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抗糖化の基礎知識に続くこちらの記事では、「抗糖化」実践のアイディアをご紹介します。お話をうかがったのは、管理栄養士としてレシピ開発や食育活動のコンサルティングを行っている浅野まみこ先生。抗糖化調理の基本や、いつもの献立を抗糖化の視点から改善するコツを教えていただきました。

抗糖化献立のポイントは?

人間の老化を促進させる物質AGE、その正体は「糖」まみれになって老化したタンパク質です。加熱によって、タンパク質に糖が結びつくと「糖化」が起こり、それがAGEへと変化することで、タンパク質の機能が損なわれ、見た目の老化やさまざまな疾患の原因となります。

人間のカラダはタンパク質からできており、食事からとった糖質をエネルギーとして利用しています。食事によって糖質が血中に入ると、カラダの熱で糖が加熱されて糖化が起こり、体内でAGE化が進みます。糖化がとくに進むのは体内の血糖値が上昇したとき。日々の食卓で抗糖化を実践できる、4つのポイントがこちらです」(浅野先生)

1.糖質の摂取量を減らす

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糖質とは炭水化物から食物繊維をのぞいたものなので、砂糖など甘いものだけではありません。ごはんもパンも、パスタやうどんといった麺類も糖質。外食が多いと、食事が糖質に傾きがちになります。パスタ&パン、ラーメン&ライスなど炭水化物の掛け合わせは禁物。芋類、にんじん、春雨、ドライフルーツも糖質が多いので、食べすぎには注意しましょう。

味付け(調味料)の糖分を意識することも大切。砂糖、はちみつ、みりん、甜麺醤、コチュジャン、寿司酢、中濃ソース、ケチャップ、めんつゆなどは糖分が多めです。

2.糖質の吸収を抑える(血糖値の上昇を抑える)

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糖質の吸収をじゃましてくれる食物繊維の摂取量を増やしましょう(特に水溶性食物繊維)。もち麦、キノコ(マイタケ)、ゴボウ、オクラ、海藻類は水溶性食物繊維が多く、おすすめです。

主食に精製されていない穀物を選ぶことも重要。白米は玄米や雑穀米に。白パンは胚芽パンやライ麦パンに。うどんよりは蕎麦、なかでも十割蕎麦をチョイスすると血糖値の上昇を抑えることができます。

また、調味料として酢をぜひ使ってください。酢に含まれる酢酸によって、急激な血糖値上昇を抑えることができます。

3.食事のAGE量を減らす

まずは調理法の見直しを。山岸先生のお話にもあったとおり、生食がもっともAGE値が上がりにくく、蒸す・ゆでる・煮る・焼く・揚げるの順に、AGE値が上がります。「こんがりした焼き色がつく」=メイラード反応は、AGEができているサイン。抗糖化には生で食べるのが一番ですが、これだけでは続かないため、蒸す・ゆでる・煮る調理法を多く取りいれていきましょう。

AGE値を特に増やしてしまうのは、高温で揚げること、二度揚げ、揚げて炒める(酢豚など)、焼き色をつける(ステーキや石焼きビビンバなど)といった調理法。卵焼きなら、だし巻きの方が、砂糖入りより焦げ目がつきにくく、AGE化しにくいです。ベーコンやソーセージなどの加工食品は、もともとAGE値が高いので、食べすぎに気をつけてください。

4.抗糖化食材を使う

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ブロッコリー スプラウト、ブロッコリー スーパースプラウトなど、スルフォラファンを含んだ食材は抗糖化のはたらきがあります。いつもの卵サンドやサラダにブロッコリー スーパースプラウトをプラスして、下記の抗糖化メニューにアレンジするのもおすすめです。

■抗糖化たまごサンド

抗糖化たまごサンド

【材料(2人分)】

  • 食パン10枚切り 4枚
  • ゆで卵 2個
  • ブロッコリースーパースプラウト 半パック
  • バター(無塩)
  • A(水切りヨーグルト大さじ2、マヨネーズ小さじ2、塩・黒こしょう少々)※ヨーグルトの水分は硬めに切る

【作り方】

  1. 沸騰した湯に常温に戻した卵を加え、8分ゆでる。からをむき、細かく潰し、Aを加えよく混ぜ合わせる。黒こしょうを少し強めにし、味を調える。
  2. パンにバターを薄く塗り、1を広げる。ブロッコリースーパースプラウトを中央にたっぷりのせ、もう1枚のパンで押さえる。
  3. 2を薄いペーパーで包み、半分に切る。

■ツナと大根とブロッコリースーパースプラウトの抗糖化サラダ

サラダ

【材料(2人分)】

  • ツナ缶(水煮)1缶
  • 大根 3㎝幅
  • 大葉 3枚
  • ブロッコリースーパースプラウト 1パック
  • A(酢大さじ2、醤油小さじ1、ゴマ油小さじ1、すりごま小さじ1)

【作り方】

  1. 大根は、3㎝ほどの長さの千切りにする。大葉は細めの千切りにする。
  2. ボールに1、水を切ったツナ缶、ブロッコリースーパースプラウトをほぐしながら加え、Aを合わせざっくりと和える。

いつもの食事を抗糖化メニューに

抗糖化献立の4つのポイントをマスターすれば、毎日の食事を改善するのは簡単です。浅野先生が例として出してくれたのは、よくある朝食と夕食のメニュー。抗糖化の視点でチェックするとどこが問題なのか、ちょっと考えてみてください。

■朝食:オレンジジュース、ピザトースト、ドライフルーツ入りヨーグルト

夕食:豚肉と春雨の中華炒め、白米、べったら大根、ツナ入りポテトサラダ、ベーコン入り中華スープ

これを抗糖化献立にアレンジすると、こんなふうに変わります。

■抗糖化朝食:豆乳ラテ、たまごサンド、オレンジとキウイとヨーグルトかけ

抗糖化朝食

■抗糖化夕食:豚肉と野菜のトマト煮込み、雑穀ごはん、大根とゴーヤの浅漬け、ツナと大根とブロッコリー スーパースプラウトの抗糖化サラダ、具だくさん味噌汁

抗糖化夕食1

「ふだんの食事を振り返ると、糖質を摂る機会はものすごく多いことに気づかれると思います。全部を気にするのは難しいですが、1日の食事は3回もあるので、続けていけば大きな変化になるはず。ぜひ毎日、少しずつでもいいので工夫してみてください」と、浅野先生のアドバイス。

糖分の多いジュースを避ける、ヨーグルトのトッピングを工夫する、メインのおかずは炒め物でなく煮込みにする、主食を雑穀米に変えるなど、気をつければすぐにチェンジできそうなことばかり。AGEの原理を知れば、「抗糖化」を叶えながら美味しいものを食べることもできそうです。

村上農園

浅野まみこ

管理栄養士。総合病院、女性クリニック、企業カウンセリングにて糖尿病の行動変容理論をベースに1万8千人以上の栄養相談を実施。その経験を生かし、現在は、食育活動やレシピ開発、食のコンサルティングをはじめ講演、イベントなど多方面で活躍中。銀座飲食店のヘルシーメニューの考案や品川駅やコンビニにて「管理栄養士浅野まみこ監修47品川駅弁当」のプロデュースをはじめ、NHK「おはよう日本」、フジテレビ「バイキング」などメディアや雑誌に多数出演。「食生活が楽しいと人生が100倍楽しい!」をモットーに活動をしている。著書に『「コンビニ食・外食」で健康になる方法』(草思社)、『血糖値あがらないのはどっち?』(アスコム)など。

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