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#MeToo で複雑になったセックス。どう向き合えばいい?

The New York Times

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image via shutterstock

#MeToo運動が広がる最中、わたしも異性関係をめぐる過去の成功や失敗を振り返っていた。今さら誤解のせいにはできない10代の頃の嫌な思い出や、抵抗するのが億劫になって相手の要求を受け入れたこと、好きでもない相手の誘いをうまくかわしたこと、などなど。

“服従願望”って、時代に逆行してる?

でもこんな思い出もある。いいと言ってないのに荒っぽく壁に押し付けられて、すごく興奮したときのこと。実際、記憶に残る最もエロティックな瞬間だった。 あんなに衝動的に求められることってまたあるかしら、と思った途端、心配になった。わたしの願望って#MeToo運動や、その意義に反していない?

セックス・セラピストで心理学者でもあるミヒャエラ・ベームさんによれば、そうではないとのこと。実は、そんな願望は“一般的”だとか。

ベッドで支配されたい女性は多い

25年間カウンセリングを行ってきて、ベームさんが悟ったことがある。男女を問わず多くの人が知りながらも、今では認めるのをためらう真実だ。つまり、女性の多くはベッドで支配されたがる、ということだ。映画『フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ』の成功もこれを裏付けている。

「生活の他の場面や職場ではそうでないけれど、寝室では身を任せたいと思う女性は多い」とベームさんは言う。Amazonの官能小説の売り上げランキングで、「男性支配者」をテーマとする作品が上位を占めている理由も、それで説明できるかもしれない(官能小説はポルノと違い、大半が女性作家によって、女性読者のために書かれているジャンルだ)。

この嗜好については、社会的規範の産物だとする説や、生物学的根拠を挙げる説、また、その両方など、色々な説がある。科学者のメレディス・チバーズ博士とマータ・ミーナ博士が別々に行った研究は、生物学的要素がこの嗜好に関係していることを示唆しており、興味深い。さらに、カンザス大学のパトリシア・H・ハウリー教授の2009年の研究では、社会的に地位が高い女性ほど、性的服従の空想を楽しむ傾向にあるという結果が出ている。

服従願望は自分の欲求なのか、社会的制度の産物なのか

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男性権力者の性的違法行為の暴露から始まった運動は、意外にも、かつてなら間違いなく許容範囲内だった性的関係に暗い影を投げかけるようになった。(Lucy Jones/The New York Times)

気分が高揚してきた時に女性が最も煩わされたくない問題は、自分の性的興奮が自分の性欲の現れなのか、それとも家父長制の抑圧の症状なのかという疑問だ。それでも、#MeTooの時代に入り、その区別が前より難しくなったと感じる30歳以下の男女は(記者を含め)多い。 男性権力者の性的違法行為の暴露から始まった運動は、意外にも、かつてなら許容範囲内だった性的関係に暗い影を投げかけるようになった。

#MeTooのせいで過敏になった女性

最近婚約したばかりの友人で、トロント在住のジェシカ・タラリコ(30歳)もこう語った。「性的虐待やセクハラの話をあまりにもしょっちゅう聞いたおかげで、過敏に意識したり、反応したりするようになった。ベッドで婚約者と愛し合った際も、少しだけ荒っぽく扱われただけで、拒絶反応を覚えた。普通なら「ふざけてるんだ」で済ませた程度だったのに、ちょっと怖くなって、防御態勢に入ってしまった。すごく変な感じだった。相手は信頼する大好きな婚約者だったし、何も悪いことや変なことをされたわけでもなかったから」

女性にとっての「良いセックス」が議論されるように

この冬、文芸誌のニューヨーカーに(女子の扱い方を知らない30代男と女子大生のちぐはぐな関係を描いた短編)『Cat Person』が掲載され、Babe.netに(人気コメディアン)アジズ・アンサリと一夜を過ごした女性の体験談が掲載された頃から、#MeToo運動の枠組みの中で、「良いセックスとは」と言う議論がされるようになった。つまり、良いセックスとは何か、これまで誰のためのものだったか(女性ではなかったらしい)、どうやったら皆がもっとそれを得られるか、という議論だ。特権階級的だが、重要な議論には違いない。ただ、単純に整理できないセックスの真実を無視するきらいもある。例えば、女性の欲望は気まぐれで多種多様であるという事実や、理屈や政治的価値観、社会的道徳観で良いセックスは語れないという不都合な事実などだ。

