「筋肉は最高のファッション!」と語り、自らもしなやかなボディをキープしているスタイリストの清水久美子さん。美しく、格好よく服を着こなすボディ作りの知恵をうかがう連載「ボディ・コンシェルジュ」の今回のゲストは、パーソナルフェイストレーナーの木村祐介さん。女優やモデルの顧客も多いという木村さんが語る、「オーラ」のあるボディの秘訣とは? 清水さんの実演を交えつつ、存在感ある女性になるコツを学びます。

華やかな「オーラ」の正体は空気感



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清水さん(以下清水) 今日はありがとうございます。木村さんが、公式サイトinstagramでよくおっしゃっている「空気感」のお話をお聞きしたく、楽しみに来ました。同じ服でも、独得の空気感というか、華のある女性が身につけると、全く別ものに見えます。結局オーラで着る、というのもファッションの真理ですものね。


木村さん(以下木村) よく「オーラ」という言い方をしますが、日本語に直すと「空気感」なんですよね。「雰囲」も、呼吸も含めて「気」が広がっているとオーラが出てくるんです。指先まで神経が通っている人は、おっしゃるような華があるなと思います。


清水 女優さんやモデル、タレントの顧客も多いと聞きました。そういう空気感は、表に出る職業の人にとっては生命線ですよね。


木村 見られる職業の方ももちろんですが、一般の方にとっても大切ですよね。しかも、その空気感は「作る」ことができるんですよ


清水 作れる!それは嬉しい!食いつきました!



背中を使いこなせると、余裕のある美しさに



木村 無意識っていうのは、オーラ作りを放棄しているようなものなんですよ。そういう女性は、顔の造作がキレイでも魅力的に見えない。体を使いこなせていないと、人を惹き付けるような美しさって出てこないんです。


清水 そのお話、すごく納得できます。仕事でたくさんのモデルに接するのですが、キレイだしスタイルがいいのも当たり前。視線を集める、存在感があるモデルはただキレイなだけではなく、何か目をそらせないものがあります。


木村 はい。"気"が充満している女性は、色気があって素敵だなと思います。


清水 私も、そんな木村さんのメソッドにすがりたい(笑)。ちなみに、スタイリストとして長年やってきて最近つくづく思うのは、今は背中コンシャスの時代なんじゃないかと。背中ってどうしてもお留守になりがちなパーツですが、ここが決まると、それこそ全身のオーラが決まる気がするんです。


木村 そうなんですよ。日本人は、前から見えるところばかり鍛えたがるんですよね。それに比べると、欧米のトレーニングメソッドは後ろのものがメイン。背筋など背中を意識したものがとても多いです。

背中で魅せる、モデルのイザベル・グラール。 @izabelgoulart


清水 優先順位がまったく違うんですね。欧米は、なぜ背中メインなのでしょう?


木村 その理由はシンプルで、体の後ろ側を鍛えないと姿勢が起きてこないから。背中を最優先にして、後ろを鍛えることでバランスがとれる。どうしても、日常の動きって体の前側を縮めることが多いでしょう?


清水 まずキレイな姿勢の土台作りからということですね。確かに オーディションなどでモデルを見るときも、必ず後ろ姿もチェックしているかも。たとえば姿勢がよく、ヒップに立体感がある子だと、前から見ても、姿勢やお尻のシェイプの影響で格好良くアクティブにきこなせてますよね。


木村 そうですよね。デニムなどだとその差が歴然とするかも。女性のデニムはお尻の下がキュッと細く締まっているので、ヒップが上がっている人に似合うようにできているんですよ。そういう方はたいてい、太ももも細いんですけど。


清水 たいてい太ももも細い!キュッと上がったお尻とは関係があるのかしら? キュッと!のコツは何でしょう?


木村 それは"お尻を使えるようになる"こと。お尻がうまく使えていないと、太ももやふくらはぎが頑張ってサポートするので太くなってしまうんです。


清水 お尻を使う、といってもにわかには難しいですけれど...


木村 やってみましょう。たとえば、裏ももを伸ばすように意識します。そうやって座ると...

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お尻が使えて、骨盤の位置もしっかり立った状態に。


清水 おお! これはものすごくラクですね! 上半身が安定する感じ


木村 裏ももを伸ばせないと、膝を曲げて骨盤を倒す姿勢になるので、どうしてもお尻に力が入らないんですよね。ところが、裏ももを伸ばすと自然にお尻が使えます。そして、腸腰筋(骨盤と太ももをつなぐ筋肉。両者の距離を近づける役割がある)もきちんと使われるんです


清水 なんだか、胃と腸が正しい位置にきている実感があります。それに、こういった座り方ならオーラが出るのがよくわかる。女優さんっぽい座り方!


