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人生が劇的に変わる「食べる」の哲学。<食の専門家・小倉朋子>

意識改革

人生が劇的に変わる「食べる」の哲学。<食の専門家・小倉朋子>

「現代人は、自分が食べるものに責任を持てなくなってきています」と警鐘をならす、食の専門家、小倉朋子さん。食べることは、命を作ること。その大切な行為が「なんとなく」になっていませんか。本当の食との向き合い方、食べることの哲学<小倉朋子メソッド>をお聞きしました。

自分に自信がもてない、自分を大切にできない、毎日がつまらないと感じていたら、食事の仕方ひとつでガラリと変わります。今朝はどんな食材を、どんな味付けで、どんな器でいただきましたか? その食事の時間は、どれだけ自分を満たしてくれましたか? 「時間がなかったので、簡単なものをササッと食べた」という人は、これからお話する6つのことを実践してみてください。人生が劇的に変わることをお約束します。

1.野菜を生でかじる

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朝起きて、空腹時に生の野菜を3種類、味付けせずにかじってみてください。キャベツ、きゅうり、トマトなどが手に入りやすく、続けやすいと思います。はじめは「味がない」と思うかもしれませんが、続けていくと徐々に野菜本来の味がわかってきます。「キャベツが甘くなってきたな、今が旬の時期だな、あ、もう旬が過ぎたな」といった微細な味の違い、野菜の旬を舌で感じられるのは、本来人間に備わっている能力。水分量の違い、甘みや酸味、歯ごたえの違いなど、野菜の個性を感じ取ることができるようになり、五感がどんどん磨かれていきます。普段、意識せずに食事をしていると、そういったことにどんどん鈍くなってしまうのです。もしかしたら、すでに微細な味を感じなくなっているかもしれません。五感を磨くと勘もよくなります。仕事も恋愛も自分の体の変化にも敏感になり、感が冴えてくるのがわかるはずです。これこそ、食のマジックです。生野菜は手切りでバリバリとちぎって用意するだけでOKです。私は毎日15種類の生野菜と果物をかじっています。野菜の儀式の後に、いつもの朝食を召し上がってください。

2.食べる前に10秒見る

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「今からこれを食べるよ」「今日はこれを最初に体に入れるよ」「この栄養をいただくよ」という気持ちで、目の前にある食事をじっと見つめてみましょう。どんなに忙しくても10秒はあるはずです。忙しくて、とりあえず口に入れるだけの食事の時間はただ流されている時間で、自分のための時間ではありません。10秒のワンクッションで「今から、私の食事の時間なのだ」と時間に区切りをつけ、丁寧に向き合うことができるようになります。

また、「今から食べる」という情報が脳に入ることによって、内臓も動き始めます。「よし、今から食べ物が入ってくるね」とスタンバイしてくれるので、不思議なことに消化もよくなるのです。自分が何を食べているのか、しっかり「見る」ことは大切な行為。サンドイッチには何が挟まっていましたか? スープやお味噌汁にはどんな具材がどんな切り方で入っていますか? 自分の中に取り入れているものを、普段からしっかり見ているでしょうか。この「見る」行為は、栄養のバランスが取れているかも把握できます。朝はタンパク質が少なかったから、ランチにはチキンを食べようとか、今週は野菜をたくさん食べているな、など。すると、毎日の食事の選び方も変わってきます。いただきますの前に、10秒しっかり見つめてみましょう。

3.食材に敬意を持つ

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お魚は、生きているときの姿がそのまま食卓に上がる食材です。内臓があり、骨があり、目がある。きれいに食べてあげることが、命を分け与えてくれる魚への感謝です。細胞に沿って丁寧に箸を入れると崩れることはありません。テーブルマナーでは、「魚はひっくり返さない」とされていますが、本当はひっくり返した方が食べやすい。「ひっくり返して食べる」という自分勝手な食べ方を優先しないことが食材への敬意なのだと私なりの理由としています。

そして、今、目の前に置かれている料理が、どうやって成り立っているのかも、意識してみましょう。その食材は、突然現れたわけではありません。育ててくれた人、市場に運んでくれた人、安全を管理してくれている人......たくさんの人の手によって、今ここにあるのです。自分の命を作っている「食」の成り立ちを意識することで、感謝の気持ちがわいてきませんか。食とは、感謝をまるごといただくようなものなのです。

