年々長く感じる夏。さらに追い打ちをかけるのが残暑です。

晩夏の疲れて乾いたからだを癒すのは、やはり栄養バランスの取れた食事。わかってはいるけれど、食欲もわかないし……。そんなときに頼りにしたいのが「スパイス&ハーブ」のチカラです。

スパイス&ハーブの醍醐味は、なんといってもその「香り」

170824_spice_1.jpg今回、スパイスとハーブの楽しみ方を教えてくださったのは、エスビー食品株式会社の広報担当でスパイス&ハーブマスターの遠藤由美さん。料理に生かす方法を知る前に、まず「スパイス&ハーブ」の基本を伺いました。

ーースパイス&ハーブって、いったい何ですか?

「スパイスは350~500、ハーブにおいては数万もの種類があると言われています。スパイスは外国のものというイメージがありますが、日本にもわさびやみょうが、しそ、山椒、にんにく、しょうが、からしといった昔から馴染み深いものがたくさんあります。スパイスは日本語では『香辛料』というだけに、”辛み”を持つという印象が強くありますが、辛みがないものももちろんあり、一番の特徴は”香り”なんです」

エスビー食品では、スパイス&ハーブとは、「香りのある植物で、人の暮らしに役立つもの」と紹介しているそう。そして、スパイス&ハーブには、料理やクラフト、入浴剤などに使われるほか、漢方薬のような役目を持つものもあります。料理について言えばスパイス&ハーブは「香りをつける」「色をつける」「辛みをつける」という3つの働きをしますが、“香り”を役割としたスパイスやハーブがほとんど。色をつけるサフランや唐辛子などのように辛みをつけるものは、ごく一部だそうです。

甘味、塩味、酸味、苦味、旨味の”五味”に次ぐ重要な役割は”香り”です。私たちの食のシーンをあらためて考えてみると、五味は香りがあってこそ、初めておいしさが成り立つのかなという気がしますね」

料理にスパイスやハーブを加えると、味に深みが出たり、ちょっと気の利いた味になったりすることは経験としてわかっていましたが、こうして伺ってみるとあらためて「香り」の大切さに気づかされます。

スパイス&ハーブの”そそる”香りで、食欲もアップ

ーー晩夏の疲れたからだに、スパイスやハーブをどのように生かせばいいのでしょうか。

「暑さは体力を消耗させます。食欲が落ち、食事を抜いたり冷たい麺などの偏った栄養を摂ったりしていれば、疲れはたまるばかりです。そこで、使いたいのがスパイス&ハーブです。香りが食欲をそそりますし、素材をおいしく食べさせるお手伝いもしてくれます」

クミンとカレー粉(赤缶)を使ったアレンジレシピ

170824_spice_2item.jpgS&Bクミンシード(12g)199円、S&Bカレー粉(37g)356円(各税込)

今回、遠藤さんがすすめてくれたスパイス&ハーブは「クミンシード」と定番の「カレー粉」の2つ。クミンシードは小さく細長い形状の種で、世界中で広く使われているエスニックな芳香を持つスパイス。そして、「赤缶」の愛称を持つS&Bカレー粉には、クミンはもちろん30数種類ものスパイスとハーブがブレンドされています。

この2つを使った夏におすすめの料理を教えていただきました。

フライパン1つで本格派、クミンが香る夏野菜のキーマカレー

20170822_spice_1.jpg「イチオシは、夏の定番”カレー”です。野菜をたっぷり入れて、汗と一緒に流れてしまって不足しがちなビタミン・ミネラルを補いましょう。おいしく作るポイントは、手順(2)の部分でオリーブオイルへ「クミンシード」の香りをしっかりと移すこと

<材料(4人分)>オリーブオイル 大さじ1
S&Bクミンシード(ホール) 小さじ1
玉ねぎ 1個
おろしにんにく 小さじ1
おろししょうが  小さじ1
豚ひき肉 300g
S&Bカレー粉 大さじ1〜適量
なす 4個
ピーマン 3個
パプリカ(赤・黄) 各1個
トマトの水煮缶(ホール) 1缶
塩 小さじ1と1/2
塩・コショー 適宜
白飯 適量

<作り方>(1)玉ねぎはみじん切り、なす、ピーマン、パプリカはそれぞれ1cm角程度に切る。
(2)鍋にオリーブオイルを熱し、クミンシードを炒めて香りを出す。玉ねぎを加え、しんなりするまで炒める。
(3)おろしにんにくとおろししょうがを加え、香りが立ってきたら豚ひき肉を入れて炒める。カレー粉を振ってさらに炒め合わせる。
(4)なす、ピーマン、パプリカ、トマトの水煮缶(トマトをつぶしながら缶汁も一緒に)を加え、塩を入れて煮込む。
(5)焦げつかないように、ときどきかき混ぜながら20~30分煮込んだら、塩・コショーで味を調える。
(6)器に白飯と(5)を盛りつける。

