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出たり入ったりでOK! 10分入浴で疲労回復する方法

疲労回復 ー疲れとうまく付き合うためにー

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大森りえ

出たり入ったりでOK! 10分入浴で疲労回復する方法

入浴がからだにいいことはわかっていても、「なぜ?」と聞かれると「温まって、リラックスするから」と挙げる以外は言葉につまってしまいます。

入浴がなぜからだにいいのか、夏バテ解消にはどうつながるのか、温泉療法専門医の早坂信哉先生にお話をうかがいました。

入浴がからだにもたらしてくれる3つの作用

bathing_01_a.jpgとくに暑い夏は湯船につかるのがおっくうで、ついついシャワーで済ませてしまうという人は多いのではないでしょうか。でも、入浴はシャワーにはない作用を得られるそうです。

早坂先生によれば、入浴が身体にもたらしてくれる3つの作用は以下の通り。

温熱作用

湯船につかることでからだが温まると、皮膚の毛細血管や皮下の血管が広がります。すると心臓の拍動も活発になるので、皮膚表面だけでなく、内臓も含めた全身の血流が促されます

浮力作用

日常生活で姿勢を保つために、筋肉はいつも緊張しています。しかし、肩までお湯につかると浮力のおかげで体重は約10分の1になるとも言われており、筋肉は緊張から解放されて全身のリラックスにつながります。湯船が「地球上で唯一、重力から開放される場所」と言われるのは、浮力のおかげです。

水圧(静水圧)作用

湯船につかると、からだの全方向に水圧がかかります。これによって血管やリンパの流れがよくなると、むくみやだるさの改善につながります。また、水圧によって内臓も刺激されるので、呼吸機能もアップします。

「シャワーにも多少の温熱作用はありますが、入浴の比ではありません。浮力作用、水圧作用においては"ゼロ"です」と早坂先生。湯船に入るだけで、こんなにいいことがあるなんて。シャワーで済ませてしまうのは、もったいないという気持ちになりますね。

疲労回復のカギは「血液」にあり

bathing_02.jpg夏の疲れを解消したいなら、もっとも注目したいのが「血液」です。

「全身の細胞は37兆個にも及びます。これらの細胞に栄養と酸素を送り届けるが"血液"です。細胞は血液がうまく運ばれなければ活動を維持することはできません。また、疲れると体内では疲労物質が分泌されますが、これを回収するのも血液の役割なのです」(早坂先生)

細胞に栄養を送り届け、疲れが残らないように老廃物を回収してくれるなんて。血液の、けなげで優れた機能に驚かされます。

「からだが温まると血管が広がり、心臓も一生懸命に拍動して全身に血液を流そうとします。そのスピードは速く、1分でからだを一周するともいわれています。だからたった10分お風呂に入れば、相当の血流が見込めるわけです」(早坂先生)

どんなに疲れて帰ってきても、ベッドに倒れ込まずに、たった10分の入浴を心がけたいものです。

疲れを癒す正しいお風呂の入り方

bathing_03_a.jpg入浴による作用を、より効果的に得るにはどのようにすればいいでしょうか。夏バテ解消へと導く正しい入浴法を早坂先生が教えてくれました。

ポイント1
就寝時間の90分前には入浴を

疲れを取るには、入浴だけでなく「睡眠」も連動させると効果的。入浴後、上がった深部体温が下がるとともに眠気が促されます。このタイミングでベッドに入ると質の高い眠りが得られますので、就寝時間の90分前に入浴するのがおすすめです。

ポイント2
40℃以下のお湯に10分間つかる

疲れを取るためには、副交感神経が優位になる40℃以下のぬるめのお湯がベスト。40℃なら10分もつかればじゅうぶんです。1度に10分ではなく、からだを洗ったりシャンプーしたりしながら、トータル10分でOK。

ポイント3
半身浴より「全身浴」がベスト

心臓や肺に疾患がある方には、負担の少ない半身浴をすすめますが、健康な方なら全身浴がおすすめ。半身浴にすると、入浴の作用も半減してしまいます。全身浴のほうが効率がいいというわけです。

