長い歴史のなかで人類の命をつないできてくれた穀物。 世界各地の料理の中心には米や麦などの穀物があり、 世界中に穀物をおいしく食べる文化がある、と感じています。
旅先で、新たな穀物やその意外な食べ方に出会うたびに、穀物の無限の魅力に夢中になります。 世界各地のVegan(ヴィーガン)料理では穀物がよく使われており、 栄養豊富でおいしい穀物は、Vegan料理の愛され食材です。
穀物ファンのわたしは、穀物そのものの味を主役にした料理が好きなので、結果的にVeganの一皿になっていることが多いです。 植物性の食材だけで料理すると、 穀物そのもの香りや甘みが引き立つと思っています。
動物性の旨みを加えなくても十分においしい! TOKYO VEGANでは、穀物をもっと好きになるシンプルなレシピをご紹介していきます。 今回は「大麦」です!
日本ではおなじみの穀物、大麦
小麦は知っているけど大麦は見たことない……と思っていませんか? 実は大麦は、日本ではおなじみの穀物。とくに六条大麦と呼ばれる種類は古来から日本で栽培されていて、麦ご飯にしたり、麦茶の原料にもなっているものが大麦です。
スーパーの雑穀コーナーにも、「押し麦」や「丸麦」として売られている大麦ですが、 ご飯に混ぜるだけだと思っていたらもったいない!
レシピ:キノコとローリエの押し麦リゾット
リゾットは通常生米からつくるものですが、作り慣れていないとハードルが高く感じてしまうものですよね。だからといって、ふつうに炊いたごはんでつくると、ベタベタと歯ごたえのないおかゆのような仕上がりになってしまうのが現実……。 ところが! 粘りが出ず適度な食感がある押し麦を加えると、簡単に、おうちリゾットがレベルアップしますよ。
写真は、運良くフレッシュ(生)のローリエが手に入ったときにつくったものです。 フレッシュのローリエは、それはもうさわやかな芳香で大好きなのでついついたっぷり入れていますが、乾燥ローリエでも十分においしくできますよ!
材料<2人分>
- 押し麦 25g
- 固めに炊いた白米 または 玄米ごはん 60g
- ニンニク 1/2片
- オリーブオイル 大さじ1.5
- きのこ(エリンギ、しめじなど) 50g
- 豆乳 250ml
- ローリエ 2〜4枚
- 白味噌 大さじ1.5
- 白たまり(白醤油 なければ醤油) 小さじ1/2
- 塩 少々
- 胡椒 少々
レシピ
- 鍋に、たっぷりの水と、水量の2%程度の塩(分量外)を入れ沸騰させて押し麦を加え、12〜15分程度ときどき混ぜながら周りが半透明になるまで茹でザルにあげ、オリーブオイル(分量外)を和えておく。
- 深めのフライパンにオリーブオイルと刻んだニンニクを入れて中火にかけ、香りがたったら適当な大きさにカットしたキノコを加えて炒める。
- 豆乳と、葉脈に逆らって折ったローリエを加え、弱火であたためたら、白味噌を溶かし、ごはんと「1」の押し麦を加え、弱火で軽く煮立てる。 (水分が足りないようなら豆乳を足す)
- 白たまりを加え、塩と胡椒で味を調整したら、完成。
レシピ:丸麦とアボカド・きゅうり・トマトのガレットサラダ
押しつぶしていない丸麦は、もちもちの押し麦よりもさらに噛み応えがあり、噛むほどに味わいがあります。 味わいと食感を生かし、茹でてそのままサラダにするのはいかがですか? どんな野菜とも相性がよく、一皿で満足感のあるサラダになります。 写真のようにセルクル型で抜いてケーキのような仕立てにしても楽しいですよ。
材料<2人分>
- 丸麦 25g
- アボカド 1個
- きゅうり 1本
- トマト 1個
- 紫キャベツのスプラウト 50g
- オリーブオイル 大さじ1
- 塩 小さじ1/3
- バルサミコ 小さじ1/2
- メープルシロップ 小さじ1/3
- 醤油 少々
レシピ
- 鍋に、たっぷりの水と、水量の2%程度の塩(分量外)を入れ沸騰させて丸麦を加え、20〜25分程度ときどき混ぜながら芯がなくなるまで茹でる。ザルにあげ、オリーブオイル(分量外)を和え粗熱をとる。
- 「1」の間に、アボカド、きゅうり、トマトを1cm角に切っておく。
- ボウルにオリーブオイル、塩、バルサミコ、メープルシロップを入れてよく混ぜ、味を見て、足りないようなら醤油を数滴たらし、味が決まったら「1」で茹でた丸麦とアボカドをボウルに入れよく混ぜる。
- 皿にセルクル型を置き、「3」の丸麦&アボカド和えを押し入れ、きゅうり、トマトの順に重ね、セルクルを外す。紫キャベツのスプラウトを飾り、上からオリーブオイル(分量外)をたらして完成。
パスタのように茹でるだけですぐ使える手軽さや、その独特の食感や味わいにはまり、かなりの頻度で食べていますが、大麦を食べるとお腹の調子がいい気がしています。 どうやら、大麦には食物繊維がとても豊富に含まれているそうです。 おいしく食べてカラダも喜ぶなんて、うれしい食材ですね。
(参考:全国精麦工業協同組合連合会)
今回は大麦の魅力を少しだけお伝えしましたが、 穀物の魅力は無限大! 次はどんな穀物とレシピをご紹介しようか……いまから楽しみです。
Photo by 柳詰有香 Yuka Yanazume
Vegan(ヴィーガン)とは、完全菜食。 動物性のものを一切使わないライフスタイルや、そのような食事のことをさす言葉。 本連載『TOKYO VEGAN』では、おうちでつくれるVeganレシピのほか、おいしい野菜や調味料、世界のVegan事情についてなどをゆるゆると綴っています。
次回は、パンのおともはバターだけじゃない! パンとオリーブオイルのおいしい関係についてお伝えします。 パン好きのみなさま、お楽しみに!
Profile:大皿彩子 Saiko Ohsara
Alaska zwei 店主 / 株式会社さいころ食堂 代表”おいしい企画”専門のフードプランナー。VeganカフェAlaska zweiの運営のほか、食に関わるブランドプロデュース、レシピ開発、空間コーディネート、イベントのトータルコーディネート等を行う。saikolo.jp