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周囲を海に囲まれ、対馬、壱岐、五島列島など、大小合わせて1000近い島がある長崎県。江戸時代には、オランダやポルトガルなど大陸との交流が唯一許された土地。異国の進歩的なモノやコトを受け入れながら、和洋折衷の独自の文化を生み出してきました。カルタ、レンガ、ピアノ、ビリヤード、テニスコート、西洋料理、ビール、コーヒー、チョコレート……これらは長崎から全国に広がっていったと言われています。

私も何度か長崎を訪れていますが、キリスト教の母の希望で教会めぐりをしたり。日本のお菓子の歴史を紐解くため、「シュガーロード」と呼ばれる長崎街道付近に点在するさまざまなお菓子屋さんを取材したこともあります。

卓袱料理、ちゃんぽん、皿うどん、トルコライス、角煮まん、佐世保バーガー、カステラ、チリンチリンアイス、ミルクセーキ、中国風のお菓子……。旅をしている間、たくさんの名物を味わいました。細麺好きとしては五島うどんも大好物で、見かけると求めては色々なメーカーのものを食べ比べしています。

そんな長崎のアンテナショップがあるのは日本橋。江戸時代、長崎の出島で西洋医学を伝えたドイツ人医師・シーボルトが江戸に滞在する際は、長崎屋という薬種問屋に止宿していたそう。そこでシーボルトは江戸の蘭学者と面会し、大きな影響を与えました。

物販コーナー、軽飲食コーナー、観光案内コーナー、イベントコーナーからなる「日本橋 長崎館」。物販ゾーンの品揃えや装飾は季節ごと変化するので、定期的に通う楽しみも軽飲食コーナーでは、焼酎の飲み比べもできます。そこで器に使用している波佐見焼や三川内焼を購入できるのも陶器ファンとして嬉しいこと。 

「長崎びわ茶」お茶の秋月園

20170728_local_01.jpg長崎県は日本を代表するびわの産地。昔から、びわの葉を煎じたお茶を飲む習慣が根付いています。びわの樹は仏教の経典で「大薬王樹」と記されているように、万病を治す薬として飲まれていた歴史があるほど健康にいいもの。胃腸の調子を整えるアミグダリン、免疫力を整えたり、整腸作用のある酒石酸、新陳代謝を促し、血の流れを整えるクエン酸、疲労回復効果のあるブドウ糖やリンゴ酸など、栄養もたっぷり。他にも、冷え性、アレルギー、慢性疾患などの症状にも効果があり、デトックスや美肌にも期待ができるそう。私は気管支が弱いのですが、抗炎作用もあり、びわ茶に塩を加えてうがいをすると喉の痛みが和らぐとも聞きました。

長崎の温暖な気候の中で、すくすく育ったびわの樹の葉を摘み取り、手間をかけて乾燥させてから、自家焙煎で仕上げた無添加の茶葉。煮出したお茶はワインレッドの自然の色合いも美しく、冷やして飲んでも。パッケージは、「江戸時代の薬局で売っていたとしたら」とイメージして、地元のグラフィックデザイナーさんがデザインしています。

「まあるい塩」虎屋

20170728_local_02.jpg長崎県・五島列島の美しく澄んだ海水を汲み上げ、じっくり煮詰めて作った、まるみと甘みを感じる塩。全て手作業で自然乾燥させた塩の結晶は、大粒できらきらと美しく、一目見ただけでも良質であることが分かります。野菜、肉、魚……塩のみの味付けで、素材の旨みがぐっと際立つ名調味料。瓶入りの他に袋入りや、ハーブ塩や塩こしょうなども揃っています。塩の結晶を模様化したラベルのデザインもすてき。こちらも地元のデザイナーさんがデザインしています。

「ジンジャーシロップ」小値賀町担い手公社

20170728_local_03.jpg五島列島の北端にある、小値賀(おぢか)島。豊富な海の幸や、なだらかな地形でお米や作物にも恵まれ、小さい島ながら豊かな暮らしが育まれています。島には昔から「おすそわけ」の文化が根付き、海の幸や畑の幸、暮らす人それぞれが互いに旬のものを分け合ってきました。この「ジンジャーシロップ」も、小値賀の恵みのおすそわけ材料は、生姜、蜂蜜、砂糖のみ。ピリッとした辛味を、蜂蜜がまろやかに包み込んでいます。炭酸水やお湯で割ったり。それから料理の隠し味にも。私は夏でも足の先が冷えるので、体を芯からぽかぽか温めてくれるジンジャーシロップが重宝します。ラベルは島の活版印刷所「晋弘舎」製。鹿印が目印です。

日本橋 長崎館
住所:中央区日本橋2-1-3 アーバンネット日本橋二丁目ビル1F
電話:03-6262-5352
営業:10:00~20:00

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