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森拓郎先生に聞く!Vol.2 正しいスタートポジションとは?

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森拓郎先生に聞く!Vol.2 正しいスタートポジションとは?

モデルやタレント、アスリートから絶大な信頼を得ているボディワーカー、森拓郎さん。連載「ボディ・コンシェルジュ」前編では「美しい筋肉は最高のアクセサリー」と考えるスタイリスト・清水久美子さんとの食トークが盛り上がりましたが、それに引き続く今回は実践編に。森さんの考える「正しい鍛え方」をお届けします。

「女性らしいしぐさ」という勘違いで、歪んだ動きに

清水さん(以下清水:): ボディワーカーとしての森さんのスタンスを拝見していると、ある種、放置プレイなんですよね(笑)

森さん(以下森:): 僕はモチベーションもいらないと思っていますから。「頑張るぞ!」はめったに続かないんですよ。それよりも、ルーティンにしてゆるく続けることのほうが大切

清水: そんな森さんが、実際にスタジオでどんな指導をされているのか、興味津々です。書籍はたくさん出されていますが、実は実際のエクササイズ法についてはほとんど書いていらっしゃらないですよね?

森: はい。というのは、エクササイズの受け止め方は人によって違うから。同じ動きでもできる人とできない人がいて、「やってみたけれど、正しいかどうかわからない」というケースが珍しくないんですよ。ですから、具体的な運動法は書籍にあまり書いていないんですよ。マンツーマンでしか伝えられないことがあるし、それを伝えるのが僕の役割だと思っていますから。

清水: 指導の言葉ひとつで効率や効果は変わりますよね。私たちスタイリストの仕事でいえば、「この服が良かった!」というとそれを買えばいいのだと思われがちなんですが、どう着こなすのかによって見え方はまったく違う。「万人に効くエクササイズ」も「誰もがおしゃれに見える服」もありませんよね。

森: そうなんですよね。ただ、文化によって似たような歪みの傾向が出ることはあります。たとえば「立った状態から膝を曲げてください」と言った場合に、まっすぐ曲げられる日本人女性は皆無なんですよ。

清水: 欧米人ならできるということですか?

森: 欧米人だけでなく、中国人や韓国人などに比べて、日本人女性は内股方向に力を入れる人が多いと思いますよ。走る動作を見ていても、日本人女性は内股走りをする人が多いように思います。

清水: 「女性らしいしぐさ」という刷り込みなのかしら?

森: 原宿を歩いているような子たちも、びっくりするくらい内股ですよ。僕は変形性膝関節症の治療を勉強したことがあるんですが、今の仕事で若い子のO脚や膝下のねじれを改善するのに役立っています。

清水: "カワイイ文化"の落とし穴ですね。

森: きれいで正しいスクワットは、可愛くないしゃがみ方ですしね。

勘違いエクササイズに多い、スタートポジションのミス

清水: そう言われると、正しいエクササイズってどんなの? と気になってしまうのですが......。実際にどんな指導をされているのか、見せていただけませんか?

森: たとえば腕立て伏せ。多くの女性は胸に負荷をかけられていないんです。そういった場合には膝をつき、高めの台に手を置く腕立てを指導しますね。肩が上がらないようにしながら、お腹もお尻も意識して行うんです。(写真下のように)

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清水:全然違いますね! これはヘタな体幹トレーニングよりキツいし、確実に明日筋肉痛になりそう(笑)。

vol4_2_03_A1A9716.jpg清水: イベント時、ちょっと背伸びしたおしゃれをしたいときにおすすめのエクササイズはありますか?

森: もしご自宅にチューブがあれば、背中の筋肉を鍛えてテンションをつけるのがいいでしょうね

清水: 女性はついお腹のぽっこりを気にしがちですが、背中ですか!

森: はい。猫背を気にしている方は多いと思うのですが、前のめりになって肩や腕、頭といった重いものをが落ちないように支えているのが背中なんです。猫背になるほど腕と頭の重みのテコが強くなってくると、負担も大きくなるので、そうなってくるとどんどん疲労が溜まるんです。

清水: 背中や首が凝ると、ついマッサージや整体に駆け込むという人も少なくありませんが......。

森: それはむしろ逆効果の場合もありますね。確かに疲労が溜まった部分は硬く凝っていますし、その血行がよくなると楽にはなるのですが、背中に力が入らない状態が根本原因なわけですから、ほぐして緩めすぎると、余計力が入らなくなってしまう。最悪次の日には元に戻るか、悪化しますね。

清水: なんと! 肩や背中のコリはほぐさないほうがいいんですか?

