まだ11月なのに季節はすっかり冬の様相。厚手のコートやモヘアニットといったファッションを見かけるたびに、あたらしい季節の始まりを実感します。私も、一年ぶりに袖を通すカシミアニットの肌触りを楽しんでいるところです。

その一方で、電車に乗るとマスク姿の人や咳き込んでいる人もたくさん見かけます。いそがしい時期、風邪なんてひいている場合じゃない、なんてときに限って、こじらせてしまうのが風邪。だからこそ、日ごろからうがいをするなど、ケアをしている人も多いでしょう。そんな毎日のケアを食卓から、菌の力を借りて取り入れることができます

腸は免疫の7割をつかさどっている

風邪予防のキーワードとおいえば免疫力。そこで最近注目されているのが腸です。身体全体の免疫細胞の6~7割が腸にあることから、免疫の7割をつかさどる、とも。

内なる外と言われる腸。身体の内側だと思いがちですが、実は外側ともいえる臓器でもあります。たとえばちくわ。筒の中を腸とするなら、ちくわの魚肉の部分が本当の意味での内側と考えることができます。それだけに、食べ物とともに入って来るさまざまな病原菌やウイルスに、つねにさらされている場所でもあります。

しかし身体も、手をこまねいて見ているわけではありません。そのひとつが、パイエル板という組織です。小腸の内側は絨毛でおおわれている、と生物の授業で習った人も多いと思いますが、そのところどころに丘状の、絨毛のない場所があります。ここがパイエル板と呼ばれるところ。多くの免疫細胞が集まっています。そして腸内に入って来る有害な病原菌やウイルスをとらえ、さまざまな免疫細胞に「こんな敵が来ている 」といわんばかりに菌の情報を知らせていくのです。情報を受けた細胞は全身をめぐり、菌に立ち向かう体勢を整えていきます。この、腸の免疫システムをスムーズに行うのに、腸内環境のよしあしがかかわってくることは、言うまでもありません。

発酵食品の菌の力を借りて腸内環境をアップ

腸内環境をよくするためには食事からのアプローチが有効です。たとえば発酵食品。みそやしょうゆ、ヨーグルト、納豆といった食べ物を取り入れてみましょう。

最近、はまっているのが納豆オムレツ。卵2つと納豆1パックをボウルに入れて混ぜ、オムレツの要領で焼くだけ。もし冷蔵庫にチーズがあればぜひご一緒に。納豆には腸内の善玉菌として活躍する納豆菌がたっぷり含まれます。しかも、納豆菌は腸での寿命が長く、小腸から大腸全体にまでパワーを発揮してくれるのも見逃せません。納豆とチーズの2つの発酵食品がとれるのもうれしいところ。さらに卵、大豆、チーズと3つのタンパク源を同時にとることができます。タンパク質は免疫細胞の材料。何より3つの食材の、とろりとした食感がたまりません。

このほか、食物繊維をとるのも有効。味噌汁にひとつまみの糸寒天をもプラスする、乾物を常備菜に取り入れる、などちょっとした工夫でチャージできそう。うがい、手洗いはもちろん、食事からも工夫することで、風邪に負けない毎日を過ごすことができそうです。

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