詳細なレシピは、こちら>>

「キーマカレーは調理時間も短く、フライパンひとつでできるのがいいところ。インゲン、ニンジン、カリフラワー、枝豆など、いろいろな季節の野菜を入れて楽しんでみてください」

スパイス&ハーブ豆知識:オイルにスパイスの香りを移す

イタリアンでオリーブオイルにニンニクの香りを移してガーリックオイルを作るように、スパイスもオイルで炒め、香りを出してから調理すると一気に本格的な風味に。その際のポイントは、パウダータイプではなくクミンシードのように粒のままのホールスパイス使うこと。焦げにくく香りが立ちます。動画も参考にしてみてください。

つづいて、せっかく買った「クミンシード」をストックに寝かさず、使いこなせる料理を2品ご紹介します。

簡単で華やか、ラムチョップのクミン焼き

20170822_spice_2.jpg「見た目に豪華な骨付き肉は、おもてなしにぴったりです。ステーキ用や薄切り肉にも応用できますので試してみてください」

<材料(2人分)>骨つきラム 4本
塩 小さじ1/2
ブラックペッパー(あらびき) 小さじ1/4
おろしにんにく 小さじ1
S&Bクミンシード(ホール) 小さじ2
サラダ油 大さじ1

<作り方>(1)骨つきラムは筋切りして、塩、ブラックペッパー、にんにくを両面に塗り込み、クミンシードを全体につける。
(2)フライパンにサラダ油を熱し、片面3分ずつを目安に両面を焼く。

詳細なレシピは、こちら>>

香りが病みつきになる、クミンライス

20170822_spice_3.jpg「インドあたりでは”ジーラライス”と呼ばれる料理です。カレーにもよくあいますし、エスニックなおかずとの相性も抜群です」

<材料(5人分)>米 3合
S&Bクミンシード(ホール) 小さじ1
サラダ油 小さじ2

<作り方>(1)研いだ米と水(分量外)を炊飯器にセットする。
(2)フライパンにサラダ油を熱し2~3粒のクミンシードを加えてみてシューッと細かい泡が出るようになったら残りのクミンシードを入れて、焦げないように注意しながら炒める。
(3)クミンの香りがたってきたら火をとめ、(1)に油ごと加えて炊く。

詳細なレシピは、こちら>>

スパイス&ハーブを使えば、料理の幅が広がる!

170824_spice_curry.jpgスパイスやハーブを使いこなせる女性は、それだけで”料理上手”という印象を受けます。初心者には、カレーをスパイスで作ると聞くとハードルが高く感じますが、こうして教えてもらうとじつは難しくないレシピばかり! これは、チャレンジしたくなりますね。

カレー粉は、鶏のから揚げや魚のムニエルの衣に混ぜたり、炒め物に使えば定番料理にひと工夫でき料理の幅が広がりそう。また、ソーセージをゆでて、ケチャップとカレー粉を混ぜたソースにつけて食べるカリーヴルストは、ドイツで親しまれているソウルフード。味と香りを想像するだけで止まらなくなりそうです。

スパイス&ハーブ豆知識:正しいスパイスの保存方法

スパイス&ハーブの香りを楽しむために、開封後はできるだけ早く使い切るのがベスト。スパイス&ハーブは「湿気・熱・光」を嫌いますので、しっかりフタをしめて、冷暗所で保管してください。

「香りがあると、料理はおいしく、調理も楽しくなりますよ。まずは1種類のスパイスでどんな使い方ができるか遊んでみると、どんどん楽しくなって、他のスパイスやハーブへと手が伸びるはず。ご自身のレパートリーでも、スパイスやハーブを加えることでこんなに風味が豊かになるんだという楽しみを知ってほしいですね」と遠藤さん。

スパイス&ハーブの楽しさを感じるうちに、食欲を取り戻し、夏の疲れを残さずに秋を迎えられるはずです。

取材協力・エスビー食品株式会社

お話を伺った方:遠藤由美さん

170824_spice_pro.jpgエスビー食品株式会社 広報ユニット所属「スパイス&ハーブマスター」。

社内に19人しかいない「スパイス&ハーブマスター」として、メニュー提案のほか一般への料理教室なども行い、スパイスとハーブの楽しさを伝えている。

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