森:ゆるめるのであれば、頭や腕を前に引っ張っている胸の筋肉などの前側も緩めてあげないとバランスがとれません。ほぐしたいのなら、肩や背中だけでなく全身の状態を見なければ。

清水: いたずらにほぐすのであれば、背中の筋肉を使うエクササイズのほうが有効なんですね。

森:チューブで引っ張ることで肩が正しいポジションに行けば、前に落ちていた頭も後ろにいくことができますし、結果疲労がたまりにくくなるんですよ

清水: ただ、チューブってなかなか難しい。

森: そうですよね、ひとつ大切なコツがありまして。

清水: 何ですか、大切なコツって?

森:トレーニングでまず覚えなければならないのは、「トレーニングにおいてのスタートポジションは、ターゲットの筋肉がストレッチされた状態」ということ。たとえばスクワットをする場合。みなさん立った状態からスタートだと思いがちですが、しゃがんだポジションがスタートなんですよ。

清水: それは目からウロコ! 出だしが間違ってるんですね。どこから始めても同じ動きなのかと思っていたのですが......

森:動き自体に変わりはありませんが、スタートポジションがどこなのか、どういう状態なのかを認識して、鍛えたい筋肉がしっかりリストレッチされているかを確認しながら行うことが大事ですね

「どの神経を使うか」の意識で、負荷のかかる場所も強さも激変

清水: たとえばチューブを引く動作でいえば...?

森: やってみましょうか。まずは普段なさっている方法をみせてください。

清水: 普通だったら...こんな感じですよね?(写真下)

vol4_2_05_A1A9732.jpg森: ......うーん、30点かな(笑)

清水: 低い! そんなに違いますか?(苦笑)

森: いえ、教わったことがなければ間違って当然ですし、関節や筋肉のことがわかっていなければ完璧に動くことなんて難しいことなんですよ。

清水: どこが違うのか、教えていただけますか?

森:まず「引く」という動作をするときに、手に通っている神経は大きく3つに分かれるんです。親指と人差し指で持って引くと、肩に力が入りますよね?(写真下)

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清水: (やってみて)......確かに、肩に力が入る感覚があります。

森: 次に、小指側でもって引くと、脇に力が入るのがわかるでしょう?

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清水: 本当だ! やってるつもりだったけれど、できていなかったんですね。

森: はい。まずはチューブを薬指と小指で持つこと。脳から筋肉へ送る信号を通りやすくすることも大事なんです。そして、膝を軽く曲げるのもポイントです

清水: 膝! 背中の運動なのに、膝がポイントになるのはなぜ?

森: 腰が丸くなっていると背中をスッと反らせることができません。背中の筋肉を最大に縮めるためには、背中を外らせる必要がありますから、膝を曲げて骨盤を立てることで、背中が動きやすくなり、しっかり背中へ聞かせやすくなります

清水: へえ! それは盲点でした。

森:膝を曲げた状態で、最初は背中を丸めます。そこから胸を反らせ、肩を下げながら肘を後ろへ引く。これが正しいやり方です

清水: 「腕で引く」ではないんですね。(やってみて)これ、キツいですね! これまで自分でやっていたチューブのエクササイズとぜんぜん違います。

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森: 使う筋肉も、かかる負荷もまったく違いますよね。

清水: わかった......! これ、確かに効きます。毎日やっていたら背中がキレイになりそう。「引く」という動作、こんなに奥深いんですね

ねじれのないボディなら、9センチヒールも怖くない!