律儀に了解を求める相手にうんざりするフェミニスト

そんな風潮のおかげで、若きフェミニストは難しい立場に立たされている。友人のジェシカはもちろん、LA在住の作家で女優のバージニア・ランドさん(24歳)もそうだ。「最近寝た男性は、全ての段階で許可を求めてきた」とランドさんは振り返った。 レイプ被害者であるランドさんは、フェミニスト理論に詳しい。若い男性が行きずりの相手の了解を求めるようになったのは、大変な変化であることも承知している。それでも、複雑な心境だった。「『もし嫌だったら止めているから!』と思う反面、そんな考えは暴行事件を被害者のせいにする言い訳にもなる。厄介よ」

男性も戸惑っている

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全米各地で#MeToo運動が活発になった。(Photo by Gettyimages)

男女間の同意をめぐる新しい標準に違和感を感じるのは、ランドさんだけではない。男性だって戸惑っている。カリフォルニア州フレズノ在住の大学生、マイルズ・モブレーさん(24歳)も、親しい女友達との間に起きた去年の出来事を思い出した。そのとき、二人は裸になって戯れていたが、モブレーさんがセックスに発展させようとすると、彼女から「ストップ」の声がかかった。

すぐに従ったものの、モブレーさんは当惑した。「お互いセックスするつもりでいると思ったのに、突然そうでないことになっていた」。本当にしたくないのと彼女に尋ねると、「ううん、やっぱり大丈夫」と返事をしたと言う。結局二人はセックスした。そのときのことを思い出すと、今でも不安や罪悪感に悩まされるとモブレーさんは言う。「確認のために質問したのは良くなかった? そうすることで強要していた? そんなつもりじゃ全然なかったのに。ただ本当に混乱していただけ」

「もう自分から行動は起こしたくない」男性たち

#MeTooが社会現象になって以来、モブレーさんや友人の多くは自分から行動を起こさないことを誓ったと言う。「女の子から誘ってくるのを待つようになった。そのせいで事に至らなかったことは何度もあるよ。『なんでキスしてくれなかったの?』って言われたことも何度もあるし。でも、絶対に一線は越えたくない」

女性にとっての性的解放は男性のそれとは違う

一般的な思い込みとして、「性的に解放された女性は、男性と同じように振る舞う」というものがある。これまで手本は男性だけだったから、当然だろう。しかし、実際には、女性が男性とは全く別のやり方で性的解放を得ようとする可能性だってある。

「女性の性的欲望は固有で(男性のそれとは)異なると認識すれば、(女性は)もっとのびのびと自分を表現できる。女性の快楽や性的興奮の展開の仕方は男性とは違う。それを知れば、当然の権利である濃厚な快楽を自分のものにできる」とベームさんは言う。

さらに、服従する役割を演じることと、従順であることは同じではない。「服従することで明らかに力を得られる」と、ヒンズー教の経典タントラにも詳しいベームさんは説明する。ヒンズー教の教義が勧めるように、相手に身を委ねることで、大きな解放感が得られると言う。

積極的になる義務も含め、主導権を握ることが大事

結局、女性に一番力を与えてくれるのは、セックスの主導権を握ることだとベームさんは主張する。「男性と同じ自由を味わいたいなら、男性と同様に義務も負わなくてはならない」

女性が黙っていることを見越して権力者の男性が性的関係を迫る。それを可能にしていた古いルールは#MeToo運動によって覆されてしまった。今や新しいルールが存在する。セクハラや職場の性差別においては、それは良いことでしかない。

セックスを型にはめることはできない

しかし、衝撃的なセックスにとって、規範的で普遍的な指針は忌まわしいものでしかない。セックスを道徳的、政治的な行動として体系化することもそうだ。そんなことをすれば、性行為は世論と言う法廷で裁かれるようになる。不可解な欲望に押し流されて未知の領域に踏み込んでしまった場合には、当事者の両方が自分を恥じるようになるだろう。必要なのは別のルールなどではない。自由に安心して互いの欲求を探り、耳を傾け、(逐一の意志確認は不要という許可も含めた)希望を伝えることのできる関係こそが必要だ。

© 2018 New York Times News Service[原文:How Does Submissive Sex Work in the Age of #MeToo?/執筆:Hayley Phelan](翻訳:Ikuyo.W)

MYLOHAS編集部

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