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欲求不満と怒りがあればフルマラソンも完走できる [The New York Times]

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ニューヨークシティマラソンの抽選枠へ応募すること数回目の今年、ついに当選した。6年前にこの街に戻ってから、ずっと出たいと思っていたのだ。最近私は50歳の誕生日を迎えた。そして今年は、初めてのフルマラソンから10年目の節目の年でもある。

勢いで申し込んだ初マラソン

チェコ共和国で初マラソンに挑戦した時は、特に準備はしなかった。煮えたぎる怒りと欲求不満のエネルギーだけで、走りきったのだ。出場までのいきさつはこうだ。

その日、友達のハンカと私は広場に面したカフェでお茶を飲んでいた。目の前ではプラハマラソンの出場者を募集する大きなテントが見えた。

「やってみたら?」ハンカは唐突に言った。

「経験ないし、トレーニングしないとダメでしょ?」

「40歳になった記念に、ダメもとでやってみなよ」

私たちはタバコを消し、カフェを出て、テントへ向かった。暇そうなスタッフが熱心に対応してくれ、あっという間に登録終了。「5月に会いましょう!」という言葉とともに、Tシャツなどのマラソン・セットを渡された。それは、4月のことだった。

私の背中をポンと叩いて、ハンカは言った。「タバコはしばらくお預けだね」。

ワンオペ育児と寂しい夜

当時、私は自分が生まれ育ったプラハに住んでいた。ニューヨーク・タイムズ紙の特派員である夫は、中東で取材するため長期出張の連続。その間、ひとりで2人の子供の面倒をみざるを得ず、イライラは募るばかり

夫が家に帰った時は、2人でよくジョギングをした。城や宮殿がある美しい旧市街を抜けるコースを約45分間。2人で並んで走る時間は貴重だったが、それだけでは満たされないものがあった。

マラソン・セットを手に家に帰った私は子供たちを寝かせた。タバコに火をつけ、ワインを注ぎながら、フルマラソン経験者の友人のことを思い出した。彼女はキツくて退屈なトレーニングに嫌気がさして、その後は走るのを一切やめてしまっていた。それを教訓に、私はストイックなトレーニングはやめようと心に決めた。

厳格な決まりだらけの共産主義社会で育った反動か、私はルールが大嫌いだ。キッチリとしたスケジュールを立てたら、士気が下がるのは目に見えている。いつも通り週に3〜5回のジョギングを続け、タバコはやめなかった。

雨にも風にも、冷たい視線にも負けず

そして当日。旧市街を抜けてしまうと、ハイウェイを折り返えす退屈なルートが続く。霧雨のあと、雹が降り、やがて雨に変わった。やんだ後も冷たい風が吹き付け、霧が立ち込めた。10周年だというのに沿道の観客はまばら。いかめしい顔をした通行人は、物好きなランナーたちに冷たい視線を投げかけた。

ランニングのシンプルさが気に入っている私は、ウェアに対するこだわりはなく、よれよれの80年代ディスコ調レギンスで出場した。当時のプラハではまだ目新しかったナイキのTシャツは防水機能をうたっていたが、天気が悪すぎて気休めでしかなかった。

旧市街に戻り、カレル橋に差しかかったところで、体が悲鳴をあげた。ゴールまであと6.5キロ。どうにも足が重く、もうやめたかったが、悔しさとカッコつけ精神が頭をもたげ、無我夢中で走りきった。タイムは4時間45分。

戦場に比べたらマラソンなんて

その日の午後、何も知らない夫が電話をかけてきた。マラソン出場と完走のニュースを伝えると、彼はしばらく無言だった。

「ぜんぜん知らなかった。完走したの? すごい。信じられない。ちょっと待ってて」

同僚記者たちと話している声がしたと思ったら、電話口に彼が戻って来た。「どうやってトレーニングしたか、みんな知りたがってる」。

怒りと欲求不満のエネルギーだけで乗り切ったって言っといて」

ガヤガヤと話し声がしたあと、夫は誇らしげに言った。「お前の妻はコワイなあ、だって」。

命がけの現場をくぐり抜けて来た記者たちにそう言われ、なんだかいい気分だった。戦場に比べたら、フルマラソンの大変さなんて、たかがしれている

あれから10年。寂しい夜と、怒りに震える日々は過去のものとなった。さて、ニューヨークシティマラソンはどうやって走り切ろう?

© 2014 The New York Times News Service[原文:How Cigarettes and Sexual Frustration Got Me Through 26.2 Miles: Marathon Training Tips for the Lonely Wife/執筆:Selma Kalousek](抄訳:Tom N.)photo by Shutterstock

MYLOHAS編集部

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