レトルト、フリーズドライと保存食品のレパートリーも増えましたが、昔ながらの乾物や缶詰もいまだ健在です。なかでも缶詰は、水戻しの必要もなく、開ければすぐに使える食品として常備する家庭も多いことでしょう。

1805_cannedfood
image via shutterstock

推奨摂取量の100倍の亜鉛が含まれる缶詰食品

そんな便利な缶詰ですが、使いすぎるのは考え物と分かる研究結果Royal Society of Chemistry(英国王立化学会)の機関誌『Food and Function(2018年3月号)』に発表されました。研究したのは、ニューヨーク州立大学ビンガムトン校バイオメディカル工学科のメンバーです。

缶詰には、ナノ粒子の形で酸化亜鉛が含まれます。これは、抗菌目的、あるいは食品の変色を防ぐために用いられています。

(「Top Santé」から翻訳引用)

けれども、その亜鉛ナノ粒子の健康への影響はこれまで研究されたことがありませんでした。そこでビンガムトン校の研究者たちは、まず、もともと亜鉛の含有量が少ない食品であるツナ、コーン、アスパラガスの缶詰を分析しました。

(すると、)これらの食品は、一日の推奨摂取量の100倍にも及ぶ亜鉛を含むことが分かりました。

Royal Society of Chemistryから翻訳引用)

亜鉛は、どちらかというと現代人に不足がちという印象の栄養素ですが、缶詰を食べることで過剰摂取もありえることが分かります。

過剰な亜鉛により栄養の吸収効率を下げる可能性

続いて、小腸細胞の栄養吸収機能を、亜鉛ナノ粒子に接触させる前と後で測定し比較したところ、次のことが分かりました。

亜鉛ナノ粒子に接触したあとの細胞は、鉄分の吸収は75%、グルコースの吸収は30%減少しました。

Royal Society of Chemistryから翻訳引用)

また、腸の形状自体にも影響を及ぼす可能性があることが分かりました。

亜鉛ナノ粒子は、小腸細胞の絨毛にも影響を与えることがわかりました。それにより、栄養分を吸収する表面積が減少するのです。

Royal Society of Chemistryから翻訳引用)

絨毛は、腸内にある細かなひだのこと。これがあるために、栄養吸収の機能をもつ腸内部の表面積がずっと大きくなっているのです。その絨毛が減ったり形が変わったりしてしまえば、栄養の吸収率も悪くなってしまいます。

何事も過ぎたるは及ばざるがごとし。缶詰を食卓から追放する必要はないでしょうが、毎日ではなく、時々、それも副菜に活用するなど、補助的な使い方にとどめるようにしたいものです。

Royal Society of Chemistry,Top Santé

Ranking

RELATED ARTICLES