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「あれ?」と思ったら定期検査へ。視力・聴力の衰えと脳の意外な関係

The New York Times

自分も含めて、周りで誰かが「頭が追いつかない!」と言うときがある。新しいことを覚えたり、計画したり、思い出したり、人とコミュニケーションしたり、見たり聞いたり、匂いを嗅いだり。脳はあれこれ複雑な仕事をこなしているのだから無理もない。「視覚や聴力といった感覚機能が落ちると、認知機能も落ちる」ことを示す研究結果が最近、増えている。

はっきりとした因果関係はまだ証明されていないが、老眼で文字を読みにくかったり、耳が遠くて会話が聞き取りにくかったりすれば、脳は情報のキャッチだけで手一杯となり、他のタスクをこなす余裕を失ってしまうのかもしれない。

視覚がぼんやりすると、脳への刺激が減る

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米国医師会雑誌(JAMA)の眼科版に2017年8月、視力と認知能力の低下の関連を指摘する研究結果が発表された。米国の高齢者約3,000人と、メディケア(高齢者向け医療保険)の受給者3万人を対象とした2つの調査で、視力の低下と、記憶や方向感覚、計画性といった認知機能の衰えの関連性が一貫してみられた。論文を書いたスタンフォード大学医学部スーザン・パーシング博士はこう語っている。

「視力の低下が認知機能の低下を招くことが証明されたわけではないが、周りの世界との関わりが(視力低下によって)希薄になり、受け取る刺激が減れば、認知機能が衰えるという関係は感覚的に納得できる」

ミシガン大学が高齢者625人を対象に行った研究では、視力の弱い高齢者が認知症を発症するリスクは63%高いという結果が出ている。また目が悪いのに眼科医に行かなかった人では、認知機能の低下が起きる確率が5倍アルツハイマー病を発症する確率が9.5倍、高かった。パーシング博士は「(視力と認知機能の関係は)必ずしも一方通行ではなく、認知障害がある人の視力を改善すれば、両方の機能が改善する可能性もある」とも言う。

聴力と思考をつかさどる脳の部位は同じ

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image via shutterstock

聴力についても、聞こえにくくなれば認知機能の低下が加速する証拠が示されている。ジョンズ・ホプキンズ大学「加齢と健康センター」の耳鼻咽喉科医、フランク・R・リン博士が調査した高齢者1,984人では、最初の段階で聴力が低下していた人では、正常聴力の高齢者に比べて、6年以内に認知機能が低下する確率が24%高かった。また認知機能の低下するペースも、正常聴力の人に比べて最大で40%速かった。

さらに正常聴力の人に比べて、思考や記憶といった脳の働きに問題が生じる時期も平均3年早く、程度もより深刻だった。リン博士は、聴力と認知機能の関係について考えられる3つの説明をあげている。

1番目は「認知機能にかかる負荷」だ。耳がよく聞こえないと脳は不明瞭なシグナルを受け取るため、聞き取るだけで消耗してしまい、メッセージの意味を捉える働きがおろそかになる、という仮説だ。2番目は、耳の聞こえが悪いと人との交流が減って孤立しがちになり、すると脳が受け取る刺激も減るので、認知機能の低下につながる可能性だ。だが、最も重要なのは、脳の構造が関わる3番目の説明だろう。耳が聞こえにくくなると、脳の中で聴覚をつかさどる部分が委縮するペースが加速する。この部分は記憶や学習、思考をつかさどる部分と重なっている。

ワシントン大学ジョナサン・ピール氏のチームが機能MRIを使って行った研究では、聴力の低下が軽度の人でも、前頭葉への負荷がみられた。つまり、思考や意思決定をつかさどる前頭葉が、話されていることを懸命に理解しようとするために酷使されているということだ。「聴覚が正常な若い人でも、耳の聞こえがわずかでも悪くなれば、前頭葉に負担がかかる」とピール氏は言う。

さらに聴覚の低下が進むと、聴覚皮質が委縮することが過去の研究で示されている。そうなると聴覚以外の脳の機能も衰えるだろうと、ピール氏は述べている。

もしも補聴器を適切に使えば、認知症のリスクを下げたり、発症を遅らせたりすることができるのかどうかは明らかになっていない。だが、米国立老化研究所(NIA)が今後5年以内に、認知機能に対する補聴器の効果について研究結果を発表する予定だ。

視覚と聴覚の定期検診を

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image via shutterstock

視覚や聴覚と認知機能の因果関係は、まだ完全には証明されていない。だが、専門家たちは、定期検診を受けることを強く勧めている。視覚や聴覚が低下しても、それを矯正できれば認知症のリスクを抑えられる可能性があり、生活のクオリティも改善するからだ。

米国眼科学会では、失明のリスク要因や何らかの症状が全くない場合でも、40~54歳では2~4年に1度、55~64歳では1~3年に1度、それ以上の高齢者では1~2年に1度の徹底的な眼科検査を推奨している。そうした検査を受けることで、緑内障や白内障、加齢性黄斑変性症などを発見し、治療や矯正を行えば、視力を保つことができる。

また、アメリカ言語聴覚士協会も「50代までは少なくとも10年に1度、それ以降は3年に1度」の聴覚検査を推奨している。特にリン博士が指摘しているように、聴覚の低下はゆっくり起こるため、症状がかなり進むまで気付きにくいので注意が必要だ。

©︎2017 The New York Times News Service

[原文:Vision and Hearing Loss Are Tied to Cognitive Decline/執筆:Jane E. Brody]

(抄訳:Tomoko.A)

MYLOHAS編集部

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