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集中力が欲しい! 冬季五輪選手にストレス管理術を学ぼう

The New York Times

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平昌冬季五輪大会のバイアスロン競技に出場したアメリカ代表クレア・イーガン選手。 (Photo by Alexander Hassenstein/Getty Images)

スキーを履いて、雪の上をフルスピードで駆け抜ける。次にピタッと止まり、約50メートル先にあるクッキー大の小さな標的をライフルで狙う。的を外すとその分、ペナルティが科され、スキーで走る周回数が加算される——クロスカントリースキーと射撃という二つの競技を組み合わせた「バイアスロン」は、身体的な強靭さと感情的な冷静さの両方を要求される、独特のストレスがかかるスポーツです。

一瞬の集中力を高めるトレーニング

平昌冬季五輪に出場したバイアスロン米国女子代表、クレア・イーガン選手(30)のトレーニング法は、ストレスを管理し、瞬時のうちに集中力を高めて攻めの姿勢に入るためのヒントを与えてくれます。「バイアスロンは身体的にとても厳しいスポーツ。体中の筋肉を使い、心拍数は限界まで上がります。けれど最も大きな課題は、メンタル的な部分なんです」。

イーガン選手、それから米国のバイアスロンチームを支えているスポーツ心理士のショーン・マッキャン氏に、バイアスロンにおける精神的なハードルとその克服法を聞きました。要は準備を万全にしておくこと、そして自分がストレスフルな状況に置かれることに対する心構えを持ち、前もって対処法を見つけておくことだと言います。バイアスロン選手の究極のストレス管理術は、プレゼンなどプレッシャーがかかる私たちの日常のシーンにも採り入れることができそうです。

とにかく準備は万全に

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(Photo by Quinn Rooney/Getty Images)

イーガン選手のストレス管理は、レース本番のずっと前から始まります。レースで滑るコースは常に数日前から滑っておくので、本番で焦ることはありません。そして射撃ポイントの近くでは、本番に目印になる木やフラッグポールといったものを覚えておきます。これは小さなことですが、競技中のストレスを減らす重要なステップです。「それを覚えておけば、スキーモードから射撃モードに変わらなければという合図になるんです」。

ゆっくり息を吐く

五輪出場選手に限らず、呼吸をコントロールすることでストレスが減り、集中力が高まることは様々な研究で明らかになっています。

マッキャンさんの指導でイーガンさんらバイアスロン選手たちは、スキーから射撃に移るために、わずか数秒で自分を落ち着かせる呼吸法を身につけています。呼吸を意識することで、脈が速いままでも射撃ができるレベルまで心拍数を落とすことができます。

「呼吸に急ブレーキをかけようとすると、なかなか難しいです」とマッキャン氏。「呼吸のリズムを変える方法の一つは、ゆっくり息を吐くこと。これには多少の練習が必要ですが、息をゆっくり吐くようにすれば、吸う方は自動的に変わります。これは速い呼吸をスローダウンさせる一つの方法です」。

気が散る要素から自分を守る「マインドフルネス」

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(Photo by Adam Pretty/Getty Images)

自分の周りにどんなチャレンジが待ち受けているのかを十分把握しておくことも、ストレスフルな状況を管理する大事なステップです。イーガン選手は射撃ポイントへ到達する30秒前にウィングフラッグを見て風の吹き具合を読み取り、どう調整するか考えるといいます。それから呼吸をスローダウンし、射撃ポイントに入って態勢を整え、ターゲットを見すえます。

「その次の15秒は極度の集中力が必要な場面です。私に与えられた使命は、それまで何千回とやってきたことを再現すること。本番では、気が散る要素がたくさんあることは分かっています。隣の選手がターゲットを全部クリアするかもしれないし、ファンの声援も聞こえる。スピーカーからは『米国のクレア・イーガン選手です。注目しましょう』といったアナウンスも聞こえてきます」。

今、起きていることに意識を集中させる「マインドフルネス」のトレーニングによって、そういった気が散る要素をそのまま受け入れることを学んだ、とイーガン選手は言います。「射撃を行うためには、自分がやっていることからあらゆる感情を排する必要があります。あそこに標的がある、ここに引き金がある、それだけを考えて撃つ。それが私のプロセスです」。

結果ではなく、やるべきことに集中する

バイアスロンでは、射撃で標的4個を撃った後の最後の1発が落とし穴となりやすい瞬間です。「これを当てれば金メダルが獲れる」なんて思えば、その途端に絶対、的を外すとイーガン選手は言います。「そういう余分な考えや勝ちたいという欲望は、役に立たないだけではなく逆効果。そういった思いを頭から消し去り、やるべきタスクに集中することです」。

イーガン選手の戦略は、「最後のショットをモノにしなければ」といった目標指向型の考えの代わりに、射撃のプロセスを一言ずつ合図にしたフレーズを思い浮かべること。「構えて」「息をして」「撃って」といった一言にしてしまえば、後はそれに従うだけで、やるべきことに集中しやすいからです。「心の中からすべての雑念を取り除かなければなりません。私はそのために撃つ手順を一語にしたプロセス指向の言葉を使っています。『手順に従えばいい』というこのコンセプトは、ミニゴルフみたいなゲームでもつかめると思います」。

競う相手は他人ではなく、あくまで自分

「バイアスロンのレースでは最後の射撃ステージにたどり着いたところで、多くの選手がプレッシャーに負けてミスをしてしまう。国際的にトップクラスの選手でも、ラストステージで崩壊してしまうことがある」とイーガン選手。

バイアスロンのカギは、自分がやるべきタスクとそのプロセスだけに集中すること。結果がどうなるかとか、他の選手はどんなパフォーマンスをしているかといったことに気を取られてはなりません。

「これはどんなことにも当てはまる原則だと思います。重要なのは今、自分がやっていること。他人はどうしているんだろうといった考えを手放し、自分の仕事に集中するんです——これができれば、仕事のプレゼンでもピアノの発表会でもバイアスロンでも、自分が胸を張れるパフォーマンスを披露できるでしょう」

©2018 The New York Times News Service[原文:How To Manage Stress Like An Olympic Biathlete/執筆:Tara Parker Pope](抄訳:Tomoko.A)

MYLOHAS編集部

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