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食はプラントベース、どんどんカジュアルになる。香港のウェルネス事情

カラダを鍛えよう

福田カレン

食はプラントベース、どんどんカジュアルになる。香港のウェルネス事情

香港で人気を集める健康的な生活を送りたい人々をサポートするウェブメディア『Green Queen』。つねに変わり続ける香港のベジタリアンレストランやジュースバー、オーガニックストア情報をはじめ、環境への負荷の少ないビューティープロダクト、エコロジカルなライフスタイルを実践するためのホームプロダクトまで包括的にカバーした圧倒的な情報量が特長です。

20170921_hongkong_1.jpgそんなGreen Queenの創始者で、世界のウエルネスマーケットにも詳しいSonalie Fiqueriasさんに、香港をはじめ世界が何故健康的なライフスタイルに注目しているのか、さらに香港っ子のウェルネストレンドについて伺いました。

今、熱いのは「プラントベース」と「アスレジャー」

20170921_hongkong_4.jpgsergio capuzzimati / Shutterstock.com

――世界を股にかけて働く中、リアルに肌で感じる世界のオーガニック・ウェルネスマーケットは、どう変わってきましたか?

ウエルネス、ナチュラル、ヘルシーといったキーワードはご存じ通り、全世界の注目を集めています。オーガニック食品を日常に取り入れるなど、よりヘルシーなライフスタイルを求める消費者がどんどん増えているため、企業はそうしたニーズに応えようと様々な商品やサービスを開発しています。

最新のトピックは「プラントベース(の食)」と「アスレジャー」の2つ。プラントベースとは、ベジタリアンやヴィーガンとまではいかなくても、プラント、つまり植物を食生活の基本にしようという考え方です。

アスレジャーは「アスレチック」と「レジャー」を組み合わせた造語で、ヨガやエクササイズをする時のようなスポーツウエアを普段の生活にとり入れたファッションのこと。ヨガウエアブランド「ルルレモン」が火付け役といわれ、一時は「ヨガクラスの全員が同じロゴのついたヨガパンツを履いている」という状況が、あちこちのヨガスクールで見られたほどです。――これほどたくさんの人が健康的なライフスタイルに興味を持つのはなぜだとお考えですか?興味を持つきっかけは人それぞれ。ただ、Green Queenのサイト運営を通じて収集した膨大なデータを解析したところ、健康志向の人々は5つのカテゴリーに分けられることがわかりました。

1.Organic mum(オーガニックママ)赤ちゃんを産んだことをきっかけに、生活用品や食品の安全性にこだわるようになったお母さんたち。

2.Eco worrior(エコ戦士)「地球環境を守りたい、そのためなら多少の不便はいとわない」というタイプです。

3.Luluemon lady(ルルレモン女子)ヨガウエアのルルレモンをふだんから愛用するような、ファッショナブルにヘルシーなライフスタイルを楽しみたい女性たち。

4.Office lady(意識の高いOLさん)大企業の一般職など安定した職業を持つ女性で、香港でいえば伝統的な中医学にも見識があり、もともとの健康意識が高い層です。最近のウエルネスブームにのり、中医学以外の健康法にも興味を持つようになり、新しいものも試しているのはこのカテゴリーの女性たち。

5.Gym-goer(フィットネスクラブの常連さん)フィットネスが趣味で、ふだんからジムに通い、体脂肪率を気にするようなタイプ。

このような人々は総じて健康意識が高く、ふだんからできるだけナチュラルなライフスタイルを送りたいと考え、食生活にはフルーツや野菜をふんだんに取り入れています。

香港にもたくさんあるコールドプレスジュースストアの顧客も、これらのいずれかのカテゴリーに属していると考えられます。

Green Queenでは『Plant-forward(プラントフォーワード)』(食事する際はまず植物性の選択肢から考慮する)を運営方針の一つに掲げていますが、こうした考え方は健康志向の人々の気分にぴったり合致しています。

――プラントフォーワードなら誰にでも取り組めそうですし、ベジタリアンやヴィーガンのストイックさも感じません。ステキな考え方ですね。

私自身、食べるものに関して「あれもだめ、これもだめ」なんて言われたくない。母はインド人、父はフランス人、香港で育ちアメリカの大学で学んだ私にとって、世の中には様々な文化的背景を持つ人がいることや、それぞれ考え方も異なるのは当たり前のこと。私は、そうした人々を全て受け入れたいと思っています。あなたの考え方は私とは違う、だからあなたとは友達になれない、なんていう風には思いたくないんです。だから、Green Queenから発信するメッセージも、どんな人も受け入れるオープンさを保つよう常に心がけています。サイトのデータ分析から読み取れるのは、読者はポジティブなメッセージを求めているということなのですから。

ハイファッションからカジュアルへ、若い世代もクリーンプロダクトに注目!