木村 おっしゃるように、体の中が変わる感じがあると思います。それに、背中のスイッチも入るんですよ。


清水 それ、わかります! 背中が使えていて首や肩がラクだから、この姿勢なら長時間パソコンを使っても苦痛にならないんじゃないかしら。


木村 "背中を使う""お尻を使う"というのは、力を入れればいいわけではないんですよ。うまく使えていれば、座った状態でも意識していない抜けた状態でも、美しいはずなんです。


清水 なるほど。頑張らなくてもキレイになれる、と。


木村 はい。清水さんの場合、いい姿勢をとろうという意識があるんですよ。ただ、そのために頑張ってしまっていて肩に力が入っている。


清水 それは納得です。頑張っているつもりはなかったんですが、こうやって正しい位置を教えていただくと、すごく身体の動きに"余裕"を感じます。



女性の色気は、首に宿る



木村 実際にやっていただくと、それまでの姿勢は頑張っていたし窮屈だった、と皆さんおっしゃいますね。人間の体って、丸まっているほうがラクなのは事実なんです。それに逆らって、頑張ってキレイな姿勢にしようとすると無理しないでくれと脳がブレーキをかける。これがコリの正体です。


清水 コリは、脳の指令のひとつなんですね!


木村 はい。たとえば「肩甲骨を寄せる」なんていうのもそのひとつ。左右の肩甲骨を寄せてみてください。


清水 こうですか...? 私はよくやっていますけれど...


木村 (鏡を見ながら)肩甲骨を寄せようとすると、首が短くなるでしょ?


清水 本当だ! 知らなかった!


木村 肩甲骨を寄せるのではなく、まずはひじを外に張ってください。その状態で両手同士で押すようにすると、肩が自然に下がって首もすんなりと美しく伸びます


清水 これは感動的ですね! ちょっとの動きの差ですが、印象がまるで違う!


木村 背中コンシャスという話がありましたが、これも背中の使い方の違いなんです。ただし、背中だけを意識するのには無理がある。広背筋など背中の筋肉は脇や横腹についていますから、そこをきちんと使うこと。そうすることによって初めて、背中が使えるようになってくるんですよ。


清水 同じ服でも、こういった動きができると着映えが違いますね。


木村 はい。指先まできちんと空気が回っている感じがしますよね。背中を作るのは肩ではない。脇から始まっているんです


清水 肘が伸びると、こんなにも"服を活かせる"感じがするんですね。


木村 僕の持論に"女性は首で語る"というのがあるんですが、鎖骨とあごの間に距離があるほうが女性はキレイに見えるんです。ところが、肩が寄っていると首の表現ができなくなり、首が短く見えるのでおしゃれに見えなくなる。


清水 色気は首に宿る、ということ?


木村 はい。手首、足首、首の3つが重要です。けれど、たとえば「あごを引く」というと、あご先を下げて首に近づける人が多いんですよね。


清水 えっ、違うんですか?


木村 こうすると、フェイスラインがたるみますよね。そうではなく、頭全体を後ろに引いて、鎖骨とあごの距離を出すのが正解なんです。

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鎖骨が下に伸びると、首にテンションがあり美しくなるんです。


清水 今まで思っていた"いい姿勢"には、間違いがあるんですね。教わってきた"いい姿勢"とは違って、こちらのほうがキレイだし動きやすい。


木村 首はちょっとテンションあるほうが美しいんですよ。横を向くと首に斜めのラインが入ると思うんですが、これも鎖骨が下に伸びていないと出てこない。


「小指」と「親指」では大違い



清水 そうやって意識すると、筋肉の使い方がぜんぜん変わってきますね。鎖骨は中央がちょっと下がっていて、肩に近い側は上がったVの字型が正しいのかと思っていましたが......。


木村 おっしゃるように、本来、鎖骨のラインは水平なんです。そうなっていれば、肩が下がって首が長く美しく見える。そのためにも、脇=背中のスタート地点が使えるようにならなければ。

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鎖骨が一直線で、首筋も美しいモデルのキャンディス・スワンポール。


清水 そのための方法、ぜひ教えてください!


木村 たとえば、両腕を肩の高さまで上げてみてください。このとき、「小指から上げる」と腕の動きが違うでしょ?


清水 本当ですね! 腕が2センチくらい長くなったような感じ。


木村 小指を意識すると背中の、親指を意識すると胸の筋肉が連動するんです。だから、動くときは常に小指を意識するのがおすすめ。運転でも携帯を使うのでも、小指からが基本。


清水 バッグのもち方ひとつも変わりそう!


