日ごろ意識せずに飲んでいる水。ただ過ごしていても汗をかく夏は、暑さ対策だけでなく水分補給にも気をつけないと、熱中症や気づかぬうちに脱水症状になっていたなんてこともありえます。あらためて夏の、理想的な水分補給やミネラルウォーターの選び方、飲むペースなどを知りたくて、アクアソムリエの山中亜希さんにお話をうかがいました。

水を意識して飲むと体質が変わる

20170614_water_4.jpgイタリアの民間団体A.D.A.M.(Associazione Degustatori Acque Minerali)が認定した、初の日本人アクアソムリエである山中さん。意外なことに、以前は大の「水嫌い」だったとか。

山中さん 「出身地の水がおいしくなくて、20代半ばくらいまで水なんて飲むものじゃないと思っていました。いま思うと明らかに水分不足が原因なんですけど、体調もすごく悪くて。食事も脂っこいものとか、味の濃いものばかり好きでしたね。それが、仕事で水の勉強をすることになって。日常的に水を飲み始めたら、体質が明らかに変わったんです。便秘や吹き出物が解消して、味も薄味が好きになり、味覚すら変わることを実感しました」

意識して飲むことで、ちょっとした体質改善もできるのが水の凄さ。水分補給といっても、お茶やコーヒーは水の代わりにはなりません。

山中さん水の役割は、血液となって酸素を運び、老廃物を溶かし込んで排出すること。純粋であるがゆえに、デトックス効果が高いのです。ほかの飲み物には、カテキン、カフェイン、ポリフェノールなど、良くも悪くも体に影響する成分が含まれていることが多い。カロリーもなくニュートラルに水分補給できるという点でも、水がベスト」

水分不足の人は、自分では気づいていないことがほとんど、と山中さん。気づかぬうちに脱水症状や熱中症になってしまうこともあります。

まずは1日1.5リットルの水を飲むことを習慣に。続けるうちに体調がよくなり、水嫌いの人でも、楽しんで水分補給できるようになります。

朝は炭酸水、夜は軟水を。時間帯別の水の飲み方

ひとくちに「毎日1.5リットルの水を飲む」と言っても、水には硬水、軟水、炭酸水とさまざまな種類があります。山中さんが時間帯別の水の飲み方を提案してくれました。

朝:硬度が高めの炭酸水

炭酸で腸が刺激され、便通が促されるため、スッキリと1日をスタートできる。また、腸が動くことで食欲が増し、朝ごはんをおいしく食べられる。

昼:硬水

日本人は一般的にカルシウム・マグネシウム不足の傾向があるため、これらのミネラルを含んだ硬水を飲むのがおすすめ。お手軽ランチで栄養不足が気になるときに試してみて。

夜:軟水

夜はあまり腸を動かさずに、おだやかに就寝したいので、腸を刺激しない軟水をチョイス。

就寝中は汗をたくさんかくので、眠る1時間~30分前にも軽く水分補給するのがおすすめ。ガブ飲みしない限りは体に負担もかからないので、こまめにちょこちょこ飲むといいそうです。

数種類の水をバランスよく飲む。ウォーターサーバーの落とし穴って?

20170614_water_2.jpg山中さんご自身は、軟水・硬水・炭酸水と、さまざまなミネラルウォーターを織り交ぜて飲んでいるそう。一種類だと効果が偏ったり、味に飽きてしまったりするので、バランスよく飲むのがコツ、と語ります。

山中さん 「水には個性があり、それぞれ含まれる成分が違います。ウォーターサーバーの原水は軟水の天然水、もしくはミネラルを除去されている水が多いですよね。水分補給としては十分ですが、ミネラル補給という面では、いつも同じ水を飲み続けるのは、ちょっともったいないかもしれません」

