?」と自分に問いかけるのです。

© 2018 New York Times News Service

Sometimes You Have to Quit to Get Ahead/執筆:Stephanie Lee](翻訳:ぬえよしこ)

MYLOHAS編集部

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