みなさん、こんにちは。いよいよ感謝の禅語、最終回になりました。縁起、心、食事に感謝の気持ちを向けられましたでしょうか。最終回には、この言葉をお伝えしたいと思います。
04.看脚下(かんきゃっか)
禅語のなかでも、とくに有名な言葉に「看脚下」というものがあります。足元を見る、という意味です。皆さんは、禅寺に行かれたことはありますか?玄関には、このような木札が置かれています。「照顧脚下」(しょうこきゃっか)足下を見よ、という意味ですが、履物を揃えましょう、という意味で置いてあります。この言葉には、お寺までの道のりを無事にこられたことを顧みましょう、という意味も込められています。「看脚下」も同じような意味がありますが、このような逸話があります。
五祖法演禅師と弟子たちが寺に戻るために夜の山道を歩いていました。禅師は手元の灯りを消して、弟子たちに尋ねます。「どうすれば良いか、見解を述べよ」すると一人の弟子、園悟克勤が「看脚下(足元を見よ)」と答えました。足元をしっかりみていれば不安はない、と答えた園悟克勤に法演禅師は感心します。
さて、みなさんはこのお話の中に、感謝のポイントを見つけられたでしょうか?足元を見ることは、今、自分が立っている場所をしっかりと見ることです。これまで、どのような人生を歩んで来たか。さまざまなご縁と、大いなる心、有難い食事があって今日があります。明かりが消されたら一歩先は闇。前にも後ろにも行けないかもしれません。まさに、お先真っ暗です。肩書きがなくなる、健康がなくなる、大切な人を失う。人生にはさまざまな「苦」も訪れます。それでも足元をしっかり見ておけば、歩いていけます。そして、これまで自分が歩いて来た道のりを振り返ってみれば、そこには必ず感謝が溢れているはずです。毎日のなかで、当たり前のことにどれだけ気づけるか。今「ある」ものは有難く整えられたご縁によって「ある」のです。今、目の前にあるものに感謝を向けましょう。なくなって気づくのではなく、なくなる前に気づくこと。その気づきが、これからの道へとつながっていきます。「看脚下」の心で足元をしっかり見ながら、これからの人生を歩いていきましょう。
向井真人 (むかい・まひと)さん臨済宗妙心寺派 長光山陽岳寺 副住職 1985年東京生まれ。2010年、禅寺である円覚寺専門道場から、深川の陽岳寺に移る。同年副住職に。門前仲町にあるお寺で坐禅会やヨガ、お茶の会などを定期的に開催。お寺ボードゲーム「御朱印あつめ」「WAになって語ろう」なども企画製作している。 「臨済宗妙心寺派 長光山陽岳寺」住所:東京都江東区深川2-16-27 TEL:03-3641-1580 アクセス:地下鉄メトロ東西線・都営大江戸線「門前仲町駅」より徒歩3分 ※ゲームの会やお茶会などのイベント情報は、ようがくじ「不二の会(ぷにの会)」
禅僧が禅語で語る、感謝とは? Vol.1 「縁起」--禅語とは何でしょう? Vol.2 「大いなる哉心や」--心はどこにあると思いますか? Vol.3 「食事五観文」--食に向き合うこととは?
image/shutterstock
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