大切なのは、ミネラルウォーターのラベルをしっかり見ること。殺菌方法や含まれるミネラルの種類や量などが記載されているので、自分にあった水を選ぶことができます。

冷やしすぎないのがおすすめ。初夏から夏にかけての水の飲み方

暑さのピークを迎えるこれからの季節は、脱水症状や熱中症対策としても、とくに水の飲み方に気をつけたいもの。量はもちろん、適温で飲むことも体調キープのポイントになります。

山中さん 「猛暑のときは冷水もいいけれど、クーラーのある場所では冷やしすぎないように心がけて。夏場に冷たい水を飲みすぎると代謝も悪くなります。

おすすめは、15℃~20℃くらいで飲むこと。炭酸水の場合は、温度が高いと炭酸が水に溶け込みにくくなるので、12℃くらいがいいでしょう」

冷え性やむくみのある人は、とくに水のガブ飲みに要注意。運動したときやお風呂に入ったときなど、体があたたまっている状態で、常温で少しずつ飲むのがコツです。

最低一週間は飲み続けて。苦手な硬水を飲めるようになる方法

20170614_water_5.jpg海外産も国産も、とにかく種類豊富なミネラルウォーター。たくさんあるなかから自分に合う水を探すには、どうしたらいいのでしょう。

山中さん 「その日の体調や、特に女性の場合はホルモンバランスなどによっても体に合う水は変わるので、一概には言えませんが、もしふだん飲みやすい軟水ばかり飲んでいるのであれば、硬度100mg/L以上の中硬水くらいから徐々に硬度を上げていって、いろいろ試してみるのもいいと思います。

ただ、その場合、最低一週間くらいは飲み続けてみましょう。硬水の場合、飲んですぐ『合わない』とおっしゃる方がいますが、舌が慣れていないだけ、という場合もあります。超硬水の『コントレックス』の調査でも、7日以上飲むと7割の人は飲めるようになる、というデータがあります。お腹の調子がよくない、味がどうしても好きになれないという場合には、もちろん無理する必要はありませんが、硬水のメリットを取り入れたいなら、一週間のお試しはやる価値があると思います」

マグネシウムが不足しがちな妊娠中や生理中は、マグネシウム豊富な硬水でミネラル補給するのもひとつの手。硬度が高くても『ゲロルシュタイナー』のように炭酸が入っていると、飲みやすいと感じる人が多いそうです。

飲み続けるほど自分に合う水の「正解」がわかる

20170614_water_3.jpgアクアソムリエとして、多彩なミネラルウォーターの楽しみ方を日々伝えている山中さん。ひとつの銘柄にこだわらずに、いろいろな味に出会ってほしいと語ります。

山中さん 「ミネラルウォーターを飲み続けると、今日はこれが飲みたいとか、あれが合いそうとか、体がわかるようになってきて、自分に今必要な水はどんな水かということがわかってきます。これは一例ですが、私が主宰する『アクアデミア』の生徒のバレエダンサーの方は、『ベラフォンタニス』という硬度の高い水がお気に入りで、これしか水という気がしない、と言っていらっしゃいました。特にアスリートの方々はすごく汗をかくし、食事も制限しているので、より違いを感じやすいようです。飲みたいものは体が欲しているもの――という側面は、確かにあるかもしれません」

アクアソムリエの山中亜希さんに聞く「理想的な水分補給、水の飲み方」、後編では水に関する素朴な疑問をQ&A形式でご紹介します。

お話を伺った方:アクアソムリエ山中亜希さん

aqua_yamanaka_150.jpg2004年、ミネラルウォーター専門店「AQUA STORE」の立ち上げと同時にイタリアにてアクアソムリエの資格を取得。2008年より、アクアソムリエを養成するミネラルウォーターの専門スクール「AQUADEMIA(アクアデミア)」を開校し、校長に就任するとともに、「AQUA STORE」のディレクターとしても活動。ミネラルウォーターの正しい知識・情報の普及のために、セミナーや講演、企業へのコンサルティング業務などを行っており、海外からもセミナーの講師として招聘されている。