木村 そうですよね。親指でバッグを持てば新橋のサラリーマンになるし、小指から握れば丸の内OLになります(笑)。


清水 すごくキレイ! 見た目がぜんぜん違う。セレブやモデルたちは、こういうことを知っているんですね。

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ジジ・ハディットのクラッチの持ち方。まさに小指から、親指は添えるだけ。


木村 バーでマティーニを手にするとき、親指からとるか、小指からとるか。そんなしぐさひとつで印象ががらりと変わりますよ。


清水 「オーラは作れる」とおっしゃっていたのが納得できますね。こんなにしぐさが美しければ、人生が違ってきそう。


木村 呼吸も、小指の細胞ひとつひとつに息を送り込むイメージで行ってみてください。指先まで気が満ちて、たたずまいが違って見えますから。


清水 MYLOHASでは「意識で体は変わる!」をテーマにしているんですが、まさにそれですね。

足裏を使えると、インナーマッスルが目覚める


木村 それからもう1つ、意識していただきたいのが"足の裏"


清水 足の裏! ジムでは教わらなかったポイントですね。なぜ足の裏が重要なんですか?


木村 それは、後ろのラインとつながっているから。足裏からふくらはぎ、ハムストリング(太もも裏側)、脊柱起立筋、そして頭へとつながるラインがあるんです。ですから、足裏が使えると全身がラクに使えるし、しなやかでキレイな動きになります


清水 そのためには、具体的にはどんなことをすればいいですか?


木村 地面にエッジを効かせるようにして、足の内側でひっかけて立つこと。たとえばマイケル・ジャクソンの決めポーズとか、サッカーのクリスティアーノ・ロナウドが得点を決めたときなどのポーズなどはその典型。


清水 あの、足の内側を地面に引っ掛けるようにするポーズですね。


木村 そうです。やってみましょうか。足の裏を、内側を意識しながらパーンと踏みしめる。そうすると、反作用で上半身が起きてくるんですよ。


清水 本当だ! 全然違う......。体が軽いから、なんだか"私は妖精"みたいな気持ち(笑)。

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内側にエッジをかけてます!


木村 横に足を張ることになるので、地面を踏みしめた力が体の中央でクロスするんですよ。


清水 というと、お腹のあたり?


木村 そうです。お腹とお尻のところで力が交差するから、インナーマッスルも使える。


清水 わかります。体が安定して喜んでいる感じがする! これ、実は腹筋をするよりも鍛えられるのかも。


木村 おっしゃる通りですね。僕はトレーナーなんですが、実は運動が嫌いでして(笑)。いかにラクして体をキレイにするかを日々考えていて、足裏をきちんと使えればインナーマッスルに働きかけられるんだと気付いたんです


清水 生涯ドレスを着こなしたい私の理想が"パンサーみたいなしなやかな躍動感のあるボディ"なんですが、こういう立ち方、歩き方をできればしなやかなパンサーボディになれそう。


木村 太ったパンサーっていないですもんね。内側から動いているからしなやか。


清水 そうなんですよね。身体のコアからしなやかに動いていかないと理想には近づけないですよね。でもこういった姿勢だと洋服も着映えするし、体がラクだけど、インナーマッスルが確実にジワジワきてます。


木村 それが、内側の筋肉が使えている証拠です。しかも、こうして足裏を使えるようになると、顔も変わってくるんですよ。ヘアメイクと同じくらいの効果がある。


清水 顔まで! その仕組みやコツも、ぜひ教えてください! 体の使い方で顔まで変わるという、木村さんのボディマジック

後編にて、意識しにくい「顔の使い方」についてご紹介します。

【イベント開催のお知らせ】今回ご紹介した内容を実際に体験できます!

9月9日13:45から、スタイリスト清水久美子さんと、フェイストレーナー・木村祐介さんによるスペシャルトークショーを開催。「モデルオーラは、筋肉でつくれる! 」をテーマに、その実践編をお届けします。人を惹きつける空気感やオーラフェイスの作り方をぜひ体験してみてください!トークショーをご覧いただいた方には、MYLOHASのオリジナルエコバッグをプレゼントも。
詳細はこちらから


取材写真/ 高村 瑞穂
image via Shutterstock,Photo by Getty Images

kimurasan.jpg木村祐介(きむら・ゆうすけ)さん
日本で唯一のパーソナルフェイストレーナー®。運動力学や機能解剖学を学び、「ファンクショナル・ビューティ」をテーマに活動中。モデルや女優、タレントといった美を追求する顧客から、デザイナーなどファッション畑の顧客まで幅広い層にファンが。現在は『NATURE BODY HOUSE』にて美顔ワークアウトという独自のパーソナルセッションを実施。秋に初の著書を出版予定。http://www.yusuke-kimura.info/

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清水久美子(しみずくみこ)さん

スタイリスト、ファッションディレクター。ラグジュアリー雑誌や広告で活躍中。クリエイティブディレクターとして商品企画やファッションにまつわる講演なども多数手がける。エレガントな王道のおしゃれにモダンさを加えたみずみずしいスタイリングには多くのファンが。年齢を重ねても美しく、さらに格好よく過ごすための着こなしを提案し続けているファッション界のパイオニア。