ポイント4
入浴剤を上手に活用する

ぬるめのお湯でもしっかり血流を促して疲労回復を目的とするなら、選びたいのは「炭酸系」の入浴剤。炭酸は皮膚から吸収されると血管を広げる作用を持っています。また、とくに夏におすすめしたいのはひんやり感を味わえる「メントール系」。メントール成分は冷たいと感じるセンサーを刺激するだけで、実際にからだは冷やさずにクール感を得られます。

ポイント5
筋肉疲労を残さない「温冷交代浴」

アウトドアやトレッキングなどを楽しんだあとは、筋肉疲労を残さないようにお風呂でケアを。お湯とお水に交互につかる「温冷交代浴」はアスリートも取り入れている入浴法で、手足の末端や筋肉の血流が改善されます。家庭では、40℃のお湯に3分つかって、30℃ぐらいのシャワーを全身で30秒浴びる。これを3回ほど繰り返し、からだが温まったところで終わります。

「温冷交代浴」は末端の血流を促すので、冷え性に悩む女性にも効果的だそうです。

これだけは守りたい。入浴の注意点

bathing_04.jpg入浴を習慣にするにあたり、どんな点に気をつければいいのでしょうか。

42℃が入浴作用の境界線

湯温が42℃を超えると交感神経が優位になってしまいます。血圧は上がり、脈が速まり、汗をかき、筋肉は硬直。さらに胃腸などの働きは弱まってしまいます。入浴作用を得たいなら、40℃以下を守りましょう。ただし、眠気覚ましにさっとシャワーを浴びるなら、熱めのお湯がおすすめです。

入浴前後で適度な水分補給を

41℃のお湯に15分つかると、800mlの脱水になるという報告があります。コップ1~2杯の水分補給を、入浴の前後に行いましょう。ダイエットのためにと、水を飲まずにひたすら汗をかくのは大間違い。血管がつまりやすくなって脳梗塞や心筋梗塞のリスクも高まりますので注意が必要です。

立ちくらみに要注意

とくに女性は、座った姿勢から立ち上がるだけで立ちくらみを起こしやすいと言われています。さらに、お風呂では水圧作用でからだが締めつけられている状態。上がるときに一気に血液が下半身に落ちて、頭がふらふらしやすくなりますので、ゆっくりと上がりましょう。冷水で顔を洗うなどして交感神経を刺激してから立ち上がるなどの予防も有効的です。

日焼けした後の入浴は

肌がやけどしている状態なので、刺激は禁物。人間の体温と同じ36~37℃の「不感温度」と呼ばれる温度のお湯であれば、刺激は少なく、入浴作用が得られます。ただし、冷やすに越したことはありませんので、長湯は禁物です。

これらのことに気をつけながら、就寝時間の90分前に、40℃で10分、好きな入浴剤を入れて全身浴するだけ。意外と簡単です。

「肌も髪も紫外線や乾燥によるダメージを受けているはず。実は、肌や髪の再生にも、血液がひと役買っています。血液が、肌や頭皮の内側へと栄養を運んでくれるからです。からだだけでなく、髪や肌の夏バテ対策と思えば、女性は習慣にしやすいのではないでしょうか」(早坂先生)

入浴は疲れを取るだけでなく、疲れにくいからだづくりにも有効です。さっそく習慣にして、心身ともに健やかな秋を迎えましょう。

早坂信哉温泉療法専門医。自治医科大学卒業、同大大学院医学研究科修了。地域医療を経て入浴・温泉の研究を開始。テレビなどのメディアを通じて、医学分野における研究結果などをもとにした正しい情報をわかりやすく紹介している。現在、東京都市大学人間科学部教授、一般財団法人日本健康開発財団温泉医科学研究所の所長なども務める。『たった1℃が体を変えるほんとうに健康になる入浴法 』(KADOKAWA)、『入浴検定公式テキスト』(日本入浴協会)などの著書がある。

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