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日本初。マインドフルネスの国際的なイベントが鎌倉 建長寺で開催 【前編】世界と豊かに「つながる」には?

楽しい瞑想

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日本初。マインドフルネスの国際的なイベントが鎌倉 建長寺で開催 【前編】世界と豊かに「つながる」には?

こんにちは、インド好きの翻訳者&エディターの松本恭です。今回は、日本ではじめて開催されたマインドフルネスの国際的なイベント「Zen2.0」について2回にわたりご紹介します。

「禅」の本場で「マインドフルネス」に出会う

去る9月2日と3日、禅の中心地である鎌倉の名刹建長寺で、Zen2.0というマインドフルネスの国際フォーラムが開催されました。これは、Zen2.0の発起人である三木康司さんがアメリカのWisdom 2.0という国際会議に参加したとき、日本でもこのような集まりを持ちたいと考えたことがきっかけだそうです。

Wisdom 2.0のテーマは、最先端のテクノロジーとマインドフルネスや瞑想など伝統の智慧との融合です。新しい時代をどのように豊かに、人間らしく生きるべきか、IT企業のトップから政治家、スピリチュアルリーダーなどが集まり意見を交換します。GoogleやFacebookをはじめとしたIT企業でマインドフルネスが実践されていることに象徴されるように、テクノロジーの進化とバランスするかのように、欧米ではヨガや瞑想は心身の健康に不可欠な要素としてライフスタイルに組み込まれつつあります。そして日本でも、瞑想に関心を持ったり、体験する人が急激に増えていると感じます。

この流れを受けて、今回鎌倉で行われたZen2.0でも、禅の老師からアカデミック、アーティスト、ジャーナリストなど、多岐にわたる専門家がプレゼンテーションを行いました。ここでは私が参加した2日目の内容からかいつまんでレポートします。

興味深いのは、このフォーラムは、ただ受け身で発表を聞くだけのものではなく、さまざまな形で聴衆も参加することができたという点です。もちろん坐禅やヨガのセッションもありましたが、さらに講演においても、プレゼンテーションに組み込まれたワークによって、インタラクティブかつライブな場が生成されていくのを体感しました。

そして今回のフォーラムの基調にあるキーワードは「つながり」だと感じました。まさに「禅」の本場で「マインドフルネス」が化学反応を起こし、そこからさまざまなつながりが広がっていく場に立ち会っているのだと感じることができたエキサイティングな体験でした。2日間にわたる濃密なイベントのほんの一端ではありますが、その熱気を感じていただければと思います。

心の傷(ダークネス)に光を当てれば癒やしがはじまるスティーブン・マーフィー・重松先生 「マインドフルネスからハートフルネスへ」

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Zen2.0(撮影:松波佐知子)

スタンフォード大学 マインドフルネス教室』(講談社)ほか多くの著作のある重松先生は、日本生まれ、アメリカ育ちの教育心理学者であり、現在はスタンフォード大学でマインドフルネスを教えています。今回のセッションは、重松先生が実際に大学のマインドフルネスのクラスを始めるのと同じスタイルではじまりました。シンプルな呼吸を観察するセッションですが、授業の前にこの実践を取り入れると空気が完全に変化するそうです。

実際に全員でやってみたところ、わずか数分で会場の雰囲気がリラックスした集中状態に変化しました。「リラックスした集中状態」というのは、瞑想(マインドフルネス)状態とほぼ同義と言っていいと思います。

Let's do it!

・目を閉じて背筋を伸ばす・両手を膝の上に置く・息をゆっくり吐いて観察する・息をゆっくり吸って観察する

さらに、ある意味ではマインドフルネスの本質を突いていると感じた興味深いワークも行いました。これは、よく知らない人とペアになり、「Who are you? 」と互いに質問を重ねるワークです。

ワークショップなどに参加すると、周囲の人と自己紹介しあうことはよくありますが、このワークの場合は、会話するのではなく、ただ「Who are you? 」と質問を重ねるだけなのです(「あなたはどなたですか?」と日本語で尋ねるより、英語の「Who are you? 」のほうがリズミカルで、テンポよくワークをすすめることができました)。

Let's do it!