森:意識するのは腕ではなく背中と肘なんです。「肩甲骨を寄せる」という指導もありますが、それを言うと肩が上がってしまう人が多いので、あえて言いません。肩を下げながら肘を引き、胸を上に向けるように背中を反らせるのが正解です。似たような動作でも、指示の出し方でまったく効果が変わってきますよね。せっかくエクササイズをするなら、正しいポジションでやってほしいなと思います

清水: ミニマムな動きなのに、効果はマキシマムですよね。

森: 今回は背中と胸をしっかり使いましたが、体の使い方にはクセがありますから、最初はなかなかできないんですよ。繰り返すことで、だんだん正しく使えるようになるんです。

清水: 巷に流布する「痩せるためのエクササイズ」とは、やり方もゴールもまるで違うわけですよね。

森: はい。「痩せたい」とうちのスタジオにいらっしゃると困ってしまうんですよ。体重や体脂肪は極論すればどうでもよくて、僕は「正しく動けること」が楽しいし、それを伝えていきたいんです痩せるなら食事を改善するのが一番ですし、でも食事指導には興味がないので「これを見てください」という意味で本を書いたんです。

清水:長い目でみたら、食事も運動も生活習慣ですものね。

森: そして、体を動かすプラクティスは一生役に立つんですよ。

清水: 集中的にトレーニングしても、すぐ元に戻っちゃいますものね。

森: それに、エクササイズって皆さんキツいものだと思ってしまっているんですよ。でも、「楽しく動く」をベースにしたいし、正しく動ければ1つの動きは5回程度でもいいんです。間違った動きを10回、20回と繰り返すよりもはるかにラクで効率的。

清水: 先生からご覧になると、ハイヒールはあまり履かないほうがいいですか?

森: ハイヒールのほうが不安定なので、外反母趾といった問題は生じやすいですよね。ただ、男性でも外反母趾はいるんですよ。

清水: そうなんですか? ヒールの問題じゃないんだ!

森: はい。ヒールはいわば"乗り物"なので、正しく乗れていればまったく問題ないんです

清水: そう言っていただけると希望が持てます。

森: ただ、うまく乗れている人はすごく少ないですね。実は、僕はお試し用の9センチヒールを持っているんです(笑)

清水: 自ら履いて体感しているんですね。すごい!

森:ハイヒールでも、正しく乗れば片脚スクワットできます

清水: なんと! 9センチヒールでスクワットできるとは知りませんでした(笑)。

森: ただ、乗り方は難しいですよ。膝がねじれていると正しく乗れないのですが、ねじれがあるとマイナスが増幅されてしまいます

清水: その意味では、まず「ねじれがゼロの状態とは何か」を知る必要がありますね

森: そうなんです。ハイヒールだけでなく、僕からすればランニングも恐ろしいですね。清水: 歪んだ状態でランニングすると、どんどん負荷がかかる......?

森: その通りです。ランニングでかかる負荷は体重の3倍と言われているのに、歪んだままで走ったら悪化しますよね。

清水: 逆に、森さんに正しく指導していただくと「筋肉が正しく動いている」という実感がすごくあります

森: 関節はそういった方向に動きたがっているんですよ。ただ、周りの筋肉が別の方向の動きを学習させられてしまっている。

清水: 正しい動きを教えられると、体が「そうなの、僕は本来こう動くんだよね」と喜んでいる感じがあります。

森: 短期間で痩せるというのとは一線を画しますが、普段の体の使い方が変わってくるはずですよ。

清水: そんな体の使い方をマスターできたら、一生ものの財産ですね!

森拓郎先生に聞く!Vol.1 効率的な美しい筋肉のつけ方>>

取材写真/高村瑞穂 ヘアメイク/千葉智子(ロッセット)

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vol4_morisan.jpg森拓郎(もりたくろう)さんボディワーカー。スタジオ『rinato』主宰。アスリートや女優、モデルからの指名も多く、美しいボディを育てるメソッドは随一。『オトナ女子のための食べ方図鑑』(ワニブックス)など著書多数。『rinato』

vol4_shimizusan.jpg清水久美子(しみずくみこ)さんスタイリスト、ファッションディレクター。ラグジュアリー雑誌や広告で活躍中。クリエイティブディレクターとして商品企画やファッションにまつわる講演なども多数手がける。エレガントな王道のおしゃれにモダンさを加えたみずみずしいスタイリングには多くのファンが。年齢を重ねても美しく、さらに格好よく過ごすための着こなしを提案し続けているファッション界のパイオニア。

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