4.「ま、いっか」をやめる

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「今日の食事は、これでいっか」「残り物でいっか」「ラーメンでいっか」。1日3食いただく食事で、どれだけ「ま、いっか」と感じていますか? この思考は「今日着ていく服はこれでいっか」「仕事の頑張り具合はこれくらいでいっか」「結婚相手はこの人でいっか」と、惰性が連鎖していきます。食べることは自分を作ることであるはずなのに、そんなに大事なことを諦めていると、人生自体も「ま、いっか」になってしまうのです。

では、毎食スゴイものを食べるのかというと、そうではありません。今からいただく食事が一番食べたいものでないとしても、その食べ物にスポットライトを当て、「これを食べるんだ」と喜びの気持ちをもつのです。鮭のおにぎりがたべたかったのに、昆布のおにぎりしか売っていなかった。その時「ま、昆布でいっか」ではなく「今日は昆布を食べるぞ! おいしくいただこう」と意識を変えてみましょう。食生活がぐっと豊かになっていくのを感じられるはずです。

5.一人ゴハンを楽しむ

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私は、一人で食事をするときが至福の時間です。誰かと一緒にする食事も楽しいですが、一人ゴハンは、食べるものに全神経を集中することができます。五感をフル回転させ、目の前にある食事を隅々まで満喫できる、最高に幸せな時間です。食べ物と会話をすることは、いただく命との会話になり、それは自分との会話になります。そのチャンスが1日に3回もあるわけですから、楽しまない手はありません。

家で食べる場合は、かならずランチョンマットと箸置きを用意しましょう。食事のテリトリーが明確になり、箸置きによって規律が生まれます。それだけで、食事に丁寧に向き合うことができるようになります。外食もどんどん楽しみましょう。「一人だと場持ちしない」「人目が気になる」「一人は恥ずかしい」など、慣れないと勇気がいるかもしれません。だからといって、いつも一人で行きやすいカフェのサンドイッチやパスタでいいですか? 本当は美味しいお寿司や焼き肉を食べたいのを諦めていませんか? 食事を選ぶとき、自分は何に価値を持つ人間なのか、考えてみましょう。ときどきは、一人でいることよりも、本当に食べたいもの、食べて自分がたっぷり満たされるものを優先してみましょう。

6.無意識をやめる

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洋服やバッグを買うと、それはクローゼットに並べられ「あぁ、そうそう、この前これを買ったんだ」と見ることができます。自分の好みで揃えられたクローゼットは、「私らしさ」を感じるでしょう。でも、あなたが毎日食べているものはどんなものですか? 今年の春に食べたものは何? 「このバッグ、あんまり使えないな」「このワンピース、ちょっと似合わないかも」と、目に見えるものは後悔できても、食べたものは見えないため、後悔する食べ方をしたとしても忘れてしまうのです。食べることに、食べるものにもっと意識を向けましょう。たとえば肉まんを食べるとき。ただなんとなく食べ終わってしまわずに、皮と中身を分けて食べてみる。中は塩分が少し濃いなとか、皮は甘みがあるなとか、たけのこはこの大きさに切ってあるんだな、などいろんな発見があるんです。そうすることによって、いい加減な自分に気づくことができます。

人間は食べなければ生きていけません。今日も、明日も、今から数時間後も食事をするでしょう。「食べる」という行為があまりにも当たり前になっているので、私たちは意識を向けなくなってきています。ボロボロの服を着ていたら他人に気づかれますが、添加物まみれのボロボロのものを食べていても他人にはわからない。もしかしたら自分でもわからないかもしれません。自分の命をつくるものに無意識なのは、ちょっと怖いと思いませんか? 自分の命をつくるものを、他人の手に委ねすぎていることに気づいて、食の意識を変えて自分で食を選んで食べていきましょう。

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小倉朋子(おぐらともこ)さん

株式会社トータルフード代表取締役。フードプロデューサー。先祖代々、食を大切にする環境に育ち、食事作法、伝統食、食のトレンド、食育、箸、食文化、ダイエット、地球食環境他、文化から最新情報まで精通した食のスペシャリスト。食の総合教室「食輝塾」17年主宰。いまだに同じ内容をしていない。著書にベストセラー『世界一美しい食べ方のマナー』(高橋書店)、『「いただきます」を忘れた日本人』(アスキー・メディアワースク)、『私が最近弱っているのは毎日「なんとなく」食べているからかもしれない』(文響社)、最新刊『やせる味覚の作り方』などがある。http://totalfood.jp/

Photo by Getty Images / image 1 23 via Shutterstock

Writing by島田ゆかり

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