10月9日、神奈川県小田原市に「江之浦測候所」がオープン。ギャラリー棟、茶室など見応えある建築物が、相模湾を望む9496平方メートルの広大な敷地に配置。興味深いのは冬至や夏至という、天空との繋がりを感じる設計になっていること。訪れると、現代生活で見失った古代人感覚がよみがえってくるような、そんなスポットです。

天空のうちにある自身の場を確認する

「江之浦測候所」を手掛けたのは、写真や建築など幅広い分野で活躍する杉本博司さん。測候所という名称には、自分と宇宙の距離を測る、月と太陽を測候するという意味が込められているのだとか。

「もう一度人類意識の発生現場に立ち戻って、意識のよってたつ由来を反芻してみたい」という思いのもと、構想から竣工まで20年以上の歳月がかけられました。

「古代人が意識を持ってまずした事は、天空のうちにある自身の場を確認する作業。新たなる命が再生される冬至、重要な折り返し点の夏至、通過点である春分と秋分。天空を測候することにもう一度立ち戻ってみる」という、杉本さんのこだわりと美意識が凝縮した施設になっています。

頭ではなく、身体で感じる場所

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冬至光遥拝隧道 ©小田原文化財団/ Odawara Art Foundation

「冬至光揺拝隧道」は、冬至の朝、相模湾から昇る陽光が70mのトンネルを貫き、対面して置かれた石を照らし出します。相模湾の光を見ながら暗いトンネルを歩くと、とても不思議な感覚を味わうことができます

隧道と平行に、冬至の軸線に沿って光学硝子を敷き詰めた「光学硝子舞台」が設置。冬至の朝には、硝子の小口に陽光が差し込み輝くのだとか。客席からは、硝子の舞台が海面に浮いているようにも見える、なんとも神秘的な配置です。

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夏至光遥拝100メートルギャラリー ©小田原文化財団/ Odawara Art Foundation

海抜100m地点にある「夏至光揺拝100メートルギャラリー」も野心的です。100mの壁は大谷石に覆われ、対面は柱の支えがない37枚の硝子窓という構造。ギャラリー先端部は海を望む展望スペースとなり、夏至の朝、海から昇る太陽光を浴びることができます

他にも、石橋の軸線を春分秋分の朝日が相模湾から昇る軸線に合わせて設定した「石舞台」など、太陽の動きを意識した配置が随所に見られます

話題になること間違いなし

近代以前の人口密度を体感してもらうため、1人の専有面積が230坪になるよう入場人数を制限。自分のペースでゆったり鑑賞しながら、自分の内側と対話し、存在を見つめる時間がもてます。

「完成しないうちから、舞台で演じてみたいというアーティストがいる」というように、これから様々なプログラムが開催予定。国内外への文化芸術の発信地として注目を集めそうです。

小田原文化財団 江之浦測候所

所在地:神奈川県小田原市江之浦362番地1
TEL:0465-42-9170(代表)
開館日:木曜日〜火曜日 週6日
休館日:水曜日、年末年始(2017年12月27日~2018年1月5日)および臨時休館日
見学時間:4月〜10月 1日3回/10時・13時・16時(約2時間・定員制)11月〜3月 1日2回/10時・13時(約2時間・定員制)
入館料:一律3,240円(税込)完全予約制(中学生未満は来館不可)