20170921_hongkong_2.jpgchingyunsong / Shutterstock.com

――すばらしいですね。食以外にはどんなトレンドが目につきますか?ファッションの傾向が、どんどんカジュアルになっています。以前、香港の一等地にあるお店といえばコーチやルイヴィトンでしたが、現在ではナイキやアディダスに取って変わられています。ナイキやアディダスに限らず、スポーツ系ファッションの売上は毎年拡大しているのに比べ、既存の高級ブランドの売り上げはどんどん下がっています。

また、食品ラベルをしっかりチェックしてから購入することが当たり前になった人々は、次に化粧品やボディケア、ホームプロダクトも同じようにチェックするようになります。特に、若い世代はナチュラルでクリーンなビューティープロダクトが大好き。動物テストをしていない、プラスチック以外の容器を使用しているなど、環境に負荷をかけないプロダクトが注目されていますね。

プラスチックといえば、『zero waste(ゴミゼロ)』もトレンドの一つです。カフェは使い捨てのカップやストローを使うのをやめ、繰り返し使えるものに変えるなど、ゴミを極力減らす努力をしています。

――これまで香港のウエルネスマーケットをリードしてきたのは海外資系企業の駐在員やその家族たちではないかと思うのですが、香港っ子たちの意識にも変化を感じますか。確かにこれまでは外国人がウエルネスプロダクトの主な消費者でした。しかし、香港っ子たちの意識も確実に変化しています。以前は高級モールにしかなかったオーガニックストアが、住宅街に近いエリアに出店していることからもそうした変化が読み取れます。

食に関していうと、中国からの輸入製品も多い香港では、食品の品質に不安を感じる人も多く、オーガニック製品の消費増につながっています。また香港のように活気にあふれ、忙しい街に住んでいるとストレスも大きいですから、自然と癒しへのニーズが生まれます。香港でもヨガがブームになっていますし、マインドフルネスを福利厚生の一部に取り入れる企業も出てきていることからも、精神的な側面を重視する意識が高まっているのを実感しますね。

週末を利用して離島を訪れ、パソコンも携帯も見ずにのんびり過ごしたり、ヨガやデトックスをするウエルネストラベルやリトリートも新たなブームとなっています。

――日本と同じですね。最後に日本のウエルネスマーケットの動向についてお考えがあればぜひお聞かせください。

今年の始めに、初めて京都を訪れました。食べものはおいしいし、落ち着いた街の雰囲気も最高でした。日本はとても成熟したすばらしい文化を持っていて、人々の意識もとても高いですよね。それなのに、オーガニックマーケットはそれほど大きくないのはなぜなのか、これまで不思議に思っていたのですが、今回の旅行でその理由がわかった気がします。

日本人は全てに対して高いスタンダードを持っているため、わざわざオーガニック製品を買う必要性を感じないのではないのでしょうか。ごく普通の商品とオーガニック製品と比較しても、それほど品質が劣っていないのかもしれません。

とはいえ、日本のマーケットにも確実に変化が訪れています。今年もしくは来年には、日本市場にも大きな変化があると予想しています。そうなれば、私がGreen Queenとは別に手掛けているホールセールビジネスでも、もっとたくさんの日本企業と取り引きできるようになるのでは、と期待しています。

===

12月には、香港初のグリーンプロダクトの見本市「Green product expo」が開催されるそう。そしてなんと、その主宰者が「Green Queen」なのだそうです。ヨガウエアからグルテンフリーのパンやスイーツ、エコロジカルなホームケアプロダクトまで、ウエルネス関連の商品やサービスが一堂に会する場になるとのこと。私もそれに合わせ、また香港を訪れたくなりました。とてもフレンドリーでいろいろな情報をシェアしてくれたSonalieさん、ありがとうございました。取材協力:Thekha(茶家) [Green Queen]

(写真(Sonalieさん)・取材・文:福田カレン)

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