日本各地のアンテナショップが所在する、有楽町の「交通会館」。その1階入口を通るたび、香ばしいソースの香りにお腹がぐーっと音をたて、店の中へと誘われます。

あつあつのたこ焼きやいか焼き、豚まん、ミルクセーキやミックスジュースなど、大阪っ子の”いつものおやつ”を味わえるアンテナショップ「浪花のええもん うまいもん 大阪百貨店」。イートインコーナーは、いつも活気があって、大阪名物をほおばる人で溢れています。

その奥には、大阪の名品を販売するスペースが。笑いの都・大阪らしく、吉本興業関連のユニークなお菓子の周りにも、大勢の人が集まっています。それからひときわ目をひくのが、不思議な名前の「呼吸チョコ」。作りたての風味が息づき、まるでチョコレートが呼吸をしているように新鮮であることから、その名前が付けられたそう。今では色々な種類が出ているけれど、25年ほど前に最初に発売されたのはティラミス味。大阪指折りの歓楽街・北新地のスナックやホステスさんから火がついて、大阪ではお酒のおつまみの定番として知られるようになりました。

他にも、大阪に住んでいたとき、毎週購入していた大好物の醤油味米せんべい「満月ポン」や、東と西で味付けが違うカップ麺「どん兵衛」など、東京ではなかなかお目にかかれない品を求めて、大阪出身者や、食べることが好きな人たちがやってきます。

もちろん、マイロハス読者におすすめしたい、体に優しい食材を使ったものも見つかります。定期的に商品の入れ替えも行われているそうなので、訪れるたび新たな品にも出会えます。

「蜂カレー」ハチ食品

20171103_local_01.jpg「蜂カレー?!」と、思わず手に取った小さな缶。大阪暮らしをしていたことから、「浪花のええもん うまいもん 大阪百貨店」に並んでいる品は、なじみのある物がほとんどだったのですが、こちらは初めて目にしました。缶の裏の説明書きには、「日本初の国産カレー粉を調合した大和屋二代目 今村弥兵衛伝承」。明治38年、大阪で薬問屋を営んでいた大和屋(現在のハチ食品)二代目が、日本で初めて国産カレー粉を開発したと言うのです。今ではすっかり、日本の国民食となったカレーの歴史も、なんと蜂カレーから始まっていたのでした。

しかしなぜ蜂?それは、弥兵衛がカレー粉を調合していたとき、窓にとまっていた蜂が、朝日を受けて黄金に輝いていたからだと伝わります。目の前の美しい光景と、熱意と愛情を注ぐ品とを重ね合わせたのでしょう。

一時は一般家庭に普及していた蜂カレーも、昭和後期に発売休止に。その後も問い合わせが続き、リニューアル生産されるようになったのだそう。ターメリック、コリアンダー、クミン、フェンネルなど、22種類以上のスパイスを調合し、深みのある香りと味わいに。発売当初の蜂マークを用いた缶入りカレー粉は、カレーそのものはもちろん、様々な料理にアレンジ可能です。

「箕面ビール ヴァイツェン」
「箕面ビール スタウト」

20171103_local_02.jpg大阪府北西部にある箕面市。箕面山や箕面滝があり、市内の広域が紅葉の名所として知られる「明治の森箕面国定公園」に指定されています。大阪の大学に通っていた私は、今も関西に友人が多く、年に幾度か関西を訪れたとき、友人たちと小旅行に出かけています。今年の初めは、箕面にある温泉付きの大型観光ホテルに宿泊したのですが、そのとき知ったのが、箕面の地ビール「箕面ビール」。おみやげに、瓶ビールをリュックサックに詰めて、東京まで持ち帰り、自家製たこ焼きとともに味わいました。キレがあって喉越しがよく、後味がすっきりとしているので、ソース味の粉物と好相性。また箕面に行くことがあったら買って帰りたいと思っていたので、「浪花のえぇもん うまいもん 大阪百貨店」で見つけたときには、これからも気軽に求められることに舞い上がってしまいました。

生きたビール酵母を使い、ろ過・熱処理をおこなわず作られている箕面ビール。そのときどき手に入る原材料に合わせてレシピを変えているというのも、クラフトならでは。ビールが作られたあとの麦芽粕は、地元の農家に引き取られ、牛や鶏の飼料に。それを食べた鶏の卵も直営店で購入できます。

今回選んだ2種類は、年間通して製造される定番の品。赤いラベルの「スタウト」は、ビールのコンクールでたびたび金賞を得ている黒ビール。コーヒーやほろ苦いチョコレートを彷彿とさせるフレーバーで、ほのかな甘さも味の特徴。ピンクのラベルの「ヴァイツェン」は、バナナのようなフルーティーな香り。小麦麦芽を使った南ドイツスタイルのビールで、普段はあまりビールを飲まない女性でも、グビグビっとすすみます。 

「ひやしあめ」カタシモ

20171103_local_03.jpg20171103_local_03a.jpg大阪ではあたりまえの「ひやしあめ」も、他の地域ではほとんどなじみがありません。私も大学進学のため静岡から大阪に移り住んだとき、駅の売店やスーパーで見かける「ひやしあめ」という名の未知の飲み物を、「?」と不思議に感じていました。その正体は、湯で溶いた麦芽水飴に、生姜汁を加えたもの。キンと冷えたひやしあめの水割は、大阪の夏の風物詩です。

ひやしあめを今風に言うなら、ジンジャーシロップ。瓶に入った、カタシモの「ひやしあめ」は、大阪ならばほぼどのスーパーにも並んでいます。私も大阪のスーパーで購入して東京に持ち帰り、夏は炭酸、冬はお湯で割って、お風呂上がりにゴクゴクと。実家へのおみやげにして以来、家族それぞれ、好きな飲み方で味わっています。(お酒で割ってもおいしいのです)

この「ひやしあめ」を作る、カタシモ。これもまた大阪ではおなじみの、「柏原ワイン」や「河内ワイン」で知られる、ワイナリーなのです。半世紀ほど前、ひやしあめが好物だった社長が、自分のために作ったのが始まり。それが次第に評判になり、ついには商品化されたそう。これからの季節、お湯割りの「ひやしあめ」に、ぽかぽか体を温めてもらいましょう。

浪花のえぇもん うまいもん 大阪百貨店
住所:東京都千代田区有楽町2-10-1 交通会館1F
電話:03-5220-1333
営業:10:00~22:00(日祝10:00~20:00)

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