初対面もしくは、あまりよく話したことのない相手とペアを組む

Aさん:「Who are you? 」と問いかけるBさん:考え込まず直感的に答えるAさん:その答えに耳を傾けるBさん:すぐに「Who are you? 」と問いかけるAさん:考え込まず直感的に答えるBさん:その答えに耳を傾ける (テンポよく上記を繰り返す)

このワークのポイントは、「あらかじめ答えを用意しない」ということで、思いついた内容を直感的に答えるうちに、お互いの本質が浮かび上がってくるのです。通常、自己紹介を行うときは、職業や所属など、フォーマルな(社会的な)情報を交換します。フォーマルな情報をきっかけとして互いの共通項が発見できたり、さらに友人を紹介し合うということはよくあると思います。

ところがこのワークでは、「会話してはいけない」「すぐに返事しなければならない」ことにより、提供する情報がインフォーマルなものになりがちです。たとえば私は、「梅干しを漬けるのが好きです」という、初対面の人にはまず話すことのない情報を思わず語っていました。ワークのパートナーも、家族旅行の思い出といった、通常はじめて会った相手には語ることのないプライベートなエピソードを教えてくれました。

つまり、「Who are you? 」と問いかけ合うワークによって、社会人としての姿ではなく、個としての姿が浮かび上がってくるのです。これは非常に不思議な感覚で、目の前で対話している相手の本質(通常、フォーマルな形の内側に隠れている本質的な個性)にいきなり触れているような感じです。

ここで、「つながり」という重要なキーワードが浮かび上がってきます。重松先生は、プレゼンテーションのほぼ半分の時間を使ってご自身のバックグラウンドについて語りました。アメリカと日本の双方にルーツを持つことで味わったさまざまな困難、そしてそれをどのように乗り越えたのか、またなぜマインドフルネスを授業に取り入れることになったのかなど(一見恵まれているように見えるスタンフォード大学の学生たちですが、メンタルトラブルに苦しむ人も多いそうです)。

その自己開示の語り(ナラティブ)に耳を傾けるうちに、「スタンフォード大学の教授」という権威的かつ遠い存在から、しだいに柔らかな感性を持つ個人として近しく感じられるようになっていました。聴衆と話者の間に「つながり」が生まれた瞬間です。

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Zen2.0(撮影:松波佐知子)

心理学者である重松先生は、私たちは自分自身について、全体ではなく部分的にしか知っていないと説明し、未知の部分をダークネスと呼びます。そしてダークネスの存在こそ、私たちの人生においてさまざまな困難を引き起こす原因となるといいます。しかし、苦しみや心の傷は、深いレベルで癒やされることで宝へと変化するとも語ります。重松先生は、これを日本の伝統工芸である「金継ぎ」という美しいイメージを用いて説明しました。

いったん壊れてしまった器も、「金継ぎ」を施すことで美しい作品として再び生まれ変わり、本来よりもさらに価値を持つように、傷ついた心にマインドフルな意識という光を当てることで、傷が大切な宝へと変わるといいます。ネガティブ(壊れた器)が「金継ぎ」によって価値を反転し、ポジティブ(美しい器)に変容するのです。

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「Who are you? 」のワークでは、ナラティブの力によって目の前の相手のあるがままの姿が立ち上がる様子を感じました。自分に対してであれ他者に対してであれ、マインドフルな意識を向けることが、ダークネスに光を当てるための第一歩だと思います。このようなプロセスを経ることで、私たちは本来あるべき「全体(ホリスティック)」な存在に戻ることができるのではないかと感じました。

さらに後半では、世界とより豊かに関わり、「つながる」ために、禅やマインドフルネス(瞑想)はどう関わってくるのか、仏教およびテクノロジーの専門家のプレゼンテーションを通して掘り下げていきます。

kintsugi via Shutterstock

松本恭

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