家の中で、クモやクモの巣と遭遇すること、ありませんか? 片付けてしまう前にちょっと待ってみて。そのクモは、イエユウレイグモ(ユウレイグモ科に属するクモ)かもしれません。

長い足が特徴的なユウレイグモは、同じく長い足をしたザトウムシと一緒に、英語では「daddy long-legs(あしながおじさん)」とよばれています。生物学的にはクモとは遠い関係にあるザトウムシと違い、ユウレイグモはまさしくクモの一種で、糸で巣をつくる習性があり、体は二つの部位にわかれ、毒腺ももっています(とはいえ、ユウレイグモの毒は人間にとってほとんど害はありません)。長い足と比較的大きな体のせいで、巣の外では気の毒なくらい不恰好にみえますが、糸でぶらさがっているときには、狡猾な殺し屋なのです。

ユウレイグモがくらしているのは、地下や長いこと動かしていないタンスの裏といった、暗く湿気があって誰にもジャマされない場所。見るからに不気味でぞっとする姿で、うっとうしい巣をつくるユウレイグモですが、じつはかなり有益な虫なのです。

ユウレイグモは、アリやゴキブリ、さらにほかのクモも駆除してくれます。
そのままほうっておけば、ユウレイグモは絹のような糸をはきながら、かなり広い空間に巣をどんどん広げていきます。そうやって行き当たりばったりでつくった巣に獲物がかかるのを待ち伏せるのです。不恰好な見た目とは裏腹に、機敏に動いて、餌食となったアリやゴキブリなどの虫を糸でくるんでしまいます。

実際、ユウレイグモは巣の中では器用に動くので、よそのクモの巣を襲って獲物を盗んだり、時にはその巣の主を食べてしまったりもします。ユウレイグモは単にほかのクモを食べるからよいというだけでなく、ほかのクモを上回る能力も持っています。

おそらくもっともすばらしいユウレイグモの習性は、巣の平安を乱されるとぐるぐると大きく旋回しはじめること。敵を惑わすために自分の姿をぼやかすためとも、あるいは巣をほぐしてゆるんだ糸を獲物に巻きつけるためとも言われています。いずれにしても、このダンスのような動きは一見の価値あり! そうこうしている間にも、ユウレイグモはほかの虫からあなたの家を守るのに大忙しなのです。クモを発見したら、足が長いかチェックしてみては?

Scott Creary/ Why You Should Be Happy If You Have A Cellar Full Of Spiders

訳 / Maya A. Kishida